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『ドイツのユーロ(前編)①』三橋貴明 AJER2013.4.9(4)

http://youtu.be/pDU-0grAUgE

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 中経出版から「目覚めよ! 日本経済と国防の教科書 」が発売になりました。


 言志Vol.9に「無責任な市場信仰を捨て国土強靭化に邁進せよ」を寄稿しました。
http://www.genshi-net.com/


 ギリシャの1月の失業率が発表されました。予想通り上昇。27.2%。もちろん、月次統計開始以来、過去最悪の数値です。


 ギリシャはEUとIMFからの救済条件である緊縮財政を進めているわけですが、さすがに、
緊縮財政が景気後退を深め、GDPをマイナス成長(2012年はマイナス6.4%)にし、失業率が悪化している
 ことについて、誰も否定できない状況になりつつあります。


 とはいえ、例によりドイツにすくう緊縮財政論者たちは、
緊縮緩和(かんわ)は間違った政策だ。厳格な財政協定を導入する必要がある
 と無茶なことを言っています。ドイツの考え方を示す典型的な記事を見つけましたので、ご紹介。


『[独FAZ]緊縮緩和は誤った選択 厳格な財政協定導入を
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1900D_Z10C13A3FF1000/
 「緊縮の代わりに成長」という信仰に近い選択肢がなかなか消えない。「政府が歳出を増やせば成長する」という甘いささやきは、裏を返せば「緊縮すれば経済が縮む」を意味するからだ。
 大きく景気が落ち込んだときは、政府の追加支出の効果があるかもしれない。だが、それは例外的で景気対策を打ち出せば成長するというものではない。政府は歳出増で成長を「創り出す」ことはできない
 長期的な視点に立ち構造改革で潜在成長率を上げるしかない。労働市場を柔軟にし既得権益を縮小、補助金は減らす。歳出増でなく歳出減でこそ潜在成長率は改善する
 欧州連合(EU)には有害な緊縮策と有益な成長路線の2つの政治的な選択があるかのようだ。緊縮策を選ぶと、あたかも悪い手札を持ったかのように受け止められ、成長の邪魔者と後ろ指をさされる。メルケル独首相は改革を迫ったことで、他のユーロ圏各国を危機に押しやったといわれている。
 緊縮は経済によくないというのは言い逃れだ。仏政府が吹聴する「賢く節約」「成長に配慮した財政健全化」との提案はあまりにずうずうしい
 歳出を減らす気がないという点で不届き千万なだけではない。オランド仏大統領は必要な経済改革を全くやろうとせず、緊縮策をののしるばかり。「なにもしない」と宣言しているのに等しい。
 EU首脳会議はいつも通り美辞麗句で締めくくり、フランスやスペインの財政再建に時間的な猶予を与えることを地ならしした。これは「成長配慮の財政再建」ではなく、古い財政的な過ちを続けることを意味する
 初志貫徹して厳格な財政協定を導入すれば、中期的な成長を後押しできる。だがバローゾ欧州委員長の考えは異なる。政府のお金で目先の成長をなんとかしようとしている。そんなことを安易に求めるのは他人のお金を配るのが好きだからだ。(ヴェルナー・ムスラー記者)』


 いやあ、凄いです。

 キーワードだけを拾ってみても、
「政府は歳出増で成長を創り出すことはできない」
「構造改革で潜在成長率を上げるしかない」
「労働市場を柔軟にし、既得権益を縮小、補助金は減らす」
「歳出増ではなく、歳出減でこそ潜在成長率は改善する」
「古い財政的な過ち」
 などなど、日本の構造改革論者や財務省ですら「ここまでは言わないだろう」と思いたくなるほどの過激な「構造改革論」でございます。(日本の構造改革論者も言っているかな?)


【インフレギャップとデフレギャップ 】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_42.html#DGAP


 潜在成長率とは、上記図の「本来の供給能力(潜在GDP)の成長力を意味しています。


 確かに、政府の補助金を減らし、雇用の流動性を高め、既得権益を潰し、規制緩和、民営化、自由貿易といった構造改革を推進すれば、潜在成長率は高まるでしょう(これを否定したことはありません)。とはいえ、現在の日本、ギリシャ、そして世界の多くの国々は、「需要(名目GDP)」に対し「供給能力(潜在GDP)」が不足しているために成長できないのですか、という話です。


 もちろん、我が国やギリシャでインフレギャップが拡大しており、物価上昇が止まらないのであれば、ヴェルナー・ムスラー記者の言う通り政府の歳出削減や規制緩和といった政策が解決策(ソリューション)になり得るでしょう。さらに、物価と失業率が同時に上昇するスタグフレーションが発生しているならば、労働市場の硬直化が問題なのかも知れません。労働市場を柔軟にする、すなわち企業が人材を解雇し易くすれば、失業率を逆に押し下げることも可能でしょう。


 とはいえ、現在の日本やギリシャの物価上昇率は「マイナス」です。インフレどころかデフレに苦しんでいるわけです。


 デフレの国において問題になるのは、潜在GDPではなく名目GDPの不足です。モノやサービスの生産能力が不足しているのではなく、「買い手がいない」ことが問題の根幹なのです。

 デフレギャップが発生している国において、政府の歳出を削減し(=名目GDPを減らす)、規制緩和で新規参入を増やし、潜在GDPを大きくしてしまうと、さらなるデフレギャップ拡大を招きます。新規参入で競争が激化すると、企業倒産や失業者が増え、消費や投資(いずれも名目GDPの一部)を押し下げてしまうのです。


 別に、わたくしは「潜在GDPは重要ではない」などと言っているわけではありません。むしろ、WiLLの連載の冒頭に必ず掲げているように、
「◆国民経済において、最も重要なのは「需要を満たすために供給する能力」である。」
 と、潜在GDPこそが「国民経済で最も重要」であると認識しています。


 だからこそ、デフレ期の構造改革について、

国民経済の供給能力(潜在GDP)を毀損してしまうから問題

 と、批判を展開しているわけです。実際、「デフレ期の規制緩和」をやってしまった建設産業は、業者数がピークから二割も減ってしまい、現在の需要拡大に対応できない事態に至っています。


 結局、日本というか「世界」の構造改革主義者たちは、「需要(名目GDP)は常に存在する」というセイの法則に捉われたままなのです。無論、通常の経済においてはセイの法則がある程度は成立するかも知れません。とはいえ、バブル崩壊後のデフレ期は違います。


 バブル崩壊後の国では、民間が借金返済や預金を増やします。そして、借金返済や預金はモノやサービスの購入では無いため、どれだけおカネが使われても「名目GDP」にはなりません。構造改革主義者たちは、借金返済や預金という「名目GDPにならないおカネの使い方」を考慮しようとしないわけです。


 それにしても、本エントリーを最後まで一度読み、その後、改めて冒頭のヴェルナー・ムスラー記者の記事を読むと、緊縮財政や構造改革が「信仰」と化しているようにしか見えないと思うのですが、いかがでしょうか。


「確かに、まるで信仰のようだ」と、思われた方は、

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