ユーロ2014 後編

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『2013年を振り返って2014年を考える(後編)③』三橋貴明 AJER2013.12.17(3)

http://youtu.be/5MLSAVnKaao

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1月18日 「2014年 日本はデフレ脱却し成長路線に回帰するのか?」( 日本橋人形町)

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 都知事選に関する報道が流れていますが、わたくしは「正式表明前」の論評はできませんので、ご了承下さいませ(「書いて下さい」というメールが十通以上来ましたが)。とはいえ、年末に書いた通り、現時点においては、
「文句なしで支援できる方が、出馬される可能性が高い」
 と思っているのは確かであり、この表現に留めさせて頂きます。


 というわけで、2014年のユーロ。


 わたくしが企画・監修を務めさせて頂きました、さかき漣:著「顔のない独裁者 「自由革命」「新自由主義」との戦い 」では、「奥羽州」が独立の動きを強めています。他道州との間に「関税」を設け、さらに「奥羽判」なる道州通貨を発行するべく、独立派が支持を集めつつあるというのが「顔のない独裁者 「自由革命」「新自由主義」との戦い 」の世界でした。


 実は、奥羽州の「日本からの独立運動」にはモデルがありまして、ずばりスペインのカタルーニャ州になります


『カタルーニャ独立問う投票、来年11月に実施か スペイン
http://www.cnn.co.jp/world/35041365.html
 マドリード(CNN) スペイン北東部カタルーニャ自治州の与党など4党は12日、来年11月にスペインからの独立の是非を問う住民投票を計画していると発表した。4党は独立支持派で、カタルーニャ州議会では過半数の議席を占めている。
 スペイン政府は17ある自治州のいずれの分離独立も憲法違反だとの立場を貫いており、この住民投票にも反対している。ガリャルドン法相は同日、「投票は実施されない」と述べた。
 独立支持派も、住民投票の実現に向けて解決すべき課題が多い点は認めている。カタルーニャ自治州のマス首相の報道官は「中央政府と開かれた交渉を行いたい。スペイン国家は、この問題を見て見ぬ振りはできない」と述べた。マス氏は住民投票計画をとりまとめた中心人物だ。
 住民投票は「カタルーニャが国家になるべきか」をまず問い、続いて「その国家に独立を望むか」を問うという。
 バルセロナを州都とするカタルーニャは、スペインの中でも経済力の大きな地域だ。昨年と今年の9月11日には、自決権を求める大規模なデモが行われている。
 世論調査によれば、カタルーニャでは自決権を求める住民の割合が過半数を大きく上回っている。だが独立に関しては、賛成がかろうじて50%を上回る程度だとの調査結果も出ている。』


 道州制(※日本維新の会の衆院選時の公約的道州制です。自民党の道州制が何をやりたいのかは、現時点ではよく分かりません)やら、地方交付税について「産業振興の度合いにより格差を設ける」といった政策、さらには「人口比例選挙」実現の動きなどは、我が国において地方と地方を切り離す効果をもたらします。国家としての遠心力を強めることになるわけです。


 ちなみに、スペインはまんま「道州制」的な州政府権限強化政策を導入していましたが、カタルーニャの独立運動が過激化したのは「スペイン不動産バブル崩壊後」になります。実は、地方主権や道州制は、バブル崩壊前の経済成長期にはそれなりに機能する可能性があるわけです(但し、大震災等「国家の力」を結集しなければならないイベントが発生しないことが前提ですが)。特に、バブル期は政府の税収(道州政府の税収含む)は何をしなくても増え、景気対策等は不要です。驚くなかれ、06年前後のスペインは「財政黒字」状態になっていました


 政府の税収が充分で、国難級のイベントが発生しないならば、「道州制だ~っ!」「地方主権だ~っ!」と浮かれていても構わないのです。ところが、バブルが崩壊し、国民経済がデフレ化すると、いきなり道州間の反目が激しくなることになるわけです。理由は単純に政府の財政赤字が激増し、「地方税収の絶対額」も減少してしまうためです。


 デフレになると、地方自治体の税収は減り、限られた「税収というパイ」の奪い合いが発生することになります。結果的に、富裕道州は、
「何で、俺たちの税金が貧しい道州に投じられなければならないんだ」(注:これがカタルーニャ州のパターン)
 と反発を抱き、貧困道州は、
「このままでは我が道州は消滅してしまう。ここはいっそ、関税自主権や通貨発行権を手に入れ、独自の道を歩む必要があるのでは」(注:奥羽州のパターン。あるいは「ギリシャ」パターンか?)
 と思い込むようになり、国家は床に叩きつけられたビーズ玉のようにバラバラになっていくわけです。その状況で、国難級のイベントである大震災や外国の侵略が発生したらどうなるか。というのが、「顔のない独裁者 「自由革命」「新自由主義」との戦い 」の物語の縦糸になっているわけでございます。


 現在のスペインは、ユーロ加盟国かつ事実上の道州制(州の権限が強い)で、さらにバブル崩壊というわけで、「国家解体」が現実的な問題として浮上しています。元々、マドリッド政府と反目する傾向が強かったカタルーニャ州が「富裕州」であり、自分たちが「他の貧困州のために負担をさせられている」状況なわけでございます。


