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NEW!アニマル・スプリッツ(前編)①』三橋貴明 AJER2013.9.17(3)

http://youtu.be/fxMxwVSwuE4

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10月19日 13時半~ 文京区シビックセンターで【シンポジウム】「日本企業、台湾企業の在中経済犯罪被害報告会 中国民事訴訟法231条、国防動員法の危険性を訴える」が開催されます。わたくし以外のゲストは黄文雄先生、大高未貴さんです。詳しくは↓こちらを。

http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11613422415.html

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 佐賀にいます。昨晩、御馳走になった佐賀牛のせいろ蒸し、美味しかった~っ!



 各地にそれぞれ異なる食文化が栄え、出会う人が郷土自慢をして、実際に食してみると「こ、これはっ!」という驚き、感動に出会えるこの国が好きです。


 逆に、日本はもちろんのこと、各国が「グローバリズム」により均一化され、どこに行っても「同じ製品」「同じサービス」になってしまった世界など、ゾッとします。もっとも、ビジネスを展開するグローバル企業にとって、各国、各地のルールの違い、スタイルの違い、サービスの違いなどは「邪魔」なものでしかないわけです。1992年以降にグローバリズムが進み、
「世界のどこに行っても、同じサービスを受けられますよ」
 という考え方が「良いこと」として語られていますが、考えようによっては「多様性の喪失」ということで、文明としての「退化」であるようにも思えます。まあ、この辺は、最終的には価値観の問題なのではございますが。


 さて、IMFがへんてこりんなレポートを出しました。


IMFが性急な歳出削減警告、財政健全化への具体策示さず
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE98G08B20130917
 国際通貨基金(IMF)は17日に公表した世界的な金融危機から得られた教訓をまとめた報告書で、財政健全化を目指す国は性急に歳出を削減するべきではないが、自国の国債に対する投資家信頼感も考慮する必要があるとの見解を示した。
 ただ、各国政府がどのように財政健全化を進めるべきか具体的な対策は示さなかった。(中略)
 報告書でIMFは、2007─09年の世界的な金融危機以前は、財政健全化は早いほど望ましいとの見方が一般的だったが、危機後は、財政緊縮化プログラムを実施するタイミング、適切な債務水準、財政刺激策の影響などに関するこれまでの見解が一転したと指摘。
「最適な調整ペースは、経済情勢、財政の状態、市場の圧力の度合いに左右される」とし、投資家信頼感の回復に苦慮している国でも、財政緊縮化が成長の足かせとならないよう、緊縮化の「速度制限」が必要になる可能性があるとの見方も示した。
 自国の国債に対する信頼感が失われている場合、当該国の政府には急速に赤字を削減させる以外の選択肢がない場合もあると指摘する一方、財政緊縮を先延ばし過ぎれば、財政再建に向けた政府の信頼感が失われる恐れもあると警告。
 財政再建を先延ばしにできる余裕がある国は、取り組みが真剣であることを示すために短期措置を実施しながら「中期的」な財政緊縮化を目指すべきと指摘した。
 また、深刻な景気後退(リセッション)期、特にゼロ金利環境下では財政政策が景気支援に効果を発揮したと指摘。中銀による国債買い入れも金融市場の再生を支援したとし、政府が最終的には赤字を削減するとの投資家の信頼感が失われていない限り、国債買い入れは効果を発揮するとの見方を示した。
 さらに、政府は民間部門や地方政府の債務水準も注視する必要があるとした。
 ただ、日本や米国のように安全と見なされている国が、高水準の債務を抱えながらもどうして市場からの資金調達が阻害されていないのか、危機を経ても答えは見つからなかったとし、今後どの程度こうした状態が続くのかも不明だとした。』
 
 注視すべし、注意深く推進すべし、信頼感を維持しつつ、短期的には留意し、中期的に目指すべし・・・。何を言っているのか、さっぱり分かりません。


 というわけで、IMFに代わり「各国政府がどのように財政健全化を進めるべきか具体的な対策」を書いておきましょう。


A:経常収支黒字国、独自通貨国:物価上昇率が低迷している限り、財政問題は発生していない。政府の国債発行、中央銀行の国債買取により、早期に経済成長を目指し、財政健全化(政府の負債対GDP比率の低下)を目指すべし


