頭の中にセイがいる

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 昨日は、チャンネル桜の『日本よ、今...「闘論!倒論!討論!」 第三の矢の問題点は?消費税増税は本当に必要か?』(放映は土曜日)の収録、月間三橋の収録、その後、打ち合わせと、何か一日中喋っていたように思えます。「闘論!倒論!討論!」 は面白いと思いますよ~。


 さて、頭の中に「セイ」という妖精さんが棲みついている人が結構います。日本にも多いですが、世界でも多いです。


 現在の日本の経済議論で、現実のデータに合わない「あれ?」と思う主張があった場合、それは大抵は「セイ」さんが棲みついているか、もしくはレント・シーキング目的のロビー活動の一部です。「セイ」さんのせいなのか(駄洒落じゃありません)、「誰か」の利益拡大を目指したロビイングなのか、区別は意外につけにくいです。「セイ」さんのせいかと思っていたら、実は後ろに「誰か」がいた、なんてケースもままあります。


 「セイ」さんとは何かと言えば、もちろん、
供給はそれ自身の需要を創造する
 という、ジャン=バティスト・セイが唱えた仮説です。もう少し詳しく書くと、
「あらゆる経済活動は物々交換にすぎず、需要と供給が一致しないときは価格調整が行われ、仮に従来より供給が増えても価格が下がるので、ほとんどの場合需要が増え需要と供給は一致する。それゆえ、需要を増やすには、供給を増やせばよいとする。(Wikipediaより)」


 需要とは何を意味しているかと言えば、もちろん名目GDPです。そして、供給は潜在GDPに依存します。(潜在GDP=供給能力)


 つまり、頭の中にセイが棲みついている人は、いついかなる場合でも、潜在GDPを増やせば、名目GDPも増える、と考えます。潜在GDPを増やすには、民営化、規制緩和、自由貿易ですよ、と。あるいは、潜在GDPの「成長率」を高めるための議論を始めます。いずれにせよ、発想の根っこに「需要(名目GDP)を増やすには、供給を増やせばいい」という考え方があるわけです。


 インフレ期はともかく、バブル崩壊後の「需要」縮小期(なぜ縮小するかは、もういいですね)、すなわちデフレ期には、セイの法則は成り立ちません。ところが、頭の中にセイが棲みついている人達は、
「ほら。民間が所得から借金返済に回す割合を増やしているよ。借金返済は消費や投資ではないから、名目GDP(誰かの消費や投資の合計)は増えないよね」
 という現実を見ても、
「いや、セイの法則は成立している。名目GDPが増えないのは、国民の消費や投資を阻害する『何か』があるためだ
 と、実際には存在しない「何か」を探し始めます。(大抵は「政府の○○」に落ち着くようですが)

 上記は実需(=所得)面ですが、金融面で言えば、代表的なのが以下の論説になります。


「バブルが崩壊したならば、銀行に資金注入し、銀行がお金を貸しやすい状況を作れば、企業の設備投資が増えて経済は成長する」

 断っておきますが、わたくしは別にバブル崩壊後に銀行に資金注入することに反対しているわけではありません。銀行という信用創造の仕組みを守ることは、絶対に必要です。


 単に、バブル崩壊後のデフレ期は、銀行の体質が強化されても、あるいは政府の量的緩和が拡大しても、なかなか企業の設備投資に結びつかない、と言いたいだけです。なぜならば、企業側に需要(仕事)が無いためです。企業の資金的余裕が高まれば、設備投資が増える! というならば、我が国の企業の内部留保の現預金の総額がひたすら増えていっている現実の説明がつきません


 需要が縮小するデフレ期は、企業の「目の前の仕事」が減っている(あるいは増えない)ため、与信環境と無関係に「いずれにせよ、企業は投資を増やさない」という話でございます。(だからこそ、デフレ脱却のためには、金融政策と財政政策のパッケージで、政府が当初の需要を創る必要があります)


