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NEW!『デフレの原因(後編)③』三橋貴明 AJER2013.10.15(2)
http://youtu.be/g7jG7Oq_cwA

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10月19日 13時半~ 文京区シビックセンターで【シンポジウム】「日本企業、台湾企業の在中経済犯罪被害報告会 中国民事訴訟法231条、国防動員法の危険性を訴えるhttp://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11613422415.html

12月2日 グローバル資本主義を超えて(Beyond Global Capitalism)」in 京都

http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/bgc/

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 昨日、電力システム改革が内閣で閣議決定されました。


電力自由化時期など明記 電気事業法改正案を閣議決定
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131016-00000107-san-bus_all
■参入の機会、探る異業種 ガスや老舗も…供給不安払拭カギ
 政府は15日、電力の小売り全面自由化などからなる「電力システム改革」の実施時期を明記した電気事業法改正案を閣議決定した。先の通常国会では与野党対立のあおりで廃案となったが、政府は成長戦略の柱と位置づけ、同日開会の臨時国会へ法案を提出し、早期の成立を目指す。
 改正案には、全国規模の電力需給調整を行う「広域系統運用機関」を平成27年をめどに設立することなどを盛り込んだ。
 電力小売りの全面自由化と、電力大手の発電と送配電部門を別会社にする「発送電分離」の実施時期については改正案の付則に記した。
 一方、先の通常国会で与野党が協議した修正内容を今回の法案に反映。原発政策やエネルギー政策などの変化で、電力会社の競争条件の悪化が見込まれる場合、一定の措置を講じることを盛り込んだ。(後略)』


 そもそも論を書いておきますと、電力自由化や発送電分離が「善」となるのは、日本の電力サービスの品質が悪く、停電が頻発し、電気料金が高いにも関わらず、電力会社が非効率な経営を続け、品質は改善せず、料金も高止まりしている場合のみです。現実の日本の電力サービスは、東日本大震災までは世界屈指の「低停電率」を誇り、電気料金は値下がりを続けていました


 電力自由化にせよ、発送電分離にせよ、目的は「競争を激化させることで、サービス料金を引き下げる」ことにあります。日本の電気料金は確かに値上がり傾向ですが、理由は単に原発を動かしていないためです。電気料金を引き下げたいならば、耐震化、津波対策が終わった原発から再稼働させれば済む話であるにも関わらず、何故に自由化やら発送電分離やらの「革命」的なことをやらなければならないのでしょうか。さらに言えば、電力自由化や発送電分離を実施し、電力サービスの品質向上と料金引き下げに成功した国が、一つでもあるというのですか?


 というよりも、信じ難いでしょうが過去に電力自由化や発送電分離を行った国々において、実際には電気料金が値上がりしていることを「経済産業省」が認めているのです。


【経済産業省資料 平成24年度電源立地推進調整等事業 
(諸外国における電力自由化等による電気料金への影響調査)報告書 平成25 年3 月】
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2013fy/E003213.pdf
P198~P199参照


 最も重要な「電力自由化」後の主要国の電気料金上昇率(燃料費は除きます)を抜粋しました。
 
【主要国の自由化後の電気料金推移】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_44.html#denkidai


 皮肉なことに、電力自由化後に電力料金が下がったのは、ろくに「自由化」を進めていない我が国だけです。他の国は、全て電気料金が値上がりしていると、電力自由化の旗を振っている「経済産業省」が認めているわけです。


 一体、安倍政権や経済産業省は、何を考えているのでしょうか。
 電気料金引き下げが自由化や発送電分離の狙いだとすると、
「諸外国は日本を除き、全て自由化後に電気料金が上昇している」
「日本の電気料金が上昇傾向にあるのは、原発を停止しているため」
 の二点から、完全に「間違っている」という話になります。


 しかも、無理に電力を自由化し、発送電分離を実施した場合、送電網を持つ電力会社がコスト削減に乗り出し、安全面への投資を怠り、停電が頻発する事態になりかねません(アメリカの一部の州はなっています)。


 そもそも、ユニバーサルサービス(全家庭にくまなく、品質のいいサービスを提供する)を義務付けられている電力サービスに、自由化の思想は馴染みません。果たして、ユニバーサルサービスは「誰」が担うことになるのでしょうか。送電会社でしょうか。その場合、発電会社側が燃料費上昇などで電気料金を引き上げたとき、送電会社はコストを吸収するために、コスト削減を始め、大規模停電などのトラブルを引き起こすか、もしくはユニバーサルサービスの供給が不可能になるでしょう。


 そんなことは、少しでも頭を働かせれば誰にでも分かる話(他国の事例を調べても分かる話)であるにも関わらず、がむしゃらに電力自由化を推進する。なぜでしょうか。


 要するに、安倍政権は「異業種」あるいは「外資」に、日本の電力サービスから「レント」を提供したいという話なのでしょうか。そういえば、TPPには「電気通信」「競争条件」「投資」といった規制緩和項目がありました。日本がTPPに参加し、電力サービスへの参入が自由化され(外資であっても)、我が国の発電部門が「外資系企業」が中心になる可能性も否定できません。


 もちろん、国内企業、国内投資家のレント・シーキングも問題ですが、これが外資となると、まさに「最悪」です。


 我々日本国民は、不安定な電力サービスを「高い価格」で購入を強いられることになります。しかも、電力の場合は「この送電会社はダメだから、こっちの送電会社から購入」といった形で、国民に選択肢があるわけではないのです。


 消費者側に選択肢がない公共サービスこそが、レント・シーカー達にとって最も美味しい市場なのです。


 アメリカのノーベル経済学者ジョセフ・E・スティグリッツの言葉を、再度、引用します。
「アメリカの政治制度は上層の人々に過剰な力を与えてしまっており、彼らはその力で所得再配分の範囲を限定しただけでなく、ゲームのルールを自分たちに都合よく作りあげ、公共セクターから大きな”贈り物”をしぼり取ったからだ。経済学者はこのような活動を”レントシーキング”を呼ぶ。富を創出する見返りとして収入を得るのではなく、自分たちの努力とは関係なく産み出される富に対して、より大きな分け前にあずかろうとする活動のことだ」


 現在の安倍政権が推進しようとしている政策は、「瑞穂の国の資本主義」を目指す道ではなく、単にレント・シーキングを容易にするための制度改革に過ぎません。そうではないというならば、
「なぜ、今の時点で電力自由化や発送電分離に乗り出すのか?」
 を、論理的に説明する必要があると思います。


 明日に続きます。


「電力料金を引き上げ、品質を下げる電力自由化に反対する」にご賛同頂ける方は、

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