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『TPPの真実(後編)①』三橋貴明 AJER2013.3.19(1)

http://youtu.be/m1nX1hAt28Q

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 本日は午後に神奈川県で講演した後に、「頑張れ日本!全国行動委員会」の懇親会に伺います。


 明日は、下館青年会議所講演会「日本経済の嘘と真実!! 」で、筑西市に伺います。何か、日本中を動き回っているように思えるかも知れませんが、本当にそんな感じです。

 来週水曜日(4月3日)から、毎週水曜日の朝6時から文化放送「おはよう寺ちゃん 活動中」にレギュラー出演することになります。ますます早寝早起きになりそうでございます。


 「WiLL (ウィル) 2013年 05月号 [雑誌] 」に「韓国経済を支えるウソと特許侵害」寄稿いたしました。 というわけで、今月は連載はお休みです。


 さて、徳間書店「アベノミクスで超大国日本が復活する! 」のAmazonキャンペーンが、本日(3月30日)23:59で終了となります。



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 IMFというか、本ブログに何度か登場したIMFのブランシャール調査局長のチームが、なかなか興味深いレポートを出しています。


ユーロ圏の北部経済大国はインフレ加速容認を-IMF報告書
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKFTRM6S972B01.html
 ユーロ圏南側の加盟国が賃金を削減し債務危機を克服している中、北部の経済大国はインフレの加速を受け入れる必要があると、国際通貨基金(IMF)のオリビエ・ブランシャール調査局長(チーフエコノミスト)率いるスタッフの報告書が指摘した。
 同報告書は「南部に調整を求めるのであれば、北部は一段のインフレを容認しなくてはならない。これはIMFがこれまでも強調している点だが、必ずしも十分に理解されていない」と記述した。  さらに「ユーロ圏でインフレ率2%の目標を達成するには、南部では目標値を下回るインフレ率が必要であり、北部では目標値を上回るインフレ率が求められる」と続けた。
 同報告書はさらに、ギリシャのような国が雇用を拡大する主な手段は競争力の強化だと指摘。生産性を向上させる措置が最善の策だが、結果を出すまでに時間がかかるため、こうした国では関連する賃金や価格を引き下げざる以外に選択肢がほとんどない状況に追い込まれるとも述べた。 』

 そもそものユーロの問題は、何なのか。というか、ユーロとは何なのか。


 生産性が高い北部諸国(ドイツなど)と、生産性が低い南部諸国(ギリシャなど)が、関税同盟、サービスの制度統一、資本移動の自由、人間の移動の自由という「統一市場」を構築し、さらに各国が金融政策をECBに委譲する代わりに、互いに固定相場制を実現したのがユーロです。国際金融のトリレンマにより、
「固定相場制」
「資本移動の自由」
「金融政策の独立」
 の三つを同時に達成することは不可能なので、「共通通貨」を実現するには、各国が金融政策の独立を放棄しなければならなかったわけです。


 実は、「固定相場制」「資本移動の自由」「金融政策の放棄」というのは、わたくし達日本国民にとっては、極めて身近なものなのです。わたくしたちが暮らす日本国内が、まさに前記三つを実現しているわけです。


 日本の各都道府県間では、通貨は「日本円」で統一されています。すなわち、各都道府県間で固定相場制が実現しています。東京の1円は、北海道の1円と同じ価値を持ちます。

 また、日本国内において、各都道府県間の資本移動は当たり前の話として自由です。東京で預金した日本円は、大阪のATMでおろすことができます。都道府県間を超えて「おカネ」を移動させても、別に構いません。と言いますか、おカネを持って日本国内を移動する際に、
「今、おカネが都道府県境を越えた」
 などと意識する人は一人もいないでしょう。


 さらに、各都道府県は金融政策の自由を持っておらず、中央の日本銀行に統一されています。日本銀行以外の「誰か」が日本円を発行すると、逮捕されてしまいます(要は偽札)。


