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 久々に東京に帰って参りました。
 
 さて、まともな話。


防衛調達、形骸化の「入札」見直し コストダウンへ随意・長期契約推進
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140219/plc14021907410002-n1.htm
 防衛省は18日、同省が発注する防衛装備品の調達について、一般競争入札を一律に適用する原則を見直し、随意契約や長期契約を推進する方針を固めた。官民双方で長期・安定的なパートナーシップを構築し、防衛産業を育成・保護するのが狙いだ。4月をメドにまとめる「防衛生産・技術基盤戦略」に盛り込み、平成27年度の防衛装備品の調達から随意契約や長期契約を増やしたい考えだ。
 防衛装備品の調達をめぐっては、18年の公共調達適正化に関する財務相通達により、一般競争入札の原則が決定した。それまでの防衛装備品購入件数は一般競争入札が5~6割、随意契約が3割前後を占めていたのが、23年度には一般競争入札が88・4%を占め、随意契約は9・6%にとどまった。
 だが、特殊な設備や高度な技術が必要なため、供給元は特定の企業に限定され、結果的に1社しか応札しないケースが多く、一般競争入札の手続きは形骸化しているのが現状だ。
 このため、防衛省は「随意契約で複数年契約を結び、業者に細かい見積書を提出させることで、大幅なコストダウンをはかれる」(関係者)との判断に傾いた。与党内にも「一般競争入札は防衛産業には適していない」(自民党中堅)との声が強く、経団連も随意契約活用を求めている。
 随意契約はそもそも、不正の温床になりやすいとの批判があったことも踏まえ、同戦略には戦車の計器類など製造業者が1社しかない装備品に限って随意契約を推進するよう盛り込む。さらに、安全保障政策上、国内の防衛産業が安定経営を維持できるよう、設備投資意欲促進のため長期契約の推進も明記する。
 今回の見直しにより、調達の契約は18年より前の状態に戻るとみられる。
 また、国産化を推進する昭和45年の防衛庁長官決定を見直し、コスト高対策で進めている欧米諸国と同様に国際共同開発・生産への参加推進を打ち出す。』


 信じられない方が少なくないでしょうが、日本では自衛隊の装備品(兵器)の調達まで「一般競争入札」が原則でした。率直に言って、常軌を逸しています。


 一般競争入札とは、広く仕様を公開し、業者に入札させ、「価格」で判断するということになります。別に、トヨタのプリウスを調達するなら、一般競争入札でも構わないでしょうが、自衛隊が調達するのは兵器です。すなわち、日本は軍隊の兵器調達において、
我が軍は、こういう仕様の兵器を装備します
 と、毎回、世界中に宣言していることになります。こんなバカな真似をしているのは、もちろん日本だけです。


 また、装備品(兵器)という特殊仕様の「製品」を製造するには、企業側との協力関係、情報交換が欠かせません。とはいえ、企業側からしてみれば、防衛省に協力し、情報を提供しても、何しろ一般競争入札なので、
もしかしたら、我が社が受注できるわけではないのかも知れない
 という疑念が生じます。結果的に、防衛産業が自衛隊に積極的に情報提供するケースが減っていきました。


 産経の記事には(故意に?)書いていませんが、装備品調達の一般競争入札化は、軍事上の秘密漏洩(というか、自ら世界に公表していた)、装備品の品質低下(企業が協力してくれない)という問題を発生させていたのです。

 無論、市場原理という視点から見れば、随意契約は、
「市場競争が存在しない! 市場原理に反している!」
 という話になるわけですが、長期的な安全保障の強化は市場原理より優先順位が高いのです

 そもそも、公共調達において「原則的に一般競争入札」などとやっているおバカな国は、我が国だけです。他の国々は、かのアメリカですら、
「調達品の特徴、特性によって、一般競争入札、指名競争入札、随意契約を使い分ける
 という法律、ルールになっています。たとえば、NASAのように特殊技術の調達が多い組織が、「一般競争入札」で必要品をまかなえるわけがありません。


 やたら「市場! 市場競争!」と叫ぶ人たちには、一つだけ言いたいわけです。
少しは常識に則って考えてみろよ
 と。


 くどいですが、自衛隊がプリウスを調達したいなら、一般競争入札でも構わないのです。何しろ、調達品の品質はそれこそ「市場」が保証してくれます。市場で評価された製品を、自衛隊が調達するわけですから、一般競争入札を実施し「価格」で決めればいいのです。


 それに対し、自衛隊の装備品は「秘密厳守が求められ、他には存在しない兵器」なのです。この類の製品の調達まで2006年の「財務相通達」により一般競争入札を実施してきたのが、我が国というわけでございます。

 また、防衛省の調達に際し、毎回、一般競争入札を強いられる企業側は、当然ながら、
本製品の次の調達のときは、落札できないかも知れない。何しろ、毎回、一般競争入札だし
 というわけで、他に競合がいない場合であっても「高く」落札しようとします。結果的に、自衛隊の装備品調達のコストが上昇していたのは確かでしょう。


 逆に、随意契約で長期にわたり受注が保証されるのであれば、企業側も「長期間で投資を回収しよう」と考えるでしょう。


 すなわち、自衛隊の装備品の一般競争入札化は、
「軍事秘密のはずの兵器の仕様を世界にオープンにする」
「企業側が技術情報の提供をためらい、品質が下がる」
「長期の受注が保証されないため、一回当たりの調達のコストが上がる」
 と、少なくとも三つの「致命的」な問題を抱えていたわけです。


 といいますか、装備品の調達を一般競争入札化すると、上記の類の問題が発生することなど誰でもわかりそうなものです。それにもかかわらず、よくもまあ、こんなバカげたことをやっていたものです。

 結局、昨今までの日本においては(今もですが)「市場」という言葉が、ある種の魔力を(あるいは言霊を)帯びていたのだと思います。


 断言しておきますが、別に「市場」「市場原理」は万能薬ではありません。この世に万能薬はありません。特定分野、特定産業に「市場」を導入するべきなのか、そうするべきでないのか。そんなことは、常識を兼ね備えた大人が真剣に考えれば、誰でもわかるはずです。


 結局のところ、現在の日本や世界の混乱は、世の中を牽引する大人が「常識を取り戻す」過程であると表現することができるように思えます。
 偏見や固定観念(「市場原理は正しい!」など)を捨て、まずは落ち着いて、常識で考えましょう。


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