株式会社三橋貴明事務所
講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから
三橋貴明のツイッター
はこちら
人気ブログランキング
に参加しています。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
チャンネルAJER更新しました!
『規制緩和を考える(後編)①』三橋貴明 AJER2013.6.18(1)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
7月11日(木) 第11回烏山講演会「世界経済とマスコミの嘘」(会場:東京都)
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_42.html#karasuyama
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
三橋貴明の「新」日本経済新聞のフェイスブックのページができました!https://www.facebook.com/mitsuhashipress
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
あさ出版「日本大復活の真相
」。発売になりました。
本日から京都、高松、大阪と西日本三連続で講演です。というわけで、わたくしはこれから京都に向かいます。
さて、「ぐろ~ばる! ぐろ~ばる!」と空虚なスローガンを繰り返すばかりの経済産業省でしたが、たまにはまともなこともやるようです。
『メーカーの価格指定容認 経産省・公取委、22年ぶり
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF1900B_Z10C13A6MM0000/
経済産業省と公正取引委員会は、メーカーが小売店に販売価格を指定することを容認する検討に入った。従来は価格競争を促すために価格指定を一律に禁止していたが、流通業界の交渉力向上を背景に欧米のように条件付きで認める。販売競争による値崩れが緩和されれば、メーカーは収益改善で新商品開発を進めやすくなる一方、消費者の反発を招く恐れもある。(後略)』
デフレ期というのは、消費者の利益があまりにも重視されてしまう時代です。理由は、消費者に所得が不足しており、簡単にはモノやサービスを買ってくれないためです。
所得が十分な人は、「良い製品」「良いサービス」と判断すると、特に何も考えずにおカネを支払ってくれるでしょうが、所得不足の場合はそうはいきません。消費者は「良い製品」「良いサービス」であっても、おカネが無いために買えないのです。結果、価格競争は激化し、生産者の所得が小さくなります。すると、その生産者が消費者の側に立った時・・・・。
と、価格と所得の低下がどこまでも続くのが、デフレーションです。
さらに、日本(だけじゃなく、世界が、ですが)では次第に販売店(特に大規模販売店)のパワーが大きくなっていき、「市場主義」が求められ、独占禁止法が強化されていきました。以前はメーカーが「定価」をつけていたのですが、独占禁止法が強化され、「メーカー希望小売価格」「オープン価格」に変わっていきました。メーカー側が販売価格を拘束することができなくなっていったのです。一部の体力のあるメーカーは、価格競争を防ぐために自社で小売店を経営するようになりました。
以前の日本は(高度成長期の頃)、生産者のパワーが強かったわけですが、それこそ当時は「セイの法則」が成り立っている可能性がありました。セイの法則(供給は需要を創出する)が成立しているならば、メーカー側は「定価」での販売を強制することができたわけですが、結果的に小売価格が高止まりし、
「消費者利益が損なわれている(確かに損なわれているのですが)」
との声が高まり、メーカー側が定価販売の強制で超過利潤を得ることが批判されていきます。結果的に、独占禁止法が強化され、「定価」の押し付けは法的に禁止されてしまいます。
同時に、生産性の向上で「セイの法則」が成立しなくなっていくと共に、大規模小売店側のパワーが大きくなっていきました。以前とは真逆で、メーカー側は大規模小売店の声に逆らうことが難しくなり、パワーバランスは逆転します。
挙句の果てに、インターネットにより、小売店と顧客との間のチャネルが一気に拡大し、しかもSPA(製造小売業)という恐るべき業態が誕生し(ユニクロとか)、さらにグローバリズム進展により「人件費の安い国で生産する」ことが可能になりました。日本の「生産⇒販売」に関する生産性が高まるなか、日本銀行が十分な金融政策を打つことをさぼり、さらに財務省が「需要縮小」の政策を打ちまくるため、98年以降の日本は完全なデフレーションに陥ります。
結果的に、我が国は「消費者天国」となりました。デフレの始まりは「必ず」バブル崩壊ですが、独占禁止法強化やインターネット販売拡大、さらにグローバリズムが「デフレを促進した」ことも間違いではありません。
日本のバブルが崩壊せず、そこそこのインフレ率の下で名目GDPが成長を続けていたならば、「独占禁止法強化」「インターネット販売拡大」「グローバリズム進展」が、国民経済にポジティブな影響「だけ」を与える結果になったかも知れません。とはいえ、日本のバブルは90年に崩壊を始めました。
結果、価格の低下が「所得の縮小」を引き起こしてしまい、国民は次第に貧しくなっていきました。もちろんスマートフォンやハイブリッドカーなどの「製品の進化」は有りますが、所得と価格の関係だけでみると、現在の日本国民よりも97年の日本国民の方が、間違いなく豊かでした。物価は今よりも高かったですが、所得は「それ以上に高かった」のです。
つまるところ、
「消費者利益の拡大」
も、
「グローバリズム」
も、
「独占禁止法強化」
も、政府の手段であって、目的ではないのです。政府の目的はあくまで、経世済民、すなわち「国民を豊かにすること」です。
日経の記事には「消費者の反発を招く恐れもある」とありますが、消費者と生産者は「敵同士」ではありません。同じ国民が、時に「消費者」になり、時に「生産者」になるわけです。
そして、消費者と生産者が互いに利益を分かち合いつつ、国民経済全体が成長する道を「模索」していかなければならない。と、国民全体が考える必要があるのです。現実には難しい話ではございますが。
本日のエントリーを「勉強になる」とご評価下さる方は、
◆さかき漣のページはこちら
◆本ブログへのリンクは↓以下のバナーをご利用ください。
経済通のおじさんと、女子高生真理ちゃんが織り成す、経済を解りやすく掘り下げた基礎講座
◇日本経済復活の会
積極財政による日本経済復活を目指して活動をしているボランティアグループです。
Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
連載中
新世紀のビッグブラザーへ ホームページ
はこちらです。
新世紀のビッグブラザーへblog一覧
はこちらです。