 当たり前ですが、都道府県の県境で「関税」をかけることなどできません。日本国内は完全な「統一市場」なのです。


 こう考えてみると、共通通貨ユーロというのが本当に「統一欧州国」を作ろうとしている(あるいは「していた」)ことが理解できます。


 問題は、ユーロで言えば「各加盟国」、日本国内であれば「各都道府県」の生産性の違いです。

 人口が集中している東京圏は、極端なまでに(恐らく世界随一)生産性が高い地域です。それに対し、日本の地方は東京と比較すると生産性が低いです。というわけで、生産性が高い東京から徴収した税金を地方交付税などで分配し、各地域のインフラ整備や産業振興に充てることが普通に行われています(日本維新の会が主張する道州制は、このシステムの批判に基づいているものです)。


 とはいえ、東京都民だろうが、地方住民だろうが、共同体を共有する同じ日本国民であることに変わりはありません。同じ「国家」を共有する国民として、全体(日本国家)が成長し、国民が豊かになっていく共同体を維持していこうというのが、過去の先人たちが築き上げてきた日本国です。


 それに対し、ユーロは「統一市場」「共通通貨」はあるものの、産性の違いを吸収する仕組みがありません(例:ドイツからギリシャへの交付金など)。結果的に、各加盟国は「自由な市場」のもとで「ガチンコの競争」を強いられ、負けた国(貿易赤字、経常収支赤字の国)は対外純負債を拡大し、最終的には財政危機に突入します。


 生産性が低い国々が財政危機に陥り、国民が貧しくなっていくことを受け、生産性が高い国々は、
それは、負けた国の自己責任」 
 で終わらせるのが、共通通貨ユーロというシステムなのです。あるいは、ユーロの基盤となっている「思想」である新古典派経済学です。


 ブランシャール・レポートの分析は確かにもっともで、ギリシャが競争力を強化するには、長期的には生産性を高めなければどうにもなりません。象徴的な例を上げておくと、「希臘から来たソフィア 」で、さかき先生に書いてもらった通り、ギリシャがドイツ車と戦える「国民車」を産み出すしかないのです。(ギリシャがいかに国民車を作ることになるのかは、「希臘から来たソフィア 」をお読みくださいませ)


 とはいえ、関税が使えない、為替レートも変動しないとなると、ギリシャが国民車を産み出すには、
国民の賃金を引き下げ、外国企業に投資してもらう
 以外に方法がありません。ブランシャール・レポートは、
「こうした国では関連する賃金や価格を引き下げざる以外に選択肢がほとんどない状況に追い込まれる」
 と書いています。確かにその通りなのですが、これは要するに南欧諸国の国民に、
貧乏になれ
 という話なのです。


 ユーロ問題を解決する方法は、一つはブランシャール・レポートの通り、南欧諸国の国民が貧しくなり、賃金を引き下げ、輸出競争力を回復することです。当然、これまたレポートの通り、北部諸国は「インフレ率上昇」を受け入れ、アベノミクス張りの「金融政策と財政政策のパッケージ」を南欧諸国で実施するわけです。とはいえ、北部諸国側は、
「何で、自己責任の南欧諸国を救うために、自分たちがインフレ率上昇という犠牲を強いられなければならないんだ
 という話になってしまいます。共通通貨、統一市場とはいえ、未だにドイツとギリシャは「別の国」なのです。他の加盟国も同様です。


 さらに、別の解決策もあります。すなわち、ドイツなどの北部諸国が南欧諸国に対し、地方交付金的な「所得の移転」を認めることです。とはいえ、これまた、
「何で、自己責任の南欧諸国を救うために、自分たちの税金が使われることを認めなければならないんだ
 という話になってしまうわけです。


 要するに、ユーロとは価値観、文化、伝統、言語、民族、歴史、ライフスタイル、さらに生産性が異なる国々を、強引に「人工国家化」あるいは「帝国化」しようとした社会実験なのです。そして、この壮大な社会実験の結果は、すでに出ていると思います。


 人類が過去、長い時間かけて作り上げてきた「国家」という仕組みは、人々が安定的に生きていくために、それなりに有効であること。さらに、人間とは結局は「国家」を超える共同体を構築できるほど、賢くはなっていないという話です。


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