B:経常収支黒字国、共通通貨国:物価上昇率が低迷している限り、財政問題は発生していない。通貨を共にする経常収支赤字国が財政危機に陥った際に、共通通貨維持のための負担を強いられる。財政問題以前に、共通通貨の構造を見直すべし


C-1:経常収支赤字国、独自通貨国:外貨建て負債の状況により、政府のデフォルトはあり得る。インフレ率が健全な範囲を超えて上昇する可能性がある。構造改革により、国民経済の供給能力を伸ばし、経常収支の赤字を削減すべし。国内の過小貯蓄を放置し、外貨建て国債を発行すると、財政破綻の可能性が生じる。


C-2:経常収支赤字国、独自通貨国、基軸通貨国:政府のデフォルトは有り得ないが、インフレ率が健全な範囲を超えて上昇する可能性がある。A、B同様に財政破綻は起り得ないが、基軸通貨国であることに甘えず、国民経済の供給能力を伸ばすべく努力すべし。


D:経常収支赤字国、共通通貨国:経済成長が低迷し、税収が減った途端に財政破綻する可能性がある。構造改革で供給能力を伸ばすか、共通通貨を脱退すべし


 さて、どうもIMFは、政府の資金調達が「国際金融市場」のみで行われると勘違いしているような・・・・(そんなことはないと信じたいのですが)。ドルやユーロならまだ分かりますが、日本国内の銀行の手元に過剰になる預金は「日本円建て」です。何しろ、わたくし達は日本円で働き、日本円で金融資産を持ちます(預金します)。


 日本円を借りてくれるのは、日本国内で事業を展開する組織体、もしくは個人のみです。デフレで企業への貸し出しが不足している以上、日本の銀行は日本国債を買うしかありません。すなわち、日本政府の資金調達において「国際金融市場」も「投資家の信頼」も無関係です。


 記事の最後に、
「日本や米国のように安全と見なされている国が、高水準の債務を抱えながらもどうして市場からの資金調達が阻害されていないのか、危機を経ても答えは見つからなかった」
 と書いておりますが、バカバカしい限りです。日本経済は「経常収支黒字」「独自通貨」「デフレ」という三つが組み合わされた構造を持っており、
「銀行が最終的には日本国債を購入するしかなく、金利が超低迷している」
 環境が維持されているだけの話です。日本政府の資金調達が阻害されないのは、単にそういう構造であるためなのです。


 アメリカの場合も構造的な話です。何しろ、アメリカドルは世界の基軸通貨であるため、貿易赤字の対価として支払われたドルは、アメリカ国内に還流します(再投資されます)。ドルが世界の決済通貨である以上、米国債の買い手は尽きません。


 これが、ギリシャの場合は話が全く違います。ギリシャ国内の国民は、ギリシャの銀行に「ユーロ」を預金するでしょう。とはいえ、ギリシャの銀行は別にユーロをギリシャ政府に貸し付ける義務は有りません。ギリシャ国内にまともな借り手がいないならば、ドイツの国債を買えばいいわけです。すなわち、ユーロ圏においては、まさに政府の資金調達は「国際金融市場」で実施され、「投資家の信頼」が重要になるわけです。(投資家の信頼を裏切ると、金利がいきなり跳ね上がる)。


 ギリシャに限らず、ユーロ加盟国、さらには経常収支赤字国と、日本、アメリカ(基軸通貨国)を横に並べて同じ土俵で比較している限り、IMFが正解にたどり着けることはないでしょう。


 それにしても、IMFが「財政政策」や「中央銀行の国債買入」のポジティブな効果を認めたのは画期的です。「政府が最終的には赤字を削減するとの投資家の信頼感が失われていない限り」と、相変わらず日本には当てはまらない条件を付けていますが。


 要するに、IMFは現在、ワシントン・コンセンサスからの転換を図っているわけです。日本はもちろんのこと、世界のためにも、IMFがワシントン・コンセンサスという「現在では全く無価値どころか有害なコンセンサス」から脱却してくれることを願います。

 ワシントン・コンセンサスについて詳しく知りたい方は、

【東田剛】“アベコベ”ノミクス

http://www.mitsuhashitakaaki.net/category/higashida/

 などを参考にしてください。


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