株式会社三橋貴明事務所
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NEW!『財政均衡主義の罪(後編)③』三橋貴明 AJER2013.7.23(1)
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三橋経済塾・東北地区特別講義のお知らせ
開催日:2013年8月10日(土)
会場:宮城県仙台市内(詳細はお申込み後ご連絡致します。)
開場:13時30分 開始:14時00分
講義テーマ:「正しい規制緩和 間違った規制緩和」。約1時間30分の講義です。今回の特別講義を受講するには、三橋経済塾への本登録もしくは仮登録が必要となります。ご登録はこちらから→ https://m-keizaijuku.com/
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三橋貴明「国家経済と土木」(土木を語る 第2回)
Youtube http://youtu.be/f4Y3jHBQDHw
ニコ動 http://www.nicovideo.jp/watch/sm21520641
本日はチャンネル桜「報道ワイドウィークエンド」に出演いたします。
http://www.ch-sakura.jp/hodo.html
昨日「赤池誠章と日本を取り戻す会」にお越しいただいた皆様、ありがとうございました。
【写真 新たにメルマガの執筆陣に加わって頂いた浅野久美様と】
5月のギリシャの失業率が発表になりました。全体で27.6%、若年層失業率は64.9%。
『5月のギリシャ失業率は27.6%、若年層失業者が急増
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323338404579000320727570050.html
ギリシャ統計局(ELSTAT)が8日発表した5月の失業率はまたも過去最悪を記録し、経済成長を支援しつつ国際債権団に課された厳しいスケジュールに沿って債務を減らすことがいかに難しいかを浮き彫りにした。
5月の失業率は27.6%で、前年同月の23.8%、前月の27%から上昇した。ギリシャの失業率はユーロ圏で最も高い。
スペインとポルトガルの失業率低下が分かった後だけに、ギリシャの大幅上昇による失望感は特に大きい。
スペインの失業率は依然、ユーロ圏17カ国で2番目に高いが、6月には26.3%と、前月の26.4%を下回った。やはりリセッション(景気後退)と重債務に苦しむポルトガルでは、4-6月期の失業率が2年ぶりに低下し、16.4%となった。
ギリシャの5月の失業者数は若年層を中心に増加した。15~24歳の失業率は64.9%と、前月の57.5%から急上昇した。』
ギリシャ統計局がデータの公表を始めた2006年以降、最悪の数値です。ユーロ全体の失業率が12.1%(これも酷いですが)ですから、倍以上になっているわけです。
しかも、若年層失業率が57.5%から64.9%に上昇。完全に国が亡ぶレベルでございます。少なくともギリシャの「民主主義」は壊れるでしょう。
失業の問題(特に若年層失業率上昇)の問題は、大きく三つあります。
一つ目は、もちろん失業者は「所得」を得られない、という問題です。人間は所得を得られなければ、最終的には飢えて死ぬしかなくなります。失業とは、新古典派経済学の教義に染まった構造改革主義者が言うような「数字」の問題ではなく、飢え死にの問題なのです、
二つ目は、人間は労働をすることで社会と関わり、尊厳を得ているという問題です。特に、日本人のこの傾向が顕著なのですが、仕事とはわたくし達にとって人生そのものです。仕事を失うとは、多くの人にとって「人生を失った」も同然です。というわけで、わたくしは、
「ゾンビ企業は潰すしかない」
「失業者は自己責任だよ」
などと「自分は安定した職に就きながら」言ってのける構造改革主義者たちが大嫌いです。
そして、三つ目は、労働者に蓄積された「技術」「ノウハウ」「スキル」「経験」の蓄積は、国家の貴重な供給能力(すなわち潜在GDP)の一部をなすためです。企業倒産も同じですが、倒産や失業は、
「国民経済から、虎の子の供給能力が消えてしまった」
という意味を持ちます。供給能力を失うと、現在というよりは「将来」極めて困った羽目に陥ります。何しろ、人間がいる限り需要は存在しますが、供給能力が不足すると悪性のインフレーションを引き起こしてしまうのです。
