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『ドイツのユーロ(後編)①』三橋貴明 AJER2013.4.16(1)

http://youtu.be/EfAWKK9ulaE

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 週刊西田Satellite「NISHIDA VISION」に、「西田昌司×三橋貴明 経済対談」vol.1 -バブル検証と構造改革」(H25.5.7)が掲載されました。
http://youtu.be/IdQ0ERv9N4c
http://www.nicovideo.jp/watch/sm20801683


 本日は日本経営合理化協会主催「三橋経済動向塾」の開講日です。(経済塾ではありません)塾生の皆様、よろしくお願いいたします。
 
 「緊縮ドグマの終わり」シリーズは昨日で終わるはずだったのですが、面白いニュースが出て来たので続きます。


20兆ドル相当の国債の利回りが1%未満に-緊縮措置の誤り示唆
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MM01BR6JTSE801.html
 政治家は予算圧縮を進めて国の借金を減らそうとしているものの、債券市場では国債需要が高まっているため、約20兆ドル(約1950兆円)相当の国債の利回りは1%未満に低下した
 バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのグローバル・ブロード・マーケット・ソブリン・プラス指数の平均最終利回りは先週、過去最低の1.34%となり、5年前の3.28%から低下した。同指数を構成する債券の総額は23兆ドルと2倍余りに増え、米国と中国の国内総生産(GDP)の合計を上回ったものの、ドイツからルワンダに至る各国政府はこの1カ月間、過去最低の利回りで国債を発行した。
 ハーバード大学の経済学者であるカーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフの両氏は、高水準の債務は景気の減速につながると指摘しており、これを米国や英国などの政治指導者は緊縮策を正当化するための警告として使っている。その一方で、国債利回りは国が借り入れを増やすことを投資家が容認していることを示唆している。金相場が弱気相場入りし、インフレは鈍化しているが、30年続いている債券相場の上昇の勢いが弱まる兆候はない。 (中略)

 BOAは11日の顧客向けリポートで、20兆ドル相当の世界の国債利回りが1%を下回ったと指摘。世界の中銀による利下げや資産購入を含む前例のない刺激策が株式や債券相場を押し上げていると分析した。 』


 20兆ドル。2000兆円分相当額の国債利回りが金利1%を下回る・・・・。もちろん、短期債(二年債など)が中心なのでしょうが、世界中で国債が「通貨化」していることが分かります。


 国債金利が低い代表国がもちろん我らが日本ですが、他にもスイスが長期金利で1%を下回っています。短期国債の金利が1%を下回っているのは、ドイツ、アメリカなどでございます。国債の規模が大きい国が、こぞって低金利になってしまっているわけですね。
「世界の日本化
 という言葉を思い浮かべてしまったのは、わたくしだけでしょうか。


 これは一つの可能性ですが、ラインハート・ロゴフ論文が、
「高水準の債務は景気の減速につながる」
 と指摘した結果、 米英などの主要国が緊縮策を採り、各国の経済成長率が低迷し、資金需要が縮小し
「政府が国債を発行しても、発行しても、国債金利が上がらない」
 状況に繋がったようにも思えますが、あ、やはり「世界の日本化」ですね。最早、日本のみならず、世界の主要国の多くで「クラウディングアウトが起らない」状況に突入しているわけです。


 これは「財政破綻」という問題を考えたときには僥倖ですが、「国民経済」を考えた場合には、あまりよろしい話ではありません。要するに、日本以外の国々までもが続々とデフレ経済に足を踏み入れつつあるわけです。


 問題のラインハート・ロゴフ論文について、アメリカの元国務長官ローレンス・サマーズ教授が面白いことを書いていました。


コラム:ラインハート・ロゴフ研究の誤りに学ぶ=サマーズ氏
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE94602L20130507
 経済論壇に加え、政治論争の少なからぬ部分がここ数週間というもの、ハーバード大学のわが同僚(かつ友人)であるカーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフ両氏(RR)の研究をめぐる議論に費やされてきた。
 彼らの研究は、政府債務の対国内総生産(GDP)比率が90%を超えると、その国の経済成長が減速する可能性が高いことを立証したものだと広く解釈されている。
 マサチューセッツ大学の研究者らが、この研究の間違いを証明した。RRはコーディングの誤りにより集計に必要な重要なデータが一部抜け落ちていたことを認めた上、数カ国についての最新データを使えば、自らが主張した一部統計上のパターンの強度が大幅に低下する点も指摘した。RRが結論の基とした平均値を算定する上で、情報をどのように加工したかについての問題も持ち上がった。
 多くの人々の言い分では、疑問点が提起されたことで、財政赤字の早期削減を訴える世界中の緊縮論者の主張が揺らいだ。数百万人が失業したのは、RRが緊縮策に対して決定的な知的材料を提供したせいだ、と責め立てる者さえいる。(後略)』


