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『G0.5(後編)③』三橋貴明 AJER2014.3.18(3)
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一昨日は文化放送「おはよう寺ちゃん」、昨日はJ-Waveの「TOKYO MORNING ROAD」出演で、二日連続早起きし、本日は久々にゆっくり眠れました。結果、〆切がデンジャラスな状況になっておりますが。
来週月曜日から、またまた夕刊フジで「断末魔の中韓経済」の短期集中連載が始まるのでございます。というわけで、月曜日分の連載の〆切は本日午前中なのです。まあ、書くこと決まっているから何とかなると思いますが。
というわけで、ウクライナと台湾(すみません。ロシアじゃなくてウクライナでした)。
『ウクライナ、ガス料金50%値上げへ
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304233804579463853096812452.html?mod=japan_newsreel
ウクライナは家庭用ガス料金を5月1日から平均50%値上げする。インタファクス通信が26日、国営ナフトガス幹部の話として伝えた。必要な国際通貨基金(IMF)からの融資を確保したいウクライナ政府の思惑が背景にある。
報道によると、この高官は値上げについて、2018年までに「経済的に適切な」水準に料金を引き上げる計画の一環だと説明した。
また暖房料金も7月1日から40%値上げされる見通しだという。
ウクライナは消費者向け天然ガスに巨額の補助金を出しており、予算が大きく圧迫されている。IMFによるこれまでの2つのウクライナ支援策は、政府がガス料金の値上げを拒否したため、白紙に戻った。』
IMFから支援を受けるには、ウクライナは例により「緊縮財政」を実施しなければなりません。IMFから支援を受けなければ、ウクライナ政府はデフォルト(財政破綻)し、ハンガリーやオーストリアの銀行経由で欧州の金融システムに悪影響が伝播する可能性があります。
ウクライナ政府による天然ガスの補助金の削減は、反対側のウクライナ国民からしてみれば事実上の増税という話になります。ガス補助金の廃止が効いたのか、IMFはウクライナ向け140億─180億ドルの融資枠設定を了承しました。これで、当面のデフォルトは回避されたことになりますが、国民には重い代償を強いることになるでしょう。
無論、IMFが緊急融資を了承したところで、ウクライナ政府は更なる緊縮策を国会で通さなければなりません。(通さなければ、融資は実行されません)
現在、ウクライナの通貨フリブナは暴落状態にあり、インフレ率も10%を超えています。すなわち、通貨価値がひたすら下落していっているわけで、これを食い止めるにはデフレ化政策しかありません。そういう意味で、IMFの緊縮政策(ワシントン・コンセンサス)は経済的な処方箋としては正しいのですが、国民が貧困化し、政治危機につながるケースが少なくないのはご存知の通り。
ウクライナの現政権は、2月後半のクーデターで大統領が逃亡した後、どさくさで政権を握った「暫定政権」です。ヤヌコビッチ大統領は、ロシアに接近することで天然ガスの購入金額を押し下げ、デフォルトを回避しようとしたのでしょう。通貨フリブナも、今年の1月までは安定していました。
民主主義で選ばれたヤヌコビッチ大統領を、クーデターで追放し、ロシアにクリミアを採られ、ガス代金で嫌がらせの限りを受け、デフォルト回避のためにIMFにすがるしかなく、国民に「痛み」を与えることになる暫定政権が「民主主義」の洗礼を受けていない。何が何だか、分からない状況になっています。
一つだけ確かなのは、今後のウクライナ国民の怒りが暫定政権に集中するだろう、ということです。暫定政権側は、緊縮政策に対する国民の怒りをかわすために、選挙に訴えなければなりません。大統領選挙は5月25日に予定されていますが、ここで親欧米派、新IMF派が勝利しなければ、ウクライナは再び混乱の泥沼の中に叩き込まれることになります(一応、親欧米派がリードしています)。
さて、ウクライナ問題を語る際に、「選挙で選ばれたリーダーを暴力で追放する」ことが正しいのか、正しくないのかを問いかけるようにしています。一つの例として、前々首相である菅直人氏は「最悪」と言いたくなるほど問題がある総理大臣でした。東日本大震災や福島第一原発事故の対応を誤り、分けのわからない会議を乱立させ、復旧復興を遅らせ、消費税導入の地ならしをし、TPPに「平成の開国」とばかりに飛び込み、さらに法的根拠なく全国の原発を停止に追い込み、国民に4兆円近い「所得流出(ガス輸入代金として)」を強いています。
事前に菅氏が上記の失策をやることが分かっていたとして、日本国民がクーデターで氏を総理大臣の座から追放することは正しいでしょうか。個人的には、正しいとは思いません。どれほど愚劣な人物であったとしても、菅直人氏が日本の民主主義のプロセスに則って政権の座に就いたことに変わりはないのです。
とはいえ、たとえば菅氏が「日本国内から米軍を追放し、代わりに中国人民解放軍を駐留させる」などと言い出したら? その場合、日本国民は民主主義で選んだ総理大臣を「暴力」をもって追放することが正しいか、間違っているか。深刻な問いを突き付けられることになるでしょう。
上記にかなり近い状況に陥っているのが、現在の台湾なのです。
『無期限の国会占拠を宣言 台湾の学生ら、総統批判
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140327/chn14032722390011-n1.htm
中国との「サービス貿易協定」承認を阻止するため、台湾の学生らが立法院(国会)の議場を占拠して10日目の27日、学生らが記者会見し、協定撤回などの要求に馬英九総統が応じるまで無期限で占拠を続けると宣言した。30日に総統府前で抗議デモを実施するとし、市民らの参加を呼び掛けた。
馬総統による直接対話の提案に当面応じない姿勢を示した。馬総統はあくまで協定承認を目指す構え。収拾に向かうかはさらに不透明となった。
学生らは、馬氏が要求を理解していないと批判。「あきらめて(議場を)出て行くと思ったら間違いだ。政府への戦いを宣言する」とした。
総統府は学生らの会見後「(対話の呼び掛けを)前向きに受け止めてほしい」とする声明を発表、デモでは「不要な衝突が起きないよう望む」と理性的な行動を求めた。』
現在も台湾の学生、市民らの戦いは続いています。何しろ、立法院で台中サービス貿易協定を批准されてしまうと、終わりです。台湾という国家は、今後、十年程度をかけ、中国共産党に飲み込まれることになるでしょう。
先日の「台中サービス貿易協定
」で書きましたが、馬政権は民主的プロセスを無視し、中国共産党と共に協定に署名してしまいました。
国会を占拠する行為は、民主主義的に間違っている行為です。とはいえ、総統に暴走(あるいは当初からの計画かも知れませんが)で台湾の民主主義が明らかに壊される方向に行こうとしている以上、「民主主義を守るために、民主主義を踏みにじる」行為が必要なことも、現実にあり得るのです。
。
台湾の人々の気持ちを外国人であるわたくしが語るのはおこがましいというものですので、以下の動画をご紹介するにとどめます。
【私は、台湾人です、私は、この国の民主の歩みと共に成長しました】
http://www.youtube.com/watch?v=nCaQJCkt8wk
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23151629
ウクライナや台湾、あるいは昨日のフランスやスペインの「現在」は、日本の将来かもしれません。その可能性がゼロどころか、高まっているように感じられるからこそ、今、日本国民は「民主主義」について改めて真剣に考えなければならないと考えたのです。
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