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NEW!『財政均衡主義の罪(後編)③』三橋貴明 AJER2013.7.23(1)

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 昨日は財務省や構造改革主義者の「増税のためのレトリック」としての「鰐の口が開いていく話」を取り上げましたが、本日は別の「鰐の口が開いていく話」


【ドイツ、ギリシャの失業率(月別)推移(単位:%)】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_43.html#GGUnemp


 いかがでしょうか。


 06年以降、月ベースで見たドイツの失業率が改善していく反対側で、ギリシャの雇用環境がひたすら悪化していき、まさしく「鰐の口が開いていく」状況になっているのをご確認頂けるでしょう。


 01年のITバブルの余波を受け、バランスシート不況に陥ったドイツは失業率が上昇し、05年に10%を突破しました。ECBは「ドイツのため」に金利引き下げを実施し、不況でも何でもなかったドイツ以外のユーロ諸国は見事に不動産バブルに突っ込み、07年以降、アイルランドを皮切りに順番にバブル崩壊していきました


 バブル崩壊でほとんどのユーロ諸国の失業率が悪化する反対側で、ドイツは国内の雇用環境を改善していきます。特に、ドイツがバブル崩壊後であっても輸出依存度を高めていったのは注目に値します。


 ドイツは、別に内需拡大で成長していたわけではありません。統一通貨(ユーロ)、関税ゼロ、サービスの統一、資本移動の自由、さらに人間の移動も自由という、「ユーロというシステム」を利用し、
「生産性の低い国々を相手に、同じルールで戦う」
 ことで、生産性の高いドイツが一人勝ちする構図が産み出されたわけでございます。


 結果、ドイツ以外の失業率がひたすら上昇する中、ドイツは失業率を押し下げていきました。5.4%の失業率とは、ドイツ統一後の最低水準です。


 まさに「システム」の勝利です。

 猟場を整え、一気に狩る。何となく、狩猟民族的だと思いませんか。


 「統一通貨」「関税ゼロ」「サービスの統一」「資本移動の自由」「人間の移動も自由」となると、ほとんど「国家」も同然です。前記に加え「財政も統一」となると、まさに「ユーロ連邦」が誕生したと考えて構わないでしょう。


 とはいえ、ユーロ加盟国は言語、人種、民族、宗教、歴史、文化、伝統、ライフスタイルを異にしています。すなわち、ナショナリズムを共有していません


 本来、ユーロが「連邦国家」を目指すのであれば、各国(地域)の生産性の違いをカバーする、何らかの措置を設けなければなりませんでした。例えば、現在の低失業率のドイツが、高失業率の国々に対し、「雇用対策の費用」を出してあげるなどの「ユーロ交付金」が必要なのです。とはいえ、そもそもユーロは、
同じルールで各国、各企業が市場競争を繰り広げる。負けた者は自己責任
 という、新古典派の理論に基づいているため、「ユーロ交付金」など、恐らく検討もしなかったのではないかと思います。代わりに、
「各国は財政赤字を対GDP比で3%以内に収めること」
 と、バブル崩壊後には絶対に守ることができないルール(マーストリヒト条約)が定められました。


 そもそも、EU(欧州連合)の基本条約は他国の債務の肩代わりを禁止しています。ドイツが「ユーロ交付金」を支払うと、事実上、他国の債務を肩代わりする形になってしまうため、端から不可能なのです。


 上記の「ユーロ」の話は、まさに「非常事態(バブル崩壊)」を想定していなかったという話であり、現在の日本の国内問題とそっくりです。何しろ、ユーロは「加盟の条件」は存在するものの、「離脱の条件」がないのです。いずれかの国が「ユーロを離脱する」という非常事態を、当初から想定していなかったことになります。


 とはいえ、日本国民もユーロ加盟国の国民も思い知らなければならないわけですが、非常事態は起き得ます。現在のギリシャのように失業率が27%を上回る事態になった場合、政府は雇用対策を打たざるを得ません。ところが、現実にはギリシャ政府はユーロ、EUのルールに縛られ、かつ債権国、債権機関の命じるまま、緊縮財政を実施し、自ら失業率を引き上げていっています。これでは、政権が、いや「民主主義」が持たないでしょう


 構造改革主義者は、
「国内に雇用がないならば、雇用がある他の国で働けばいい」
 などと「軽く」言いますが、現実には難しそうです。


仏、独への越境就職後押し 行政が出資 託児所、インフラなど整備
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130809/mcb1308090601016-n1.htm
 フランスの失業率はユーロ圏誕生以来、高水準で推移し回復の兆候を見せていない。オランド大統領の雇用政策も効果をみせず、しびれを切らした失業者はライン川を渡った隣国ドイツに雇用先を求めており、行政レベルで越境就職の後押しを行っている。
 欧州連合(EU)統計局の先月31日の発表によれば、6月のフランスの失業率は11%と14年ぶりの高水準で、隣国ドイツの約2倍だ。年末までに失業率を低下させるとのオランド大統領の公約も、達成が難しくなっている状況だ。
 そんな中、ドイツとの国境に接するフランス北東部のアルザス地方では、失業率の低いドイツに職を求める動きが加速している。ドイツの6月の失業率は5.4%でドイツ統一後の最低水準に近い。
 アルザス地方政府は特に国境に接するドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州での就職を後押ししている。同州にはドイツ経済を支える数千もの中小製造業が存在し、高級車メーカーの独ダイムラーやソフトウエアメーカーの独SAPの本拠地でもある。アルザスの失業率は約10%である一方、バーデン・ヴュルテンベルク州は同約4%だ。
 昨年時点で、約2万4000人のアルザス地方の住民がバーデン・ヴュルテンベルク州やラインラント・プファルツ州に通勤しているが、アルザス地方の労働人口120万人からすれば微々たる数字だ。
 政策当局者はアルザスの住民にとってドイツでの就職の最大の障壁は言語で、ドイツでの就職を促進するためには言語を含むさまざまな障壁を取り除くための包括的な支援が必要になると指摘する。近年、アルザス地方でドイツ語を話せる人口は数十年前と比べかなり減っている。(後略)』


 やはり「言語が違う」というのは、決定的な問題(グローバリズム的に)であり、グローバリズムを阻む最大の要因なのです。そもそも、人間は「言語」を含むナショナリズムの下でしか、安定的に暮らすことはできません(特に、日本人が顕著)。


「ギリシャの失業率が高いなら、ドイツに行けばいいじゃないか」
 などというグローバリズム的な提案は、解決策になり得ないのです。


 もちろん、外国人労働者が多数流入した国の方も、元々の住民との軋轢が増えていきます。多文化共生社会など、所詮は夢物語に過ぎず、移民を多く受け入れた欧州諸国では、昨今、社会的な混乱が目立ってきました(代表がスウェーデン)。


 上記の通り、
「非常事態を想定していない」
「ナショナリズムを軽く見る」
 問題は、実は我が国に限らず「世界の問題」でもあるわけです
 ならば、どうするべきなのか。を、現在は日本国民のみならず、世界中の人たちが考えている時代という話です。 


本エントリーを読み「様々な問題が繋がっている」ことを理解して下さった方は、

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