株式会社三橋貴明事務所
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NEW!『経済学と思想(後編)③』三橋貴明 AJER2013.11.19(3)
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12月13日「日本大復活 東京オリンピックと安倍政権、日本経済の行方 」(大手町)
12月19日 「「“強い”日本経済は実現するか?」 --安倍政権誕生一年とこれからを検証する 」(御茶ノ水)
NEW!1月18日 「2014年 日本はデフレ脱却し成長路線に回帰するのか?」( 日本橋人形町)
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12月14日「三橋経済塾・第三期」塾生の顔合わせのパーティを開催します!
本パーティは「三橋経済塾・第三期生」向けで、ゲストは藤井聡先生、中野剛志先生、渡邉哲也先生、さかき漣先生、古谷経衡先生、さらに施光恒先生と、超豪華メンバーです。(柴山桂太先生にもご出席頂けるかもしれません)
三橋経済塾に入塾された方に、パーティのお申し込み方法を記載したメールが送られます。
http://members.mitsuhashi-keizaijuku.jp/
これを機に、是非、入塾をご検討下さいませ。
国会の会期末が迫る中、特定秘密保護法案(何でメディアは「特定」を抜いて報じているんでしょうか?)の参院採決で大荒れの永田町ですが、わたくしのブログは空気を読まずに「グローバル資本主義」のお話し(ここだけの話、国土強靭化基本法が継続審議にならなくて良かったです・・・・。結構、際どかったようですね)。
最近、何とあの「ウォール・ストリート・ジャーナル」にグローバル資本主義を批判する記事が二本、掲載されましたので、ご紹介。
一本目はこちら。
『教会は弱者救済を―ローマ法王、経済的不平等を批判
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303735804579222932978206104.html
フランシスコ・ローマ法王は26日、8カ月前の就任以来初めての「ミッション・マニフェスト」を発表し、カトリック教会が改めて貧者に的を絞って活動するとともに、グローバル資本主義への攻撃に着手するよう呼び掛けた。
「Evangelii Gaudium(喜びの福音)」と名付けられたこの文書は、フランシスコ法王がバチカン(ローマ法王庁)の選挙会議「コンクラーベ」で新法王に選出されて以降強調してきた多くのテーマをまとめたものだ。不平等と社会的不公正を糾弾しつつ、カトリック教会に対し聖職者としての使命をさらに深く追求するよう求めている。(後略)』
ローマ法王はミッション・マニフェスト(凄い名前・・・・)において、露骨なまでに激しい表現を使いつつ、「市場原理主義」を批判しています。
「『汝(なんじ)殺すなかれ』という戒律が人間生活の価値を守るための明確な制限を設定しているのとまさに同じように、われわれは今日、排除と不平等の経済に『汝向かうなかれ』と言わなければならない」
「このような経済は殺すことになる。(現在の経済システムは)その根本において不公正。市場と金融上の投機の絶対的な自立を守るもの」
ごもっともでございます。
上記の法王のミッション・マニフェストに対し、ワシントンのアメリカ・カトリック大学の神学者チャッド・ペクノルド助教が
「ベネディクト16世は国家と市場とを同じように批判していたようにみえるが、フランシスコ法王は、市場には国家よりもはるかに大きな権力があり、人間に対して善と同様に悪をもたらすとの考え方に向かって主導しているようだ」
と評しています。
現実問題として、現在の世界には「市場」を「国家」よりも上位に置こうとしている人々がいます(大勢います)。ユーロでは、政府の国債発行すら「市場競争」を強いられ、「国際金融市場」のご機嫌を損ねると(財政均衡主義に逆らう、など)、国債が買われなくなり、長期金利が上昇し、最終的には財政破綻に向かいます。
これが日本、アメリカ、イギリスの場合は、銀行に預金される日本円、ドル、ポンドは、国内に借り手がいない(あるいは貸せない)場合は、最終的な借り手は日本政府、アメリカ政府、イギリス政府しかいません。すなわち、銀行は過剰貯蓄を日本国債、米国債、英国債で運用せざるを得ないわけです。アメリカ政府は日本円を借りませんし、日本政府はドルを借りません。理由は、国内でそれぞれ日本円、ドルしか流通していないためです。
ユーロの場合、ギリシャの銀行に預けられた「ユーロ」は、別にギリシャ国内やギリシャ政府に貸し出されるとは限りません。ドイツ国債でも、ドイツの企業でも、フランス国債でも、オランダの企業でも、とにかくユーロ圏内の借り手であれば、誰に貸し付けてもいいのです。すなわち、ユーロ圏内は資金調達について政府、企業が国境を越えた市場競争を繰り広げなければなりません。
