株式会社三橋貴明事務所
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『2013年を振り返って2014年を考える(後編)③』三橋貴明 AJER2013.12.17(3)
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1月18日 「2014年 日本はデフレ脱却し成長路線に回帰するのか?」( 日本橋人形町)
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チャンネル桜「闘論!倒論!討論!2013 年末スペシャル「国土強靭化が日本を救う」」に出演致しました
1/3【年末SP討論】国土強靭化が日本を救う[桜H25/12/31]
http://youtu.be/7zMSE8eUqGE
2/3【年末SP討論】国土強靭化が日本を救う[桜H25/12/31]
http://youtu.be/cHlPj1GKrKQ
3/3【年末SP討論】国土強靭化が日本を救う[桜H25/12/31]
http://youtu.be/bbDZQ_7KM-Q
上記の討論で、青木泰樹先生が政府や中央銀行は「雇用者報酬の増加率の目標を立てるべきでは?」と問題提起されていましたが、「なるほど」と思ったので、本日取り上げます。(マクロ的な経済指標としての「雇用者報酬」の意味は、明日の「週刊三橋貴明 ~新世紀のビッグブラザーへ~ 」で解説致します)
『深まる米貧富の格差、非富裕層への打撃大きく-対応策も限界
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MYMK8M6TTDSX01.html
米国の所得格差の広がりが多くの家計に打撃を与え始めている。家計を支えるための資金を確保する手立てが足りないのだ。
富裕層と貧困層の格差は過去30年間で拡大したものの、貧困層はこれまで所得が圧迫されてもやりくりしてきた。主婦が労働に参加し、夫は仕事を掛け持ちして長時間労働をこなしてきた。持ち家がある家庭は住宅価格の値上がりを利用して借り入れができた。
ただ、こうしたやり方はとうとう限界を迎えたのかもしれない。女性の労働参加率はピークをつけ、住宅価格バブルの崩壊で多くの家庭が住宅ローンの下敷きになっている。
元経済諮問委員会(CEA)委員長で現在はプリンストン大学教授を務めるアラン・クルーガー氏は「対処メカニズムを使い果たしてしまった」と述べた。
ブルームバーグが実施した最新の世論調査によると、成功のチャンスはもはや平等に与えられていないと考える米国民は64%。与えられていると考える割合(33%)の約2倍だった。特に年間所得が5万ドル未満の層では不安感が顕著で、12月6-9日に行われた同調査では4分の3が経済は不平等だと答えた。(後略)』
現在、日本やアメリカの中央銀行が「インフレ目標」を掲げ、量的緩和を継続しています。日本銀行は「インフレ率」の目標しか掲げていませんが、FRBは失業率の目標も持っています。
そもそも、インフレの定義にも色々あるわけですが(CPI、コアCPI、コアコアCPI、GDPデフレータなど)、中央銀行の金融政策拡大でインフレ目標を達成したとして、
「国民が豊かになる国民経済」
を日米両国は取り戻すことができるでしょうか。できるかも知れませんし、できないかも知れません。
そもそも、「インフレ率を上昇させる」タイプのインフレ目標は、別に「物価上昇そのもの」が目的なわけではないのです。物価を上昇させることで、企業の設備投資等を促進し、雇用を改善させることこそが目的になります。
日本の場合、美しいフィリップス曲線を描くことができますので、「GDPデフレータベース(コアCPIではありません)」でインフレ率2%を達成すると、失業率は「完全雇用」になります。アメリカの場合は、フィリップス曲線が今一つ美しくないですが、それにしてもインフレ率が上昇すれば雇用が改善方向に向かうのは間違いありません。だからこそ、FRBは雇用の目標も持たされているわけです。
問題は、インフレ率が上がり、失業率が改善方向に向かったとしても、「国民が豊かになる国民経済」を達成できているとは限らないという点です。
【日本の雇用形態別雇用者数(役員は除く)の推移(単位:万人)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_44.html#Koyou
以前もご紹介いたしましたが、アベノミクスにより失業率が改善方向に向かっているのは確かですが、増えているのは主に非正規雇用です。非正規雇用の方が、
「将来に安心感を持ち、リスクを承知で消費や投資を拡大する」
とは思えませんので、「正規雇用」が増えた場合に比べると、中長期的な民間需要は拡大しにくいでしょう。
また、失業率が改善しさえすれば、現在のアメリカのような「所得格差を伴う経済成長」という問題を解決できるというわけでもありません。
記事の後略部にもありますが、アメリカの所得格差は1970年代以降に拡大し始めましたが、現在のジニ係数は過去最高を記録しました(2012年)。
カリフォルニア大学バークレー校のエマニュエル・サエズ教授の調査によると、所得上位10%の富裕層が12年に稼いだ所得が全体に占める割合は、1917年以降で最大になりました。所得上位10%の富裕層が2012年に得た所得は14万6千ドル超で、所得下層10%の所得の約12倍に相当するとのことでございます。(というか、所得下位10%層の所得低いですね・・・)
インフレ率が上昇し、失業率についてFRBの目標を達成したとしても、上記の問題は解決できない可能性があるわけです。
例えば、金融サービスの活性化により、
「一部の雇用者(トレーダーなど)の所得が増えた」
だけでは、雇用はほとんど影響しないでしょう。そういう意味で、失業率を目標に持つFRBは合理的と言えますが、現実には失業率が改善したとしても、上記の「所得格差」問題は解決できません(というか、できていません)。
アメリカの所得格差が拡大している最大の理由は、例えば「経営者の給与所得が増えている」ためでは必ずしもありません。正しくは、
「企業利益(マクロ的には営業余剰)から支払われる株主への配当金、自社株買い、経営者のストックオプション報酬が増えている」
ためなのでございます。すなわち、分配面のGDPにおける「営業余剰」への「分配」が増えているのではないか? という問題なわけです。(詳しくはメルマガで)
ならば、分配面GDPにおける「雇用者報酬」の伸び率をも「目標」にするべきなのではないか、というのが青木先生のアプローチなわけです。
【日本の雇用者報酬(四半期・季節調整系列、対前期比%)の推移】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_44.html#Koyosyahosyu
上記は我が国の雇用者報酬(名目値)の増減率を見たものですが、90年代中盤を機に、まるで異なる趨勢になっているのがお分かり頂けるでしょう。80年代からバブル崩壊までは、雇用者報酬は「2%前後」で推移していたのです。それが、デフレ深刻化後は「0%前後」で推移するようになってしまいました。
2014年は、我が国が「デフレ脱却したか、否か」に焦点が当てられるケースが増えていくでしょう。デフレから脱却し、我が国が「国民が豊かになる国民経済」を達成したか否かの判断において、「雇用者報酬」の状況を見ることには一定の合理性があると思うわけですが、いかがでしょうか。
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