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チャンネルAJER更新しました!

NEW!『デフレの原因(後編)③』三橋貴明 AJER2013.10.15(2)
http://youtu.be/g7jG7Oq_cwA

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11月11日 「アベノミクス・TPP・増税・オリンピックでどうなる!?日本経済と地域経済(町田市)

12月2日グローバル資本主義を超えて(Beyond Global Capitalism)」 (京都)

NEW!12月13日「日本大復活 東京オリンピックと安倍政権、日本経済の行方 」(大手町)

12月19日 「「“強い”日本経済は実現するか?」 --安倍政権誕生一年とこれからを検証する 」(御茶ノ水) 

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三橋貴明の「新」日本経済新聞のフェイスブックのページができました!https://www.facebook.com/mitsuhashipress
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 わたくしが企画と監修を担当した小説、「顔のない独裁者 「自由革命」「新自由主義」との戦い 」(さかき漣:著)の予約がスタートしました。(さかき漣は弊社所属の作家です。今回のわたくしは企画・監修のみで、ストーリーは全面的にさかき漣が担当しました。) 本書は以前、PHP研究所から出版した「新世紀のビッグブラザーへ 」の続編にあたります。世界観、主人公たちはそのまま引き継いでもらいました。


 三橋経済塾第三期、募集開始しました!(ご興味がある方は、一番上のリンク をクリックしてください) 今回のテーマは、こちら。

【三橋経済塾 第三期 三橋貴明塾長インタビュー① 】
http://youtu.be/r_Kh778moxw
【三橋経済塾 第三期 三橋貴明塾長インタビュー② 】
http://youtu.be/ul4hNwmE0IM


 本日は三橋経済動向塾(日本経営合理化協会主催)の開催日です(経済塾ではありません)。本日のゲスト講師は渡邊哲也氏です。塾生の皆様、よろしくお願いいたします。
 
 さて、昨日はJWaveのJam The Worldに出演し、インターネットの医薬品販売の「デフレ化効果」についてお話しいたしました。お聞きになられた方は、途中で堤さんが絶句した箇所があったことにお気づきになられましたでしょうか。わたくしが「薬局数」について解説したところです。 


 信じ難いでしょうが、日本の薬局の数はコンビニよりも多いのです。最新データによると、コンビニが50,206店舗(2012年、JFAフランチャイズチェーン協会)、対する薬局が54,780店舗(2011年、厚生労働省平成23年度衛生行政報告例の概況)でございます。しかも、薬局数は09年が53,642店舗でしたので、未だに増加傾向にあるのです。


 医薬品の小売販売の供給能力が増えているのに対し、需要の方は見事に横ばいです。


【日本の家計一世帯あたりの医薬品への消費支出額(円) 】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_44.html#Yakuhin


 日本の世帯数はおおよそ5200万なので、家計の医薬品市場は1兆3千億円規模ということになります。1兆3千億円と云えば、個人にとっては天文学的な金額ですが、日本のGDPから見れば0.28%に過ぎません。


 とはいえ、この1兆3千億円の市場の中で生業を立てている「同じ日本国民」が現実に存在するわけです。薬局の経営者や店員さん、薬剤師の方々も、読者の皆様と同じく「日本で働いている、日本国民」なのでございます。


 需要が横ばい、つまりは「所得のパイ」が増えていない中、医薬品の小売販売について「規制緩和」を実施し、競争を激化させたらどうなるでしょうか。特に、「インターネットにおける医薬品販売」という規制緩和は問題です。何しろ、地方の「薬品購入のライフライン」として存在した薬局までもが、インターネットとの競合を強いられることになるのです。


 何度も繰り返していますが、インターネットの医薬品販売を全面的に解禁すると、地方の「ライフライン」であった薬局から潰れていくでしょう。結果、薬局が潰れた地域の住人は「薬品購入難民」と化します。


 そもそも、医薬品とは「欲しい時に、買う」類の商品です。必要もなしに、医薬品をコレクションする暇な人はいないでしょう。つまりは、
インターネット販売を解禁しても、新たな需要が生まれるわけではない
 のです。需要が新たに生まれないということは、「所得のパイが増えない」という意味になります。


