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『G0.5(前編)①』三橋貴明 AJER2014.3.11(5)

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 クリミア半島でロシアへの編入の賛否を問う住民投票が行われています。暫定政権や欧米が反発を強める中、住民の賛成多数で可決されるのは確実な状況になっています。(選挙管理委員会の公表した暫定結果で95.5%の賛成票。ちなみに、投票率は82.71%)


 クリミア自治共和国のアクショノフ首相は、17日(本日)ロシア編入に向けた正式な申請書を用意することを明らかにしました。本日、クリミア議会の代表団がロシア入りし、編入手続きについて協議する予定になっています。


 現在、ウクライナ海軍がクリミア半島のセバストポリに閉じ込められており(ロシアの黒海艦隊が封鎖している)、アクショノフ首相は住民投票終了次第「外国軍」としてウクライナ軍を排除すると表明しています。ウクライナ海軍のゴンチャロフ艦隊副司令官は、
「平和を望むが、相手の出方によっては戦わざるを得ない事態も想定している」
 と、語っています。


 さて、ウクライナ情勢が緊迫する中、脈略なく日本の国土強靭化の記事を。朝日新聞に画期的な記事が載りました。


『(私の視点)国土強靱化 防災と経済織り込み議論を 藤井聡
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11026180.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S11026180
 首都直下や南海トラフなどの巨大地震の発生が危惧されている。首都直下は30年以内に7割の確率で起きるという。数万~数十万人の命が奪われ、100兆~200兆円の被害が試算されている。
 そんな事態が想定されている以上、政府が備えを進めるのは当然である。その柱となる政府の「国土強靱(きょうじん)化」の政策づくりに公共政策の専門家として関与した。
 私が座長を務める「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」と、事務局を務める内閣官房の国土強靱化推進室を中心とした政策チームでは、膨大な各種施策の立案と調整作業に省庁横断、官民一体で取り組んだ。
 「国土強靱化」に対しては、毎日新聞の社説(昨年10月7日付)が「ばらまきの印籠(いんろう)は困る」と批判的に論じ、朝日新聞の社説(1月7日付)は「防災と経済は分けて考えるべきだ」と主張した。
 政府内外問わず無駄なばらまき回避を批判する者はなかろうが、「防災と経済を分けよ」という論点にはある種の新鮮さを感じた。確かに「経済(予算)」をかけない「防災」や、逆に「経済」を度外視してでも「防災」に力を入れよ、という議論もあり得る。
 しかし、「将来の三陸津波」に備えながら復興に努力する東北の人々にとっては、復興事業を通じて地域防災と経済の活性化を図ることが極めて重要だ。いま、まさに「防災と経済」を一体化して復興事業を進めている。
 公共事業としての防災事業を地域経済の活性化につなげようというのは、東北に限ったことではない。多くの地方都市が実践している。津波からの避難路を作るのなら、それを平時の経済活動にも活用する方が得策だ。被災想定地域に集中しているエネルギー施設の分散化は、地方の経済振興と連携を図ることが必要だ。
 防災と経済の一体化を目指す具体例としては、南海トラフ地震の際の大阪、名古屋へのエネルギー安定供給のための福井でのLNG基地構想が議論されており、そこでは明確に地域の経済政策との連携が模索されている。
 つまり、「ばらまき」を避けるために「防災と経済を分けるべきケース」があるとしても、「防災と経済を一体的に考えるべきケース」もまた明白に存在するのだ。
 防災の視点を平時の経済活動の中に、経済の視点を防災の取り組みの中にそれぞれ織り込んでいくことは、極めて合理的な姿勢だ。「国土強靱化」もそうした観点から踏み込んだ議論をしてほしい。ジャーナリズムにも、ばらまき批判だけでなく、「防災文化」を育てるよう力を貸してほしい。』