 長いので後半は略しますが、面白かったのは以下の部分。


『第三に、RRの研究が財政赤字削減の緊急性をめぐる米英の右派著名人らの主張を裏付けなかったとはいえ、左派がそれみたことかと快哉を叫ぶのは概ね不適切だ。
 緊縮策について彼らを批判するのは馬鹿げている。そうした政策の立案者は最初に政策を選択し、その後に学術的な裏付けを探したのだ。


 「彼ら」とは、ラインハート氏、ロゴフ氏のことですが、サマーズ氏が何を言っているのかと言えば、各国で緊縮財政を推進した政治家、官僚たちは、別にラインハート・ロゴフ論文を受けて、緊縮策を強行したわけではない、という話です。
「ラインハート・ロゴフ論文によれば、政府負債増加は経済成長率を低迷させる。よって、緊縮財政を推進する」
 のではなく、
「緊縮財政を推進する。ラインハート・ロゴフ論文によれば~」
 と、あらかじめ決まった「緊縮財政路線」を推進するために、ラインハート・ロゴフ論文を活用したに過ぎない、と言っているわけです。


 まことにご尤もでございますが、ならば、
なぜ、各国の政策担当者は緊縮財政路線を推進したのか
 という疑問が残ります。


 新古典派経済学のドグマでは、「政府は小さくあるべき」となっています。政府が国債を発行し、財政拡大路線を採ると、民主主義国においては「我儘な有権者のせいで、国債発行を止められなくなる。結果的に、インフレ率が健全な範囲を超えて上昇してしまう」という話なのですが、昨日のクルーグマン教授のコラムにもある通り、現実には政治家は「財政拡大路線」よりも「緊縮財政路線」の方を採りやすいのです。理由は、国民がそれを望むためです。


 結果的に、デフレ、超低金利状態であるにも関わらず、「財政政策を拡大すると、インフレが止められなくなる!」という意味不明な考え方に基づき、緊縮財政を繰り返し、状況(財政を含む)を悪化させてきた代表国が日本というわけでございます。


 要するに、財務省の官僚や財務省に取り込まれた政治家が、国民(有権者)を信用していない、という話のように思えます


「お前たち(有権者)に任せておくと、自分のことばかり考えて、ひたすら国債発行、財政出動、通貨発行を政治家に強要するだろう? だからこそ、我らが緊縮財政で歯止めをかけなければならないんだよ」
 という、一種の前衛主義が透けて見えるのは、わたくしだけでしょうか。


 現実には、主要先進国の国民は緊縮のドグマならぬ「節約のドグマ」に冒されており、昨今の政治家はむしろ財政政策を継続することの方が困難なのです。代表が、09年総選挙で敗北した麻生政権です。


 09年の総選挙の際に、麻生総理と鳩山代表(当時)の党首討論が行われました。あのとき、総理が「国債発行と財政出動による経済成長路線への復帰」を訴えたのに対し、鳩山代表が、
「また、借金ですか・・・・・
 と言ったのを強烈に覚えています。少なくとも09年総選挙時は、「政府の借金を増やすな!」というレトリックの方が、有権者の支持を受けてしまったのです(今もそうかも知れませんが)。


 いずれにせよ、政治家や官僚の「緊縮財政好き」という傾向は、別に日本に限った話ではないわけでございます。結果、ラインハート・ロゴフ論文が「巧く活用」され、各国で緊縮財政が強行され、雇用の悪化と「財政の悪化」を引き起こしていたのが、リーマンショック以降の世界というわけでございます。


 デフレ期の緊縮財政は、国民経済をむしろマイナス成長に追い込み、雇用を悪化させ、国民の所得縮小により税収を減らし、財政をむしろ悪化させます。それでも「緊縮財政はやらなければならない」と主張する政治家や官僚がいたとすれば(いますが)、まさしく「緊縮のドグマ」としか呼びようがないわけでございます。


 緊縮のドグマは、終わらせなければなりません。日本では、取りあえず10月の消費税増税の「判断」が一つの山になります。まさに緊縮のドグマ(教義)が理由としか思えない、デフレ期の消費税増税を許してはなりません


デフレ期の消費税増税断固反対!に、ご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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