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『G0.5(前編)①』三橋貴明 AJER2014.3.11(5)
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飛鳥新社「愚韓新論
」がまたもや増刷になりました! これで第4刷になります。目指せ、室谷さん!
本日は三橋経済塾(第三期)第三回講義「経済学と財政」の開校日です。塾生の皆様、よろしくお願いいたします。
さて、経済財政諮問会議の「移民年間20万人受け入れ検討」の件を大々的に取り上げた産経新聞ですが、一応、移民問題の懸念点の記事も同時に報じています。
『世界の移民政策 国内反発続き 経済メリット少なく
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140313/biz14031322170028-n1.htm
欧米や東南アジアでは、すでに多くの国が国力増強を図るため、移民や外国人労働者を積極的に受け入れている。しかし、国内批判の高まりや効果が不十分であることなどから、従来の政策の見直しを迫られているところも少なくない。
欧州で最近、移民政策をめぐり大きく揺れたのがスイスだ。2月9日に行われた国民投票で、これまでの移民政策を転換し移民の受け入れを制限するという提案が賛成50・3%、反対49・7%の僅差で承認された。今後、政府は受け入れ可能な移民数の上限を毎年、設けることが求められる。
ジュネーブやチューリヒなど政治・ビジネスの国際都市を抱えるスイスの居住外国人(移民も含む)は、人口約800万人の4分の1近くにも及ぶ。昨年も移民だけで約8万人増えたが、その多くは欧州出身だった。高賃金など労働環境の良さが魅力とされる。
国民投票で移民制限が承認された背景としては、社会保障の負担増や家賃上昇など暮らしへの悪影響、つまり、移民によって経済的豊かさが脅かされる不安の高まりが指摘されている。(後略)』
今回の騒動は「100年後を見据えた外国移民」という建前にはなっていますが、もちろん本来の目的は「短期的な外国人労働者の拡大」です。
経済財政諮問会議や産業競争力会議の「民間議員」たち、あるいは政治家や官僚の一部が勘違いしていると確信しているのですが、外国移民あるいは外国人労働者とは「駒」ではありません。人間です。
昨今の各種業界の人手不足問題を受け、経済界を中心に外国移民というか「外国人労働者」を大々的に受け入れようという動きが出てきています。そういう方々には、是非とも以下の疑問に答えて頂きたいのです。
「うん。今は人手不足だから、外国人労働者の雇用ニーズはあるよね。じゃあ、日本がまた不景気になって、外国人労働者が不要になったらどうするの?」
無論、経済界は、
「その時は、解雇する」
という話になるわけです。すると、解雇された「人間」である外国の方々はどうするのでしょうか。帰国する人もいるでしょうが、帰国しない人は、「日本国」の社会保障に頼らざるを得ません。すなわち、日本国民の税金から、彼らに所得移転が行われることになります。
つまり、現時点で外国人労働者を雇用することで「利益」を稼ごうとしている経済界の皆様は、短期的に「自分の所得」を増やし、将来的に負担を「日本国民」に押し付けようとしているわけです。
それは、ちと汚くはないですか? 藤井先生ではないですが、お天道様に顔向けできますか?
もちろん、経済が失速した「後」のことも考慮し、外国人労働者を雇用される日本企業もあります。とはいえ、その種の企業は「超超超」と、超が三つくらいつく大企業のみです(分かるでしょうけれども)。超x3大企業は、もちろん「将来のこと」を考える余裕と体力があるからこそ、「責任」をもって外国人労働者を雇用することが可能なのです(それでも、一部、巧くいっておらず、問題を引き起こしていますが)
いずれにせよ、普通の日本企業には、「人手不足が終わった後」のことまで考える余裕はありません。
「日本国民を雇用したところで、不景気になれば解雇せざるを得ないのは同じじゃないか」
と反駁されるかも知れませんが、日本国民は「日本国」の国民である以上、わたくしたちは互いに助け合わなければなりません。今日、雇用された国民が将来、景気が悪化し解雇された場合に備え、セーフティネットを構築し、その負担をするのは日本国民の「義務」だと信じます。
なぜならば、さらに遠い将来、この国が震災や戦争といった国家的危機を迎えたとき、わたくしたちがコストを負担したセーフティネットで守られた日本国民が、わたくしたちを助けてくれるかも知れないからです。何しろ、日本は世界屈指の自然災害大国です。国民同士が助け合わなければ、この国では生き延びることができず、この種の「国民同士の助け合い」の精神を、ナショナリズムというのです。(軍靴の音は聞こえてきません)
そもそも、全体の失業率3.7%、若年層失業率8%、34歳までのNEETの数60万人、生活保護世帯数160万世帯の我が国は、現時点でも「労働者が足りない」などということはありません。65歳超を超えた方々にしても、目茶目茶元気じゃないですか、今の日本国民は。
現在、ついに東北・東京のみならず、他の地域においても公共事業の入札不調が増えてきています。例えば、香川県高松市のある事業は、工事費用の高騰を受け、当初は一社も応札がなく、その後、公共事業の事業費(予定価格)を1.6倍に引き上げ、落札されました。
要するに、人件費や資材価格の上昇という「市場」に、公共事業の予定価格が追い付いていないわけです。すなわち、常日頃「市場! 市場!」と言っている人たちは、今こそ、
「市場原理に則り、公共事業の予定価格を引き上げろ!」
と、主張しなければならないのです。
それこそ「市場」を無視しているのは、現在は財務省や国交省の方であり、人件費の上昇はまさに「市場競争」の結果、生じているわけでございます。財政均衡主義の誤りを正し、政府が「市場」に従うことこそが、現在の日本における最高の雇用創出策になります。
実のところ、人手不足ほど「働き手」にとってありがたい環境はありません。日本国の需要を満たすために、日本国民が働き、所得を増やしていく。所得が増えた国民は消費、投資を拡大し、内需が増えていき、所得の上昇は次第に様々な産業に波及していく。人手不足の環境下で、国民(働いていない国民)が一人、また一人と職を得ていき、自らの中に様々な技術、スキル、ノウハウ等を蓄積していく。働く国民一人一人に蓄積された能力の集合体こそが「国力」あるいは「経済力」なのです。
人手不足こそが、我が国の国民の所得上昇と「経済力(=国民経済の供給能力)」の強化の「始まり」になる可能性が高いのです。
ところが、この状況で人手不足を外国人労働者の導入で補おうとすると、当たり前ですが「日本国民」に技術やノウハウ等が蓄積されることはありません。人件費を削減でき、利益を増やせる経営者や株主は嬉しいかも知れないですが、日本の「国民経済」にとっては最悪です。
さらに、将来的に様々な社会問題を引き起こす可能性が高いのです。不思議なことに、実際に欧州諸国で様々な社会問題、軋轢、混乱、暴動(フランスなど)、テロ(オランダ、ノルウェー)、国民戦線(フランス)や自由党(オーストリア)に代表される反移民を掲げる政党の支持率上昇など、
「労働者不足を補うための外国移民の拡大」
という政策がグローバルで失敗に終わっている現実を、国内の移民論者たちは語ろうとしません(もちろん、理解しているのでしょうけれども)。岩田一政氏をはじめ、彼らは一様に「グローバリスト」でございます。なぜ、移民問題については「グローバルな事例」に倣おうとしないのでしょうか。
結局のところ、彼らが「100年後の日本」のことなど微塵も考えておらず、短期的な「利益拡大のための駒」として外国人労働者を見ていることが分かります。
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積極財政による日本経済復活を目指して活動をしているボランティアグループです。
Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
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