フランシスコ法王は、ローマから「ユーロ」という仕組みを見ているわけで、いかなる感想を覚えたのでしょうか。ミッション・マニフェストの通りだと思います。
二つ目の記事。こちらは有料記事でございます。(WSJの有料会員になれば読めます)
『【オピニオン】「申し訳ない」としか言えない―量的緩和の指揮官の懺悔
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304698204579199291365318658.html?mod=WSJJP_opinion_Latest_News_First
「国民の皆さま、申し訳ありませんでした」。私に言えるのはそれだけだ。私は米連邦準備制度理事会(FRB)の担当者として、量的緩和(QE)として知られる初の債券購入プログラムを取り仕切った。QEはFRBにとって最重要課題で、メインストリート(実体経済)を支援するツールだと言い続けている。だが、私はそのプログラムの実態を認識するに至った。それは史上最大のウォール街の裏口救済策だったのだ。 (後略)』
記事の本文は「戦慄」の内容でございまして、08年9月15日のリーマンショック以降、アメリカは三度の量的緩和により、国内の金融機関からMBS(不動産担保証券)や米国債を買い取っていき、「誰が得したか」を書いているのです。(量的緩和第三弾はまだ続いています。)
コラムの書き手アンドリュー・フーザー氏は09年から10月にかけて、FRBの1.25兆ドル規模のMBS購入プログラムを取り仕切りました。FRBの歴史上、通貨発行に際しMBSを購入したことは量的緩和第一弾までありませんでした。
フーザー氏は民間からFRBに入り、幹部たちが「費用対効果」ではなく、
「金融市場の期待に関する最新調査とウォール街の銀行家、ヘッジファンドのマネージャたちの反響」
のみを異常に気にしていることに気がつきます。すなわち、彼らは一般のアメリカ国民のことなど気にしていなかったというわけです。
量的緩和第一弾は10年3月31日に終わりましたが、図の通りアメリカの失業率はやっとこさ10%を切った水準でした。実体経済はほとんど良くなっていなかったのです。
【図 アメリカマネタリーベースと失業率の推移】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_44.html#USMU
ところが、
「ウォール街にとっては大成功だった」
と、フーザー氏は書いているのです。理由は、まずは銀行が融資コストの低下という恩恵を受け、保有証券の価値が上昇したことでキャピタルゲインを獲得し、さらに量的緩和の取引の大半を仲介することで多額の手数料収入を得た、と。ウオール街は09年に過去最高益(リーマンショックの翌年なのに!)を記録し、10年前半も凄ぶる好調でした。
「もはやFRBにはウォール街から独立して考える能力が残っていないことに気がついた」
と、フーザー氏は書いています。
PIMCOのモハメド・エル・エリアン氏ら外部の専門家は、FRBが、
「GDPを0.25%(400億ドル)押し上げるために、4兆ドルもの通貨を発行した」
と、指摘しています。
量的緩和により発行された通貨が「財政出動」により実体経済の方に振り向けなければ、雇用はなかなか生まれず、格差拡大型の成長になり、最終的には投機によるバブル膨張となります。(しつこいけど「相対的な話」をしているわけで、量的緩和は雇用改善や所得上昇に効果なし、などと極論を言っているわけではありません)
【中央銀行はお金の「行先」を管理できない】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_44.html#Okane
ちなみに、コラムの最後でフーザー氏は量的緩和について「新たな大き過ぎて潰せない政策」と、なかなか巧いこと(というか、怖いこと)を言っています。
財政均衡主義を貫くことで実体経済がなかなか回復せず、さらに物価低迷となると、
「さらなる量的緩和拡大だ!」
という声が必ず出てきます。日本は知りませんが、少なくともアメリカの場合は量的緩和によってウォールストリートが「ぼろ儲け」したという話でございます。
それにしても、このフーザー氏のコラムを普通に掲載するWSJは凄いと思います。「アリバイ作り」などと思われた方がいるかも知れませんが、少なくとも載せないよりはマシでございます。
「アメリカの量的緩和で誰が儲けたか」を知り、慄然とされてしまった方は、
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Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
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