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NEW!『財政均衡主義の罪(後編)③』三橋貴明 AJER2013.7.23(1)

http://youtu.be/b4kuVx5fL1w

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 産業競争力会議の民間議員である竹中平蔵氏は、別に財政破綻論者というわけではないでしょう。
 とはいえ、日本の財政破綻を煽るような発言をしているのも間違いありません。


『2013年7月3日 ITPro[IT Japan 2013]「アベノミクスは100%正しい」と竹中平蔵氏
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20130703/489155/
(前略)しかし「日本の国の借金はGDPの200%を超えているので、中期的には必ず財政再建しなければならない。2020年までに基礎的財政赤字をゼロにする策がまだ示されていないことが課題だ」と続けた。(後略)』


 別に、GDP比200%だろうが、300%だろうが、自国通貨建て国債は破綻しないことくらい知っているでしょうけれども、
「中期的には必ず財政再建をしなければならない。プライマリーバランス黒字化だ」
 と、竹中氏はしつこいほどに繰り返しています。(「中期的」といった抽象的な言い回しが、ポイントです。)


 以前、テレビの収録で竹中氏と一緒になったとき、氏は財務省が得意とするレトリック「鰐の口が開いていく」を用い、財政破綻を煽っていました(もちろん「財政は破綻する!」などとは決して言わない)。


【鰐の口が開いていく】
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出典:財務省
http://www.zaisei.mof.go.jp/theme/theme3/


 一般会計歳出が増えていく反対側で、一般会計税収が減っていく。政府は社会保障支出などに継続的な支出を求められる中、デフレで名目GDPが成長せず、税収が増えていないため、歳出と税収の乖離が拡大していっているわけです。


 鰐の口以外にも、政府の財政問題を煽るレトリックは幾つもありますが、代表的なのは、もちろんこれ。


国の借金1000兆円突破 国民1人あたり792万円 6月末時点
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0902O_Z00C13A8MM8000/
 財務省は9日、国債や借入金、政府短期証券をあわせた「国の借金」の残高が、2013年6月末時点で1000兆円を突破したと発表した。前年同月末に比べて32兆円超増えた。7月1日時点の総務省の人口推計(1億2735万人)をもとに単純計算すると、国民1人あたり約792万円の借金を抱えていることになる。
 国の借金の残高は1008兆6281億円。一国の公的債務の大きさを国際比較する際には、国と地方の分を合算した指標を使うが、今回の発表は国の分だけだ。
 国の借金は1981年度に100兆円を超えた。00年に19年近くかかって500兆円を突破した。1000兆円を超えたのは、その13年後で借金増加のペースは年々上がっている。クレディ・スイス証券の白川浩道氏は「歳出削減や増税だけでなく、経済成長しない限り借金は今後も増え続ける」と指摘する。
 残高の内訳は、国債が830兆4527億円、借入金が54兆8071億円、一時的な資金不足を補うための政府短期証券が123兆3683億円だった。国の借金は13年度末には、1107兆円になる見通しだ。
 政府は15年度までに国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の名目国内総生産(GDP)比でみた赤字幅を、10年度から半減させる方針だ。だが、消費税率の引き上げをふくめ、仮に計画通りに財政健全化を進めても債務膨張には歯止めがかからない。国の借金もさらにふくらみそうだ。』


「だから、国の借金ではなく『政府の負債』だろ!」
「政府が国民から借りているのが『国の借金』の正体で、国民は債務者ではなく債権者なのに、何が『国民一人あたり792万円』だよ。印象操作すんなっ!」

「政府債務を他国と比較するなら、通貨が何建てかくらいきちんと考慮しろ!」
 と、毎四半期恒例の(「国の借金」の記事は毎四半期出ます)突っ込みをしておいて、そもそもなぜ「日本政府の自国通貨建て負債」問題がこれほど騒がれるのか、理由を考えてみましょう。一部の頭が悪い財政破綻論者はともかく、やはり問題は「構造改革主義者」が「プライマリーバランス黒字化」を好む、という問題です。


 もちろん、構造改革主義の思想的基盤である新古典派経済学が、財政均衡主義を好む、という事実は有ります。(「財政均衡を憲法に書け!」などと主張した新古典派の学者もいます)


 とはいえ、日本の構造改革主義者が「真実」財政均衡を実現したいならば、本来は、
経済成長に影響を与えないように、政府の税収を増やす
 必要があります。ジョセフ・スティグリッツ教授によると、「経済成長に影響を与えないように、政府の税収を増やす」最も確実な手段は、レント(レント・シーキングのレント)に税金をかけることだそうです。


 あるいは、富裕層増税、日本で言えば累進課税の強化も、それほど経済成長に影響を与えないでしょう。一人の人間が費やすおカネには限界があるため、富裕層の限界消費性向は低くなります。つまりは、富裕層の貯蓄に回ってしまうおカネを、税金として徴収する、という話です。


 上記に対し、限界消費性向が高い中間層、低所得者層に税金をかけると、「消費」という需要が確実に減ります。要は消費税でございますが、消費減少で名目GDPが減れば、税収が減ってしまい、財政均衡はむしろ遠のきます。


 なぜ、プライマリーバランス黒字化を重視する構造改革主義者は、「レント課税」や「累進課税の強化」を主張しないのでしょうか。


 さらに言えば、彼らが「政府の支出削減」を主張するとき、なぜ「PFI」やら「コンセッション方式」やら、民間企業のビジネスになる話ばかりが出てくるのでしょうか。


 結局のところ、プライマリーバランス黒字化を唱えている人々は、財政均衡が本当に実現してもらっては困るのではないかと思います。何しろ、公共サービスのレント・シーキングという「最終目標」が実現できなくなってしまいます。


 だからこそ、彼らは真の意味で「財政均衡」を実現するために有効な「レント課税」や「累進課税の強化」には沈黙しつつ、景気を失速させ、税収を減らすことで財政を悪化させる消費税増税と、レント・シーキングの一種であり、グローバル化(特に資本移動の自由)が進んだ世界では、国内景気へのポジティブな影響が低い法人税減税ばかりを主張するわけです。


 すなわち、財政均衡論を語る構造改革主義者たちの目標は、公共サービスのレント・シーキングを容易にする「財政の悪化」であるとしか思えないわけでございます。 


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