例えば、現在の日本では土建産業の技術、スキルの若い層への継承が遅れています。(というか、ほとんど行われていない)このまま土建産業の人材不足を放置しておくと、我が国は数十年後、現役世代が引退したとき、
「自国では高層ビルを建てられない。大型の橋を造れない」
国に落ちぶれていることでしょう。すなわち、発展途上国化です。
若年層失業率が65%に達したギリシャは、日本をはるかに上回るスピードで発展途上国への道をひた走っていることになります。しかも、この状況で政府がやっていることが、公務員削減を中心とする「緊縮財政」なのです。
「国家とは戦争では亡びなくても、政策の間違いでは亡ぶ」
を地でやっているようなものです。
いずれにせよ、若い世代を無職のまま放置しておくと、必ずエキセントリックな状況が生まれてしまいます。と言いますか、すでに生まれています。外国人を追放し、国境線に地雷を埋めろ。トルコからイスタンブールを取り戻す。メガリ・イデア再来だ!(イスタンブール奪還や、メガリ・イデア等については、さかき漣:著「希臘から来たソフィア
」をご一読下さいませ)
と、まことに分かりやすく、かつエキセントリックな主張を掲げる「黄金の夜明け」の台頭でございます。若年層失業率が上昇した以上、ギリシャの若者世代は「黄金の夜明け」やギリシャ共産党の草刈り場になってしまうでしょう。歴史を振り返ると、ファシズムもコミュニズムも、現在のギリシャのような「失業率急上昇」あるいは「デフレ」の状況で勢力を拡大したことが分かります。そこそこのインフレで、景気が良ければ、誰もファシストやコミュニストを支持したりはしないのです。
勘違いしている人が多いのですが、ドイツのヒットラー政権を生み出したのは「世界大恐慌」という超デフレーションであり、「ハイパーインフレーション」とやらではありません。ドイツがハイパーインフレになったのが1922年。大恐慌は1929年開始。1932年にドイツの失業率が43.3%に達し、翌33年にナチスが政権を握ったわけでございます。時期が全然違うでしょ?
いずれにせよ、戦前も全く同じだったわけですが、古典派経済学や新古典派経済学といった「経済人」という個人(国家、共同体ではなく)を中心とした机上の学問に世界が振り回され、グローバリズムだ、市場原理主義だと政治が突っ走ると、最終的には「失業率上昇」により限界を迎えます。古典派も新古典派も、何しろ中心が「経済人」でございますから、共同体(国家)による失業者の救済など、端から眼中にないのです。
だからこそ、日本の構造改革主義者たち(欧米も同じですが)、
「失業率が高いのは、職種のミスマッチがあるため」
「衰退産業から、成長産業に労働者を移せばいい」
「失業率が高いのは、企業が正規社員を解雇しにくい解雇規制のせい。正規社員をいつでも解雇できるよう雇用の流動性を強化すれば、企業は却って人を雇用するので、失業率は下がる」」
などと、適当なことを言っていられるわけです。
そもそも、
「職種のミスマッチがある。雇用がある産業(どこ?)向けに失業者をトレーニングしよう」
だの、
「成長産業を選定し(誰が?)、そこに人材を移動させよう」
などといった政策は、無茶苦茶に「設計主義」的であり、彼らが信奉する市場原理に反しています。本当に「成長産業」「雇用が拡大している産業」があるならば、その産業において人件費が上昇するはずです(市場原理により)。失業者は勝手に「人件費が高い」産業に向かうでしょう。
上記の話は、実は戦前の大恐慌期も「全く同じ議論」がなされていたわけですから、情けなくなります(人類の一員として)。
いずれにせよ、今後の日本でもますます上記の類の「虚論」が展開されることになるでしょう。彼ら、構造改革主義者たちの虚論には、「理論」「経験」「歴史」「事実」をもって対抗していくしかないのです。
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◇日本経済復活の会
積極財政による日本経済復活を目指して活動をしているボランティアグループです。
Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
連載中
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