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NEW!『財政ファイナンスという神話(後編)』三橋貴明
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チャンネル桜「日本よ、今...「闘論!倒論!討論!」第三の矢の問題点は?消費税増税は本当に必要か? 」に出演いたしました。
【1/3【討論!】第三の矢の問題点は?消費税増税は本当に必要か?[桜H25/8/31] 】
http://youtu.be/GLmYiHTIBvw
【2/3【討論!】第三の矢の問題点は?消費税増税は本当に必要か?[桜H25/8/31] 】
http://youtu.be/QCRm-F60eDY
【3/3【討論!】第三の矢の問題点は?消費税増税は本当に必要か?[桜H25/8/31] 】
http://youtu.be/J6JAJ3PwcO0
いやあ、高橋洋一氏と「混合診療」「B/C」などで意見が一致するとは思いませんでした。高橋氏には「中身は聞かれるまで説明しない」癖というか、討論上のスタイルがあるように思えます。そうなると、相手が突っ込んでくれないと「誤解」を受けるケースが増えるでしょう。故意にそうされているのかも知れませんが。
さて、永久に保存しておきたい、読売新聞の社説。
『消費税率 「来春の8%」は見送るべきだ(8月31日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130830-OYT1T01397.htm
◆デフレからの脱却を最優先に
日本経済の最重要課題は、デフレからの脱却である。消費税率引き上げで、ようやく上向いてきた景気を腰折れさせてしまえば元も子もない。
政府は、2014年4月に予定される消費税率の8%への引き上げは見送るべきだ。景気の本格回復を実現したうえで、15年10月に5%から10%へ引き上げることが現実的な選択と言えよう。
消費増税を巡って、有識者らから幅広く意見を聴く政府の集中点検会合が開かれている。
◆成長と財政再建両立を
安倍首相が今秋の決断へ、「最終的に私の責任で決める。会合の結果報告を受け、様々な経済指標を踏まえて適切に判断したい」と述べているのは妥当だ。
日本は、15年間もデフレが継続し、巨額の財政赤字を抱える。景気低迷がさらに長期化すれば国力の低下が進みかねない。
デフレを克服し、経済成長と財政再建の両立をいかに図るか。日本に求められているのは、この難題に取り組む方策である。
読売新聞は年々増える社会保障費の財源を確保し、中期的に財政健全化を図るべきだとの立場から、消費増税の必要性を主張してきた。考えは変わらない。
有識者らの多くは、来春に予定通り引き上げるよう主張したが、問題は、来春が増税するのに適切な時期かどうかだ。
今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、年率換算で2・6%増にとどまった。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」の効果が見え始めてきたものの、民需主導の自律的回復というにはほど遠い。
懸念されるのは、成長に伴って賃金が上昇し、雇用も拡大するというアベノミクスの好循環が実現していないことだ。
来年4月は、春闘による賃上げや新卒採用の拡大などが見込まれる重要な時期である。好循環への動きに冷水を浴びせたくない。
もちろん、消費増税だけで財政は再建できない。増税で景気が失速すれば、法人税や所得税などの税収も期待したほどは増えない恐れがある。それではかえって財政健全化が遠のくだろう。
政府は今秋、成長戦略として投資減税などの追加策を打ち出す方針だが、そうした政策効果が表れるまでには時間がかかる。
◆15年の10%を目指せ
8%への引き上げに固執した結果、景気が落ち込み、10%への引き上げを実現できなくなれば、本末転倒である。
他方、消費増税を先送りした場合には、日本国債の信認が損なわれ、長期金利が上昇すると懸念する声が出ている。
重要なのは、不安を払拭する政府の強いメッセージである。8%見送りはデフレ脱却を最優先した結果であり、財政再建の決意はいささかも揺るがないと表明し、内外の理解を求めてもらいたい。
増税先送りに伴う消費税収分をカバーする財政資金の確保も課題になる。まず緊急性の低い歳出は削減し、併せて、あらゆる政策を検討する必要がある。
利子が付かない代わりに、国債の額面分に相続税を課さない無利子非課税国債を発行し、家計に眠る貯蓄を有効活用することは政策メニューの一つだ。
広く集めた資金を社会保障や防災・減災対策などに重点配分することが考えられる。
◆軽減税率を新聞にも