 スペイン政府がカタルーニャの独立に向けた住民投票を認めるとは思いませんが、いずれにせよ「道州制(正確には地方政府の権限を強めているという話ですが)でバブルが崩壊すると、どうなるか」という問いに対し、極めて典型的なモデルケースを提供してくれそうな状況でございます。


 さて、欧州では今年、欧州議会選挙が行われますが、フランスにおいてマリーヌ・ルペン党首率いる「国民戦線」が、世論調査で二大政党を抑えて首位に立つという事態になっています。国民戦線は、日本の新聞などでは「極右」と表現されますが、掲げている政策は「反移民」「反EU」です。要するに「フランス国民の主権を取り戻そう」と主張しているわけで、正直、政策を見る限り、「極右」の表現が正しいのかどうか疑問に思ってしまいます。


 例えば、国民戦線が掲げる移民政策は、
「移民は制限する。ただし、フランスの文化を尊重、保護する移民は拒まない
「フランス国籍を持つ移民や移民二世・三世でも、犯罪を行った場合は出身国へ強制送還させる」
 と、日本国民のマジョリティが賛成してしまいそうなほど「穏当」なものです。「移民は全て排除」ではなく、
我が国の文化を尊重し、保護してくれる移民ならば構わないが、そうでないならばノン!
 というわけでございます。


 ちなみに、わたくしは完全雇用が達成されておらず、高齢者・女性の労働力も活用しきれておらず、さらに生産年齢人口の生産性向上の余地があり、日本の文化・伝統・価値観の独自性、安全保障問題に鑑みた場合、現時点における日本の移民受け入れは「不要」という立場でございます。そもそも「デフレ(供給能力過剰)」の国で移民の話をしている時点で、意味不明なわけです。(我が国では土建産業、物流産業など、一部の産業で供給能力不足が顕著になっていますが、GDPデフレータがマイナスで、完全雇用が達成されているわけではない以上、全体では未だ供給能力過剰、需要不足の状況にあります。木を見るのも大切ですが、森を見るのも重要です)。


欧州議会選での「反EU」勢力共闘呼びかけ 仏オランダ極右
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131114/erp13111421540007-n1.htm
 フランスの極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首とオランダの極右政党、自由党のウィルダース党首は13日、オランダ・ハーグで共同記者会見し、来年の欧州連合(EU)欧州議会選に向け、「反EU」勢力の共闘を呼びかけた。
 欧州では債務危機に伴う緊縮財政策などでEUへの不満が強まっており、欧州議選での反EU勢力拡大が懸念されている。ルペン氏は「愛国的活動が分断された日は、もはや過去のものだ」と強調。ウィルダース氏は「ブリュッセルの怪物からの欧州解放はきょう始まる」と訴えた。
 欧州議会選(766議席)は来年5月実施。議会で政治グループをつくるためには7カ国以上の少なくとも25議員が必要。結成した場合、議会活動が展開しやすくなる。現在はFNが3議席、自由党が4議席の保有にとどまっている。』


 ぶっちゃけた書き方をしますが、ギリシャの「黄金の夜明け」とフランスの「国民戦線」では、同じく「極右」という表現をされていますが、「右への傾き度合」には大きな違いがあります。別に、国民戦線は、
「移民を全員国外追放し、国境線に地雷を埋めろ!」
 といった公約を掲げているわけではありません(黄金の夜明けの公約は、マジで上記でした)。


 グローバリズムの肝は、モノ(財・サービス)、カネ(投資)、ヒト(労働力)という経済の三要素の「国境を越えた移動」を自由化していくことです。当たり前ですが、
「全てのモノ、カネ、ヒトの国境を越えた移動を自由化する」
 と、
「全てのモノ、カネ、ヒトの国境を越えた移動を禁止する」
 との間には、無限のバリエーションがあるわけです。TPPに反対すると、「お前は日本が鎖国すればいいのか!」「自由貿易を否定するのか!」などと極論を振りかざすおバカさんが未だに存在しますが、誰もそんなことは言っていません。


 TPP反対派は、単に、
節度を持ち、相手国の文化、伝統、歴史、価値観、ライフスタイル、商慣習、法律、安全保障確立を尊重した上で、貿易を拡大しましょう」
 と言っているに過ぎず、上記が守られるのであれば自由貿易、大いに結構でございます(もっとも、デフレ期に国内で無用な競争激化を招く自由貿易強化は、いずれにせよ反対しますが)。


 国民戦線は、
「移民については、もう少し節度のある受け入れをしよう
 と主張しているわけですが、それだけで「極右!」とレッテル貼りをされてしまうというのが現実であり、まさにこれこそが現在世界が抱える病の一部なのだと思います。


 現在の世界各国は、グローバリズムについて、
これまでとは異なる、節度のあるグローバリズム
 を目指すべきであり、それこそがむしろグローバリズムを発展させる道なのでしょう(この辺りの話は、柴山桂太先生が翻訳された「グローバリゼーション・パラドクス: 世界経済の未来を決める三つの道 」が参考になります)。


 いずれにせよ、世界で最もグローバル化が進行したユーロ圏で、「国家解体」や「移民問題」が政治的イシューとして上がってきているわけです。まさしく、2014年のユーロは正しい国民経済を追求する国家、国民にとって、素晴らしきケーススタディ(事例)を提供してくれることになると確信しているわけでございます。


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