 さて、現在、日本以上に「頭の中にセイがいる」病に侵されてしまっているのが、ずばり「ドイツ」です。


ECBバイトマン氏:ソブリン債優遇やめれば民間向け与信増へ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MSAWX26TTDSF01.html
 欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、ドイツ連邦銀行のバイトマン総裁は29日、銀行のバランスシート上でソブリン債を優遇する措置をやめれば、民間部門向け融資が増えるとの認識を示した。
 バイトマン総裁はハンブルクで講演。「企業向け融資に対しソブリン債保有を優先するという現状がなくなれば、企業向け与信をより魅力的にする重要な一歩になる」と述べ、「危機時に銀行のバランスシート上でソブリンリスクが増えた理由の一部には、政府債であれば自己資本で支える必要もなければ保有に上限もないという事実がある」と付け加えた。
 欧州連合(EU)の当局者は銀行がバランスシート上に持つ域内各国の国債をリスクフリーと見なしている。しかし、こうしたソブリン債保有によって各国政府の財政危機が金融システムに波及し、危機の影響が相当ひどかった国々の銀行はバランスシートを修復しようとして、与信を絞った。ECBによれば、ユーロ圏の銀行の民間向け融資は7月に1年3カ月連続で前年割れした
 バイトマン総裁はまた、利下げや無制限の銀行向け流動性供給、フォワードガイダンス(時間軸政策)などここ1年にECBが講じた措置は「基本的に正しい」とも語り、こうした取り組みが債務危機の悪影響を抑えるのに役立ったと続けた。
 その上で「緩和的な金融政策の効果は低金利局面が長いと低下し、金融安定に対するリスクが増す」とも指摘。緩和政策を解消するのが「ますます困難になる」とも述べた。
 総裁はさらに、EU加盟国の新たな財政ルールが緩和されるのは「適切ではない」とし、「長期的には、堅実な国家財政のみが持続可能な成長を万全にする」と強調した。』


 バイトマン総裁が何を言っているかと言えば、
「銀行がソブリン債(政府保証債。国債など)ばかり買い、民間企業にカネを貸し出さないのは、ソブリン債が優遇され過ぎているためだ~っ!」
 というわけでございます。


 ね? 典型的でしょ。
 実のところ、現実はバイトマン総裁の考えとは「逆」で、民間に資金需要がないからこそ、国債が買われてるわけです(もちろん、銀行側が不良債権化を恐れて貸さない、という面もありますが)。バブル崩壊後のデフレ期は、余裕のある大企業までもが投資を増やさず、内部留保の預金を積み上げます。預金とは銀行にとって「借金」でございますので、これは誰かに貸し出さなければなりません。民間が借りてくれない(あるいは貸せない)以上、国債を買うしかないでしょう。


 という話なのですが、バイトマン総裁は見事に逆さまに理解しているわけです。
「銀行がおカネを貸し出そうとすれば、企業は借りる『はず』だ
 というわけでございます。


 現在のユーロ圏は完璧に「セイ」という妖精さんに侵されてしまっており、しかも記事にもあるように、唯一の「出口」である財政出動を「新たな財政ルール」で縛ってしまっているわけです。


 間もなく、ドイツ総選挙ですが、政策担当者たちの頭の中に「セイ」が棲みついている限り、ユーロ諸国の状況はいずれにせよ暗澹としているとしか思えません。ユーロ圏は97年以降の日本と同じ道を辿るでしょうが、何しろユーロの場合は「他国(ドイツ)」の影響で「セイの法則」前提の政策を打たざるを得ないわけです。逆に、ドイツ側をみれば、国民が「なぜ、我々の金で南欧諸国を救わなければならないんだ!」と怒っています。


 そう考えたとき、ユーロ圏が現状のまま存続できるとは、到底、思えないわけです。そもそも、共通通貨ユーロとは「セイの法則」を前提に造られたシステムなのでございます。

 
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