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NEW!『デフレの原因(前編)①』三橋貴明 AJER2013.10.8(5)
http://youtu.be/RqYeDMlj-4w

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10月19日 13時半~ 文京区シビックセンターで【シンポジウム】「日本企業、台湾企業の在中経済犯罪被害報告会 中国民事訴訟法231条、国防動員法の危険性を訴えるhttp://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11613422415.html

12月2日 グローバル資本主義を超えて(Beyond Global Capitalism)」in 京都

http://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/tba/bgc/

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 現在の日本では、「デフレの原因」について明確な対立点が生まれています。すなわち、
デフレは貨幣現象(マネーの量が足りないからデフレ)」
 派と、
デフレは総需要の不足(名目GDPの不足)
 派との争いです。


 経済学者で言えば、宍戸駿太郎先生、青木泰樹先生、柴山桂太先生、それに藤井先生、中野さん、三橋もこっち側ですね。そして、現在は「総需要不足派」側が、
「マネーの量って、具体的に何だよ? マネタリーベース? マネーストック? 現状、マネーストックが増えているけど、コアコアCPIの下落止まっていないんだけど」
 と批判し(すみません、先頭切ってるの私)、片や「貨幣現象派」側は、
「あれか? マネーの量増やしてもデフレ脱却しないなら、日本って無税国家になれるんじゃね?」
 と、互いに歩み寄ることなく、不毛な批判が展開されているわけです。


 ポイントは、「マネー」あるいは「貨幣」の定義です。これが「財やサービスの購入に使われるマネー」を意味するならば、要するに名目GDP(総需要)という話になります。そうなると、「マネーの量が足りない」が「総需要が不足している」を意味することになり、両者の差異は消えるわけです。


 ちなみに、「総需要不足派」にしても、金融政策の有効性は認めているわけです。その上で、「誰かがおカネを消費、投資として使わなければ、総需要の不足は埋まらない」と言っているわけでございます。ついでに書くと、現在の日本には東北復興、国土強靭化、東京五輪に向けたインフラ整備など、政府がやらなければならない(政府しかできない)プロジェクトが目白押しです。


 だからこそ、
「政府(日銀)がおカネを発行し、政府が借り入れ、政府が(各プロジェクトに)使え」
 と主張しているわけで、「何が問題なの?」という話です。


 実は、上記の争いはアメリカでも起きていて、それはもう、気持ち悪いくらい似ています。道草ブログさんに素晴らしい記事が載っていたので、ご紹介。


財政派 VS マーケットマネタリスト ―ブロガー分類学― BY CARDIFF GARCIA
http://econdays.net/?p=8601
 共通の敵が撤退する中、財政派とマネタリストという競合的で不自然な同盟関係の間で小競り合いが勃発している
 しかし経済危機後の学術界における戦場では、両者は大抵同じ側にいたか、少なくともお互いのやり口にけちをつけるようなことはなかった。
 簡単に言えば、この論争は金利がゼロ下限にある中で、回復を加速させ危機前の成長トレンドに戻すための最善の方法に関するものだ。(金利がゼロ下限よりも上にあるとき、多くの財政派、特に新ケインズ主義者はマネタリストに戻る。)
 考えてみよう。


-ポール・クルーグマンは流動性の罠に関する多くの学術研究に先鞭をつけた。彼は危機における財政政策の優位を説き、ゼロ下限における金融政策の根底となるのは主としてインフレ期待だと信じている。
 ただ、FEDのバランスシートの拡大というセールスポイントのためではあるが、彼はそれでもNGDP目標の有用性を過去に認めている。そして彼は特に自らの著書において、アメリカの金融政策の無効性と同じくらいその控えめさを批判している。彼はただ財政政策は金融政策と異なり、「経済に対して直接的かつ即効性の効果を持つ」と信じているのだ。(中略)


 財政派とマーケットマネタリストは、今回の偶発的な論争の激化は別として、両者とも同じ側に立っている、もしくは互いのやり口にけちをつけることはなかったと冒頭で書いた。


 もっと正確に言えば、金融タカ派や金本位制支持者たちとの戦いの中で財政派はマネタリストと同じ側に立っており、マネタリストは大抵において財政派の歳出削減や「緊縮派」型の人間に対する戦いのやり口にけちをつけることはなかった。


