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NEW!『財政ファイナンスという神話(前編)』三橋貴明 AJER2013.8.20(3)

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 日本文芸社「ニュースに騙されない! 日本経済の真実 」、実業之日本社「ミャンマー 驚きの素顔 現地取材 アジア最後のフロンティア 」の二冊、Amazon販売、約開始いたしました。



 「経済界 2013年 9/3号 [雑誌] 」に連載「実践主義者の経済学」第32回「2つの潜在GDP」が掲載されました。


 本日のエントリーは、別に「煽りたい」わけでも何でもありません。とはいえ、読者の皆様には本エントリーをお読み頂き、民主主義についてじっくりと考えて頂ければ幸いに存じます。


 かつてのユーゴスラビア(1943年に成立したユーゴスラビア民主連邦)は、セルビア人、スロベニア人、クロアチア人、マケドニア人、モンテネグロ人などにより構成されていた多民族国家でした。1980年にティトーというカリスマを失ったユーゴスラビアでは、各地が一斉に分離独立に走ります。1989年に東欧革命が始まり、ユーゴスラビアもユーゴスラビア共産主義者同盟による一党独裁を断念。1990年には自由選挙が実施されました。すなわち、民主主義の導入です


 結果的に、連邦を構成する各共和国において、民族主義の色が強い政権が次々に樹立され、1991年に内戦が勃発。この年の6月にはスロベニアが独立し、マケドニア共和国が続きます。さらに、歴史的にセルビアと敵対関係にあったクロアチアが、激しい戦争の末に、独立を達成します。


 その後もボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、コソボ戦争と、ユーゴスラビア紛争は連邦を構成する各国、各地域へと伝播していきました。


 かつては、非同盟主義を柱とし、自主管理と呼ばれる独特の社会主義路線を歩み、社会主義国の優等生と呼ばれていたユーゴスラビアは、ティトーの死とソ連崩壊、東欧革命の余波を受けた「民主化」により、十年もの長きにわたる悲惨な内戦に突入したわけです。元々、ユーゴスラビアは国内の格差拡大に悩み、例えば最貧困地帯のコソボ自治州の国民一人当たりGDPは、経済的に最も発展していたスロベニアのわずか八分の一でした。


 さらに、ユーゴスラビアには「宗教」の問題もありました。ボスニア・ヘルツェゴビナはボシュニャク人というイスラム教徒を抱え、ボスニア紛争は宗教戦争的な色も持ち、陰惨化の道を辿ったのです。ユーゴからの独立に反対するセルビア人と、独立賛成のクロアチア人、ボシャニャク人との対立はエスカレートし、最終的には軍事衝突に至りました。


 一党独裁による強権政治。多民族国家。異なる宗教の存在。国内の極端な格差。そこに、「民主主義」が導入された結果、何が起きたか。


 実は、1990年時点のユーゴスラビアと酷似した状況にある国がアジアにあります。


 ミャンマーです。


 ミャンマーは、以前は軍事独裁政権だったのが、昨今、民主主義が始まりました。また、勘違いしている日本人が多いと思いますが、ミャンマーはバーミー(ビルマ人)、シャン族、カチン族、カレン族、カヤー族、モン族、ラカイン族、中華系、インド系、バングラディッシュ系などが暮らす多民族国家です。


 カチン族やカレン族とは、ミャンマー政府はガチで内戦を繰り広げています(最近、ようやく停戦しました)。カレン民族同盟に至っては、何と「ビルマ連邦」独立(イギリスからの独立)直後から、延々と中央政府に対し武装闘争を繰り広げていたのです。


 さらに、ミャンマーは確かに仏教国ではあるのですが、イスラム教徒も少なくありません。(特にラカイン州) 昨今、各地で仏教徒とイスラム教徒が衝突し、死者や負傷者を出す事件が相次いでいます。


ミャンマーで反イスラム暴動 仏教徒が店などに放火
http://www.asahi.com/international/update/0826/TKY201308260376.html
 ミャンマー北部ザガイン管区カンバル近郊の村で24日夜、仏教徒の村人らが暴徒化し、イスラム教徒の家や店などに放火した。26日付の国営紙によると、57戸が焼失、2人がけがをした。ミャンマーでは3月以降、反イスラム暴動が繰り返し起きている。
 現地からの報道によると、イスラム教徒の男が24日、村の女性に性的暴行を加えたとして逮捕された。事件を聞きつけた村人ら約150人が地元警察署を取り囲み、男の引き渡しを要求。家々に火を付け始めたという。暴徒は約1千人にまでふくれあがったが、治安部隊が出動し、事態は25日朝までに沈静化した。
 同国では昨年、西部ラカイン州でイスラム教徒のロヒンギャ族と仏教徒のラカイン族が衝突して以降、仏教徒の間で反イスラム感情が高まっている。3月には中部メイッティーラで両教徒が衝突、暴動が各地に飛び火した。』