 ということは、インターネット販売を全面的に解禁し、楽天などの新規参入者が所得(利益)を獲得した時、その分「誰かの所得が奪われている」ということになります。所得を奪われるのは、もちろん既存の薬局で働いている方々です。


 お分かりでしょうが、わたくしは別に「インターネットの医薬品販売は、絶対にダメ!」などと言っているわけではありません。需要が拡大しない産業において、競争を激化させても「所得のパイ(GDP)」が増えるわけではなく、新規参入者が他者の所得のパイを奪うだけに過ぎず、所得を奪われた人々は消費や投資を減らし、デフレ促進効果がある、と言いたいだけです。医薬品の小売販売の産業が「需要>供給能力」の状況(=インフレギャップがある)ならば、別に反対したりしません。


「1兆3千億円の市場など、マクロ(国民経済)から見れば、大したことがない」
 と思われた方がいるかも知れませんが、そもそもデフレ期に需要が拡大していない市場で「規制緩和」を平気で実施する「思想」「考え方」に問題があるのです。この種の「思想」のまま政策が推進されると、我が国のデフレ脱却の日は遠のいてしまいます。中野剛志氏の言う「レジーム・チェンジ」が、全くなされていないということになります。あるいは、未だに「インフレ脳」で政策が推し進められていることになるわけです。


 さらに、国民経済から見ると「小さな市場」であっても、そこで生業を立てている皆様は、わたくし達と同じ血が通った日本国民なのです。「需要>供給能力」になっているならばともかく、「需要<供給能力」で医薬品の価格競争が進んでいる環境で、何故にさらなる規制緩和を実施しなければならないのでしょうか
 
「何故にさらなる規制緩和を実施しなければならないのでしょうか。」
 と書きましたが、理由は分かっています。もちろん、この方です。


薬ネット販売規制「立法なら政府委員辞任」 三木谷氏
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL060T4_W3A101C1000000/?dg=1
 楽天の三木谷浩史社長は6日午後、都内で記者会見し、政府が一般医薬品(大衆薬)のネット販売を一部規制する新たなルールを正式に決めたことについて「最終的に立法するのであれば国と争う。(産業競争力会議の)重要な委員をやるなかで(訴訟の)両サイドにいるわけにはいかないため、辞任することになる」と話した。「不合理を撤廃することが安倍政権の規制改革の狙いだと理解している。最後のご英断に望みを持ちたい」とした上で、辞任の時期について「首相の判断(で規制を決めること)を確信した時点で、潔く身をひく」と話した。』


 記事では「政府が一般医薬品(大衆薬)のネット販売を一部規制する新たなルールを正式に決めた」とありますが、話は逆で、「政府が一般薬品のネット販売に関する一部規制緩和を決めた」が正しいです。元々、法律ではインターネットにおける医薬品販売は禁止だったのです(最高裁の判決以降、なし崩し的に販売され始めていましたが)。


 政府は劇薬指定の五品目は規制を残し、残りの一般大衆薬品については、
「医療用から一般用に転用された医薬品(スイッチ直後品目)については市販後3年間ネット販売を禁止する」
 という新ルールを発表しました。ということは、劇薬五品目以外の「スイッチ直後品目」については、3年が経過するとインターネット販売が可能になるという話です。


 三木谷氏は上記に不満を抱き(本当でしょうか?)、行政訴訟だの、産業競争力会議を辞めるだの息巻いていますが、一民間人(国会議員ではないという意味)の立場で、所得のパイが拡大しない市場(医薬品販売)の法律を変えさせ、「利益」を得る道を開いたわけですから、大成功じゃないですか。民主主義的には、明らかに問題がありますが。

 

 何しろ、「主権者」という立場を考えると、三木谷氏もわたくしも、もちろん読者の皆様も(国会議員の方除く)、同じ「一票」を持っているに過ぎません。別に、三木谷氏がわたくし達を超える「主権」を持っているわけではないのです


 安倍政権の動きを見る限り、今後も上記の類の事例(民主主義をすっ飛ばしたレントシーキング)が頻発することになるでしょう。というわけで、極めて分かりやすい事例として、本件を記録に残しておきたいと思います。


本日のエントリーで「問題の本質」をご理解頂けた方は、このリンクをクリックを!
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