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『TPPの真実(前編)①』三橋貴明 AJER2013.3.12(1)

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 自由社「希臘から来たソフィア 」、おかげさまで大増刷が決定いたしました。グローバリズム、新古典派経済学について理解を深めたい方は、ぜひ、ご一読を。


 日本経済再生本部の下に置かれている産業競争力会議とは、首相官邸の定義によると以下の設置根拠になっています。


「日本経済再生本部の下、我が国産業の競争力強化や国際展開に向けた成長戦略の具現化と推進について調査審議するため、産業競争力会議(以下「会議」という。)を開催する。」


 何となくもっともらしい定義ですが、現実には竹中平蔵氏を代表株とする構造改革主義者たちのたまり場になっており、新古典派経済学的、新自由主義的な「提言」を出し続けています。産業競争力会議の民間議員は、竹中氏以外は民間企業の会長、社長の皆様ばかりで、要するに現代のデフレに苦しむ日本においても勝ち組になられた方々ばかりでございます。


 彼らの主張は、まさに「十年一日の如く」という表現がしっくりくる「構造改革」で、デフレ期であるにも関わらず、
「規制緩和(等)で、競争を激化させ、失業率上昇とデフレを促進する」
 政策が提言されています。産業競争力会議の議事録を見ると、電力自由化、外国人受け入れ緩和、農業の輸出産業化(攻めの農業)、貿易立国、投資立国など、冗談抜きで、
「いつまで同じことを言っているんだ・・・・
 と呆れたくなるような「キーワード」あるいは美辞麗句が並べられているわけでございます。


 そして、来るかな~、と思っていたらやはり来た、労働市場の自由化


再就職支援金で解雇可能に 民間議員、法改正要請へ
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF1400Z_U3A310C1EE8000/
 政府が15日開く産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)に民間議員が提出する人材・雇用分野に関する提言が明らかになった。労働市場の流動性を高めるため、解雇ルールの見直しを提起。過去の判例で縛られたルールを労働契約法で明記し、再就職支援金を労働者に支払うのを条件に解雇できる法改正を求める。
 人材力強化や雇用制度改革に関するテーマ別会合の議論を踏まえ、同会合主査の長谷川閑史経済同友会代表幹事が提出する。(後略)』


 産業競争力会議の理屈は、大雑把に書くと以下の通りになります。


企業が正社員を解雇しにくいから、逆に雇用が増えないのだ。正社員解雇を容易にすれば、企業は人を雇うようになり、失業率が下がる」


 上記を読み、違和感を覚えた方は少なくないでしょう。
 現在の日本で解雇規制の緩和(労働市場の流動性強化)を主張する人々は大きな勘違いをしています。すなわち、彼らの提言は「成長産業であれば、雇用はあるはず」という前提に基づいているわけです。あるいは、雇用のパイ(労働需要)は常に「どこかに存在している」と確信じみた思いを持っています。


 成長産業が真実、雇用を必要としているのであれば、失業者はそこに就職できる「はず」です。それにも関わらず、失業者が就職できないのは、企業側の雇用需要と失業者の能力の間に「ミスマッチ」があるためで、失業者を教育し、雇用のミスマッチを解決すれば、失業率は下がる「はず」なのです。同様に、企業の正規社員解雇を容易にすれば、成長産業に労働者が流れ、国民経済は成長できる「はず」でございます。


 上記の、何となくもっともらしい理屈に基づき、産業競争力会議などに集った構造改革主義者の皆様は「労働市場の流動性強化」を主張しています。


 とはいえ、本当に「成長産業(どこかは知りませんが)」とやらに雇用需要があり、職種のミスマッチや雇用の流動性が低いことが理由で労働者が雇われないのであれば、人件費の水準が上がっていくはずです。成長産業が「人材が必要」であるにも関わらず、人が来ないならば、それこそ「市場原理」に基づき、人件費は上がるでしょうに。


 人件費が上がれば、「低成長産業(これまた、どこかは知りませんが)」で働く労働者が自ら職を辞し、成長産業に流れるのではないでしょうか。あるいは、失業者が自らに教育や訓練を施し、「高い人件費」の成長産業に向かい、雇用のミスマッチは解消されるのでは?


 構造改革主義者の方々が勘違いしているのは、現実の世界には「雇用のパイが足りない」という事態が発生しうるという話です。具体的には、バブル崩壊後の世界になります。バブル崩壊後は、民間企業や家計が借金返済や銀行預金を増やしていきます。借金返済や預金は「消費」でも「投資」でもないため、企業や家計がどれほど莫大なおカネを使ったとしても、モノやサービスが買われるわけではありません。あくまで、モノやサービスの購入という形でおカネが使われなければ、雇用は生まれないのです。バブル崩壊後やデフレ期には、雇用のパイが縮小していっているのです。


 そんな時に労働市場の流動性強化を実施すると、単に喜んで企業側がリストラクチャリングを進めるというオチになります。 


 というわけで、バブル崩壊後に雇用の流動性強化を進め、とんでもないことになった国をご紹介。そう、スペインです。


【スペインの失業率の推移(単位:%)】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_41.html#Esp
 
 08年にスペインで不動産バブルが崩壊し、失業率が上昇していきました。スペイン政府は、経済学者たちの、
「労働市場の流動性を強化し、正規社員を解雇し易くすれば、逆に雇用は増える」
 という理屈に騙され、失業率を下げることを目的に、2010年に「正規社員解雇を容易にする」形で労働市場改革を行ったのです。まさに、労働市場の流動性を強化したですが、その後のスペインの失業率は却って悪化し、現在(13年1月)は26%を上回っています。さらに、若年層失業率に至っては、60%に近づいているのです。


 そもそもスペインは「若者の雇用を改善する」ことを目的に、労働市場の流動性強化を実施したわけです。すると、正規社員が解雇され、職が無い若者との「雇用の奪い合い」が始まりました。とはいえ、そもそもスペインの企業側に雇用需要が無いため、単に失業率が上昇していくというオチになったわけでございます。


 実のところ、バブル崩壊後に労働市場の流動性を強化し、却って失業率を高めるという失敗は、大恐慌期もやっています。当時とまったく同じことをスペインがやり、さらに日本でも雇用のパイが膨らまないデフレ期に「労働市場の流動性強化」を主張する人が少なくないわけで、人類はなかなか進歩しないものだと、つくづく思います。


 産業競争力会議の暴走を止めるには、上記のような「情報」を国民が知り、政治家に伝えていかなければなりません。



本日のエントリーで「労働市場の流動性強化」について理解を深めて下さった方は、

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【3月28日 因島商工会議所後援会「アベノミクスでどうなる日本経済?!」】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_41.html#0328  

【3月31日 下館青年会議所講演会「日本経済の嘘と真実!!」】
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【4月6日 FUNAI MEDIAセミナー「アベノミクスで激変!日本経済はどうなる!?」】
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