 特に、ラカイン州のロヒンギャ族(イスラム教徒)の問題は、とにかく規模がでかすぎ、解決には相当な歳月を必要とするでしょう。何しろ、ミャンマーのラカイン州にはロヒンギャ族が100万人居住するのですが、実は彼らは「無国籍」なのです。元々は、ロヒンギャ族はインドのベンガル地方から国境を超えて来た人々で、バーミーやラカイン族とは明らかに「人種」が違います。ところが、現在はミャンマーはもちろんのこと、バングラディッシュ側もロヒンギャ族を「自国民」として認めていません


 すなわち、バングラディッシュとの国境地帯に、無国籍のロヒンギャ族100万人が居住しているのです。そして、彼らはミャンマー人のマジョリティ(仏教徒)とは「宗教」が違います
 
 ついでに書いておきますと、ミャンマーは各民族、地域で言語が違います。シャン族が話す言語はタイ語に近く(そもそも「シャン」とは「シャム」がミャンマー風になまったもの)、バーミー語(ビルマ語)とは文法が逆です。ビルマ語は日本語的(主語、目的語、述語)なのですが、シャン語は英語的(主語、述語、目的語)なのです。というわけで、ミャンマーでは人口の六割を占めるバーミーのみがシングルリンガルで、残りの民族はバイリンガルです。バーミー以外の民族は、民族語とバーミー語、最低でも二つの言語を話せなければ、ミャンマーでは暮らしていけません。


 ミャンマーは、民族、宗教、言語が違う人々が集まった「ユナイテッド・ステイツ・オブ・ミャンマー」なのでございます。しかも、昨日のメルマガでも書いた通り、国内の格差は半端ないです。


 過去のミャンマーは、軍事独裁政権という「強権」により、国内を抑えつけてきました。もちろん、カレン民族同盟との紛争もありましたが、あくまで「辺境」の話だったのです。


 ところが、ミャンマーが民主化されるにつれ、中央部のハートランド(イラワジ川沿い)においてまで、宗教紛争が目立つようになってきました。


 もちろん、ミャンマーがユーゴのように内戦に突入する、などと言っているわけではありません。とはいえ、民主主義がそれほど無理なく成り立つには、複数の条件があるように思えてならないわけです。すなわち、
「民族が同じ」
「言語が同じ」
「宗教が同じ」
「国内の格差がそれほど酷くない」
 まさに、「日本」という感じですが、上記が満たされたとき、国民の「ナショナリズム(共同体を共にし、互いに助け合おうという意識)」は健全に育まれます。そして、ナショナリズムこそが民主主義を健全に成り立たせる原点です。朝日新聞は「民主主義」が大好きなのですから、
「我が国のナショナリズムを健全に醸成する!」
 とか何とか言わなければならないんですよ、本来は。


 我が国が戦前から健全な民主主義を保有していたのは、まさに上記がある程度満たされ、しかも「国民意識(ナショナリズム)」」の象徴たる天皇陛下がおわしましたおかげでしょう。お花畑左翼の方々が出鱈目を吹聴していますが、我が国は戦前から民主主義国家です。何しろ、頻繁に「選挙」で政権交代をしていた以上、民主主義国家以外の何物でもないでしょう。


 アメリカは、もともとが移民国家ですので、「アメリカ英語」を強制することで、民主主義の基盤たるナショナリズムを醸成しようとしています(最近、アメリカが国内でスペイン語を認めているのは、極めてまずいと思います)。


 昨日、ANAがミャンマーの航空会社「アジアン・ウィングス・エアウェイズ」と資本提携する方針を固めたと報道されました。今後、日本企業のミャンマー投資は拡大することはあっても、減ることはないでしょう。


 わたくしは「日の丸」を背負った日本企業に、新聞の歪んだ煽りに乗せられ、ミャンマー投資を決断して欲しくないのです。だからこそ、わたくしはミャンマー取材を強行し、「ミャンマー 驚きの素顔 現地取材 アジア最後のフロンティア 」を書き上げたわけです。本書では、ミャンマーの民主主義、宗教、民族、歴史、言語等についても取り上げています。


 三橋貴明初の「経済紀行記」となった「ミャンマー 驚きの素顔 現地取材 アジア最後のフロンティア 」は、明後日発売です。


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