 毎日新聞の「バラマキの印籠」は論評するに値しない低レベル(まるで地を這うような)記事ですが、朝日新聞の「経済と防災をわけよ」という主張は、藤井先生が書いていらっしゃるように新鮮です。例えば、
経済がどうであろうとも、やるべき防災はやるべきである
 という話であれば、それはそれで筋道が通っています。


 正直、朝日新聞の「経済と防災をわけよ」は、とにかく公共事業を否定して妨害するために編み出したレトリックだと思いますが、たとえば一年後に大震災が発生することが分かっていたとして、インフレ率が高い需要過多の時期はどうなるでしょうか。


「これ以上、耐震化のための公共事業を拡大すると、更なるインフレ率が上がる」
 としても、
それでも、やらなければならない
 が、正解なのでしょう。何しろ、国民の生命と財産がかかっているわけなので、非常事態を控えて「何もしない」ことは、いかなる理由があろうとも経世済民に反します。


 大地震という危機に直面している国が、たまたま耐震化技術等について劣っているならば、外国から技術や企業、人材を導入しても、国内の耐震化、防災等を実施しなければなりません。結果的に、インフレ率が上昇し、国民経済が疲弊しても、それは「大震災から自分たちを守る」ために国民が支払わなければならないコストというわけです。


 それに対し、長引くデフレでインフレ率が低迷し、かつ耐震化技術が十分で、企業も未だ存続している国が、将来の大震災の備える場合にはどうなるでしょうか。
 国内の技術や企業が、その力を惜しみなく発揮し、耐震化や防災を実施する。政府はそのための「お金」を支払う。結果的に、GDP上で公的固定資本形成は拡大せざるを得ません。すなわち、必然的に経済成長してしまうのです。


 というわけで、日本が国土強靭化を実施すると、
「防災が目的である!」
 とのお題目であったとしても、結果的にGDPの成長(経済成長)と経済力(供給能力)の強化が達成せざるを得ない(変な言い方ですが)わけです。すなわち、現在の日本において、「防災か? 経済か?」とやることは無意味です。防災のための公共投資を拡大することで、自然に経済も成長してしまいます。


 さらに、そもそも経済成長のためには防災が「基盤」として必須であることも忘れてはなりません。どこの世界に、
「次の地震で全てが崩壊してしまう可能性がある地域」
 において、投資を拡大する経営者がいるというのでしょうか。当然ながら、国土強靭化とは投資と経済成長を呼び込むためのインフラストラクチャーなのです。


 あるいは、住民にとっても防災は「安心」というかけがえのない商品を提供してくれます。講演などで、
「日本はすでに成長し、成熟し、欲しいものはあらかた手に入れたので、これ以上、経済成長する余地はない」
 と、面白い(とはいえ完全に思考停止した)意見を言ってくる方がいます。そういう方には、以下の通り返すわけです。


「へえ。あなたは【安心】という商品はいらないんですか


 要するに、現在の安寧で平和で快適で安定した暮らし、あるいは「環境」が、未来永劫続いていくものと勘違いしているわけです。この種のナイーブ(幼稚)な方々にとっては、非常事態への備えや安全保障の強化は「無駄な商品」という話になるのでしょうが、現実は異なります。


 現在の世界は、アメリカのパワーが落ちてきたこともあり、グローバリズム(というか「平和な環境の中のグローバリズム」)がほころびつつあります。自然災害のみならず、「外国」との問題についても、今後は何が起きるか分からないのです。


 少なくとも、昨年11月くらいまでは、ウクライナで「クリミア半島がウクライナ領ではなくなる」などと考える人は、ほとんど存在しなかったでしょう。(おお、冒頭の話と繋がった)

 非常事態は起きえるし、備えとしての安全保障の強化をしないならば、政府などいらないのです。そして、現在の日本にとって、国土強靭化や安全保障の強化をすることが経済成長に結びつき、次なる成長のための投資を引き出す基盤となるわけです。

 というわけで、ジャーナリズムの皆さんには、そろそろ国土強靭化に対する「批判のための批判」をやめて頂きたいものだと、藤井先生の寄稿を読んで考えた次第でございます。

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