15年10月に消費税率を10%に引き上げる際は、国民負担の軽減が不可欠だ。税率を低く抑える軽減税率を導入し、コメ、みそなどの食料品や、民主主義を支える公共財である新聞を対象とし、5%の税率を維持すべきだ。
消費税率を1%ずつ段階的に引き上げる案では、中小企業などの事務負担が増大し、価格転嫁しにくくなるため、賛成できない。
消費増税の判断にあたっては、世界経済への警戒も怠れない。
シリア情勢が緊迫化し、米国による軍事行動が取り沙汰される。すでに原油価格が高騰し、円高・株安傾向も続いている。原発再稼働の見通しが立たない中、燃料高に伴い、電気料金のさらなる値上げも予想されよう。
米国が異例の量的緩和策を縮小する「出口戦略」や、中国の金融リスクも波乱要因と言える。
1997年4月に消費税率を3%から5%に引き上げた際、深刻な金融不安に加え、アジア通貨危機が重なり、景気が急減速したことが苦い教訓である。
内外情勢を十分に見極め、日本再生のチャンスを逃さない決断が政府に求められている。』
要するに、
「新聞の消費税を5%のまま維持する軽減税率を適用することを決定する前に、消費税の増税はやるなっ!」
と、言っているわけですが、他の部分が意外なほど、本当に本当に意外なほどにまともなので、唖然としてしまったわけです。
「読売新聞は年々増える社会保障費の財源を確保し、中期的に財政健全化を図るべきだとの立場から、消費増税の必要性を主張してきた。考えは変わらない。」
については、取りあえず、
「年に1.2兆円程度社会保障費が増え続けるならば、名目GDP2~3%の成長をすれば、話が終わるだろ」
と、突っ込んでおきますが(他にも突っ込みたいところはありますが)、
「もちろん、消費増税だけで財政は再建できない。増税で景気が失速すれば、法人税や所得税などの税収も期待したほどは増えない恐れがある。それではかえって財政健全化が遠のくだろう。」
「1997年4月に消費税率を3%から5%に引き上げた際、深刻な金融不安に加え、アジア通貨危機が重なり、景気が急減速したことが苦い教訓である。」
など、
「な、なぜ今までそれを黙っていたんだ・・・・」
と、呆然とせざるを得ないほど正しい指摘です。
結局のところ、読売新聞にしても「名目GDPと税収の関係」「日本のデフレがなぜ始まったのか」等について、正しく理解していたという話なのでしょうか。付け焼刃にしては、異様に真っ当です。
正しく理解していたとすれば、それはそれで問題で、結局は「国民経済の成長」ではなく、「財務省の先鋒」としての役割を重視していた(これまでは)という話になります。もちろん、読売新聞は元財務次官の丹呉泰健氏の天下りを受け入れいている(社外監査役として)わけで、財務省のプロパガンダの先陣を務めていたのでしょうが、ここにきてこの急転換。
件の高橋氏が、「ナベツネ書簡」について書かれていましたが(話題を呼ぶ「ナベツネ書簡」 消費税増税は政局化する
)、軽減税率の適用なしで新聞の消費税が8%に上がると、経営的に厳しくなるのでしょうか。
読売新聞は、現在朝刊が1部130円。夕刊が50円です。消費税5%分が含まれているので、税抜きの価格は朝刊が123.8円、夕刊が47.6円ということになります。
消費税が8%に上がると、朝刊が133.7円、夕刊が51.4円。新聞を1円の単位で値付けするわけにはいかないので、読売新聞は、
「朝刊を140円、夕刊を60円」
に値上げするか、
「朝刊は130円、夕刊は50円」
と、現状の価格を維持するか否かを判断しなければなりません。
朝刊140円でも、朝日新聞(150円)や日経新聞(160円)よりも安いですが、このデフレ期に「値上げして、顧客を失わないで済むか」は、大きな賭けになります。
だからと言って、価格を据え置き、増税分を自社で「呑む」形になると、当たり前ですが読売新聞の利益は減ります。いずれにせよ、難しい判断が必要です。
というわけで、「新聞に軽減税率適用を!」と叫んでいるのでしょうが、2014年4月に増税ということになると、すでに手続きが間に合わない段階に至っています。
だからこそ「まともな消費税増税反対の社説を」という話になったのでしょうが、色々な意味で呆れ果ててしまいます。
何と言いますか、「分かりやす過ぎる読売新聞」という話なのですが、この種の事実を知り、他の国民に拡散していくことこそが、現在の日本国民に求められていると、つくづく感じ入った社説でございました。
とりあえず、↑これほどまでに「自社の経営のために、意見を変える」のでは、日本国民は新聞を「民主主義を支える公共財」としては認めてくれないと思いますよ、読売新聞さん。
最後の一行に心の底から同意された方は、
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