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『TPPの真実(後編)①』三橋貴明 AJER2013.3.19(1)

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 本日はテレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」にビデオ出演します(多分)。


 3月29日のエントリー「ユーロの瓦解 」の続編です。


 EUの「欧州連合の機能に関する条約 」には、
「EU加盟諸国間、および「第三国」との間の資本移動と代金支払いの両方について規制を禁止する
 と書かれています。もちろん、付随条項がついていて、公的政策や安全保障を目的に、資本規制をかけることが可能な例外措置があります。今回のキプロスは、公的政策に基づき資本規制をかけているわけで、別に欧州条約に違反しているわけではありません。


キプロス大統領:ユーロ圏にとどまる決意表明-「国民は団結」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKG3I16KLVR501.html
 キプロスのアナスタシアディス大統領は29日、自国をユーロ圏にとどめる決意を表明した。金融混乱を防ぐための同国の資本規制は2日目を迎えた。
 同大統領はニコシアでの演説で「われわれはユーロ圏から離脱しようとはしていない」と発言。「わが国で起きている大規模な動きは、われわれを団結させるはずだ。ユーログループとの合意履行を成功させ、ユーロ圏に支障なくとどまり、始まった大きな変化の道のりを歩み続けることができるよう、われわれは一つになる」と述べた。
 この日、ニコシア市内の銀行前に行列はほとんど見られなかった。同国最大手行のキプロス銀行は営業再開初日の28日遅く、全ての取引が円滑に行われたことを明らかにした。 』


 何と言うか、悲壮感たっぷりのアナスタシアディス大統領の決意表明でございますが、現実問題としてキプロスはすでにユーロから「離脱」しています。何しろ、キプロス政府の資本移動の規制により、キプロス・ユーロが誕生してしまったのです。


 分かりやすくするために、日本国内を例にとりましょう。


 何らかの理由で、北海道が「資本移動の規制」をしなければならなくなったとします。北海道の銀行に預金されている日本円は、北海道以外の地域における決済では使えません。
 もちろん、北海道内で資金を移動させることは自由なのですが、おカネが津軽海峡を越えて移動しようとした際には規制に引っ掛かります。すなわち、北海道民は東京の店のネットショップで購入した製品の支払いを、これまで通りオンラインで振り込むことができません。


 こうなると、北海道民は製品購入(むしろ「輸入」)の支払いのために、青森以南の誰かに「非北海道の日本円」を借りるしかありません。例えば、茨城県に住む(ちなみに、本ブログは筑西市で書いていますが)友人から100万円を借り、ネットショップの支払いを済ませました。とはいえ、友人の方は「北海道の日本円」で100万円を返済されても、困ってしまうわけです。何しろ、「北海道の日本円」は、北海道でしか使えません。


 どうしても「北海道の日本円」でしか返済できないとなると、カネの貸し手はリスクを考えるようになり、「より金額の多い北海道の日本円」で返済することを求めることになるでしょう。すなわち、為替レートの誕生です。


 流動性の高い日本円と、流動性が低い「北海道の日本円」が「一定の為替レート」で交換されるようになると、事実上、北海道は「異なる通貨の地域」になるわけです。


 全く同じことが、ユーロ圏で起きています。すなわち、キプロス・ユーロの誕生です。


 キプロス中央銀行は、同国最大のキプロス銀行の再編に伴う大口預金者の損失額を公表しました。何と、大口預金者は約四割ものヘアカット(元本削減)を強いられることになるそうです。しかも、残りの6割についても、すぐに返済されるわけではありません。すでに、キプロスは預金をおろす際の資本規制を始めています。


 皆さんの銀行預金額が、いきなり6割になってしまうことを想像してみてください。今後、キプロスに預金する外国の大口預金者はいなくなることでしょう。


 実際、預金封鎖やヘアカットにより、キプロス最大の顧客であるロシア人が離れ始めています。元々、キプロスの経済は国内総生産(GDP)の7割を金融サービスに依存するという偏った構造になっていたわけですが、今回の混乱で「経済の中心」である金融サービス業が大打撃(というか、壊滅的打撃)を受けました。


 今後、キプロス経済は「毎年」10%を超えるマイナス成長が続き、資本移動の規制も継続することになるでしょう。(規制を外すと、あっという間に預金がドイツの銀行に移ることになります)
 
 というわけで、キプロス・ユーロが誕生しました。キプロスの銀行に預金されているユーロと、キプロス外のユーロとの間に「為替レート」が発生することを防ぐのは、もはや不可能でしょう。


 よくよく考えてみると、キプロス・ユーロが誕生し、ある時点でキプロスがユーロを正式に離脱することになると、ギリシャやスペインに対し「脱ユーロ」の技術的な手順についてモデルケースを提供することになります。ギリシャなどがユーロを離脱する際に、まずは資本移動の規制を行い、「ギリシャ・ユーロ」とユーロの為替レートが安定したところで、ユーロを離脱すればいいわけです。その後、ギリシャ・ユーロの名前を「新ドラクマ」に変えるという話です。


 何と言うか、ユーロというのは我々が「通貨」「国家」について深く考察するための切っ掛けを与えてくれるという点で、実に重宝する「社会実験」なのでございます。


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