 財政派VSマネタリストの論点が加熱したのは、互いが相手側の主張しているものの有効性を疑っているからではなく、どちらの方法論がより効果的かというもっと狭い問題を焦点にしているからこそなのだ。(中略)


 我々はより多くのデータを集めるか、もしくは今あるデータのさらなる詳細を待たなければならなくなる上に、それが不可能である可能性すらある。事実、成長に関する数値はまだ不十分だ。

 マネタリストと財政派の双方ともにあまりにもその主張の内容が膨大で、それはマイケル・ウッドフォードによる去年の有名な論文の最後から二番目、まとめ部分の前のパラグラフがそれを説得力のある形で示している。


 単に期待経路のみに依らない現時点での総需要を押し上げる最もはっきりとした要因は財政刺激であり、政府調達の増加や投資税額控除[investment tax credit]、もしくはイギリスの資金調達支援スキーム[UK Funding for Lending Scheme]のような貸出に対する補助金といった経路全てにおいてそう言える。と同時に、中央銀行による名目GDP目標パスへのコミットメントは、財政政策が直接に効果を発揮した場合と比べて、経済活動と価格の上昇による早期の金利上昇がその他の形態の支出を排除しない と保証することによって、財政刺激による効力を高める。そして、名目GDP目標パスに対する中央銀行の宣言の存在は、特殊な財政刺激策が導入された際の、抑えの効かないインフレのリスクを高めうる警戒水準も限定したものにする 。


 しかし、今年が実際ある種の政策実験の年となっているかどうかを知るのには、しばらくの時間を要する。そして、リソースが遊休状態であり失業がこのような非常に大きな問題となっている中ではスケールメリットは精度よりも重要、というカールの考えが示唆するところ、つまりはそうした実験は避けることが出来る上に、正当化できない間違いとなるだろうということについて私は考えずにはいられない。


 自身の主張が妥当であっても、相手側のアイデアを自分のアイデアと平行して行うことは最悪の場合でも何の悪影響も発揮しないという合意が出来ているのであれば、両方を行うことに反対するのは無情というものだろう。


 自身のアイデアだけが実施され、そしてそれが間違っていたと分かった場合、ひどく多くの人々がそのマクロ経済学の新たな知見のために苦しめられることになる。


 全てを同時に試し、因果関係の仕組みについては後で考えたほうが良いだろう。全て終わった後で。』


 長い記事なので、相当に省略しましたが、是非とも、全文お読み頂きたいと思います。


 細かいところはともかく、現代の日本の議論とあまりにも酷似しており、驚かれるのではないでしょうか。


 もっとも、結論はまさにCARDIFF GARCIA氏の言う通りで、
全てを同時に試し、因果関係の仕組みについては後で考えたほうが良いだろう。全て終わった後で
 という話なのでございますが。あるいは、クルーグマンの言う「NGDP目標(名目GDP(所得)の目標)」を決め(インフレ率ではなく)、国民の名目(金額)で見た所得が目標を達成するまで、やれることは全部やる。というスタイルでもいのかも知れません。


 ところで、上記の記事で触れていないポイントがあります。
 それは、「貨幣現象派」の中に、デフレ対策云々とは関係なく、とにかく政府にカネを使わせたくないからこそ、「デフレは貨幣現象」と言っている人たちがいることです。彼らの狙いは、要するに、
「公共サービスの民営化、国有資産の売却」
 であり、
「公共投資のコンセッション方式、PFI拡大」
 であり、
「財政悪化を根拠とした、混合診療拡大などの規制緩和推進」(名目GDPが成長しなけれが、当然、財政は悪化します)
 という話です。要するに、レント・シーキングです。デフレ対策の定義とは関係なく、企業のビジネスを拡大し、レントシーカーたちを富ませるために「デフレは貨幣現象です」と言っている人たちが、少なくとも日本にはいます。(アメリカはどうなんですかね)


 現在の日本は、デフレから脱却し「名目GDP(国民の金額で見た所得)」を拡大すると同時に、上記のレント・シーキングを可能な限り食い止める必要があるわけです。そして、ほぼ全く同じ議論、同じ問題が、アメリカでも同時発生しているという話です。歴史って、不思議です

「確かに歴史って不思議だ・・・」と思われた方は、

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