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チャンネルAJER更新しました。
『日本維新の会の皆様へ①』三橋貴明 AJER2012.12.18(1)

http://youtu.be/oIRU_556Cqg

『日本維新の会の皆様へ②』三橋貴明 AJER2012.12.18(2)

http://youtu.be/-r7ZtQu_uB0

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【2013年1月11日 江別商工会議所 新春経済講演会】
http://www.ebetsu-cci.or.jp/ibent/h25keizai/h25keizai.html

【2013年1月21日 羽島商工会議所 新春講演会】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_40.html#Hashima

【2013年1月31日 日本経済復活の会設立10周年記念パーティー】
http://tek.jp/p/meeting.html

【2013年2月1日 四谷法人会 三橋貴明講演会「日本経済を救う経済政策はこれだ 米中露韓経済戦争と尖閣・竹島」】 NEW!

http://www.yotsuya-houjinkai.or.jp/information.php?id=172
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 2012年も本日で終わりではございますが、特に空気を読まず、いつもの如き経済エントリーでございます。

 M様よりご依頼頂きまして、週刊文春の記事を取り上げさせて頂きます。M様が誰なのかは答えませんし、詮索もしてはいけないのです


宮崎哲弥の時々砲弾 日本という"悪い場所"(週刊文春1月3、10日号 P171)
 安倍晋三政権が遂行しようとし、かつみんなの党や日本維新の会などの野党も主要政策として掲げている「大胆な金融緩和」に関して、幾つかの基本的な誤解に基づく論評がマスメディアを跋扈している。今回はそこらを考えてみよう。
 第一に「中央銀行の独立性」をめぐる議論について。大方の金融緩和論者は「目標の独立性」と「手段の独立性」を分けて考える。もし経済政策の根幹である金融政策において、中央銀行が好き勝手に目標を定めることができるとすれば、政府の経済政策は手足を縛られることになるからだ。これは民主政治の原則に明らかに反する。
 では日本銀行の場合、そこのところはどうなっているのか。日本銀行法の第四条にはこう書かれている。
「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」
 この法文では、金融政策の目標を決める主題が政府なのか、日銀なのか、もう一つはっきりしない。だが、少なくとも日銀には、政府の基本方針に違背する金融政策を採ることは許されていない。
 法律はそのような事態に陥らぬよう、日銀に対し、政府との不断の協力関係を求めている。然るにそれを担保する具体的な仕組みについては規定がない
 この欠缺(法の欠落)を埋めなければならないと考えるのは至極当然のことで、「日銀法改正論=独立性への侵犯」というマスコミお馴染みの構図で捉えるのは短絡も甚だしい
 さらに一歩進んで、日銀が行うオペレーションの理念に、現行の「物価の安定」(日銀法第二条)に加え、「雇用の最大化」を盛り込むべきである。
 これは奇譚な案ではない。周知のように、12月12日、アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は失業率が6.5%程度になるまで金融緩和を持続すると決定した。雇用を金融政策のターゲットとすることは不合理でも何でもないのだ。
「金融緩和を行っても物価や金利が上がるだけ」などという愚論が新聞の一面を飾れるのは、日本という"反経済学国"だけだ。
 第二に、「モルヒネ的な景気浮揚策ではなく、潜在成長率の引き上げを図れ」という、最近散見されるようになった説を検討してみよう。
 潜在成長率とは何か。資本、労働力、技術力など生産に必要なリソースがフルに利用された場合の成長率を意味する。いわば一国の経済の「実力」を示すと捉えられている。
 内閣府試算によれば、現在年率0.5%と低迷している。これを規制緩和や貿易の自由化を通して引き上げていかなければならないというのが"潜在成長率論者"の主張だ。
 なーんのことはない。その正体は"帰ってきた構造改革主義者"ではないか!
 しかし、そのような政策は主に供給サイドの改善を図るものでしかない。現状でいくら生産性を向上させても、需要が伸びないままならばデフレギャップは拡大していくばかりだ。これでどうしてデフレ脱却できるのかさっぱりわからない。
 そもそも潜在成長率なる数値もかなり怪しい。仮想的な推計によるので、前提の置き方一つで結果が大きく変わってしまう。
 二年ほど前の日本経済新聞に、10名のエコノミストによる潜在成長率見通しの一覧表が掲げられたことがあったが、「現在」の推計値だけみても、2.3%から政府資産と同じ0.5%までばらついた(「潜在成長率 本当は何%?」2010年10月4日付け朝刊)。
 個人的には、2%前後と見積もるのが妥当だと思っているが、仮想的な数字であることに変わりはない
 そんな数値を基礎にして説かれる経済政策論なんて説得力なさ過ぎだろ!(宮崎哲弥)』


 潜在成長率とは、宮崎氏が書かれていらっしゃいますように「日本経済の資本、労働力、技術力など生産に必要なリソースがフル活用された場合」のGDPの成長率でございます。すなわち、潜在GDPの成長率というわけです。


【インフレギャップとデフレギャップ】

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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_37.html#IDGAP


 現在の日本は、潜在GDP(本来の供給能力)が現実の名目GDP(需要)に対し過大となり、デフレギャップが発生しています。日本の物価が下落していっているのは、人口減少でも少子化でも、財政悪化でも経済の成熟化でもなく、さらに言えば「若者の草食化」やら「若者が元気がない!車さえ買わないじゃないか!」のせいでもなく、単にデフレギャップが発生しているためです


 図を見れば、我が国のデフレ問題を解決するには、単に「需要を増やせばいい」ことが子供でも分かると思います。無論、デフレ期に民間が主導的に需要(消費と投資)を増やすことは有り得ませんので、「通貨発行」の権限を持ち、自国通貨建て負債の増加など無視することができる日本政府以外に、問題を解決できる主体は存在しません。


 潜在成長率論者たちは、デフレギャップがある状況で、「規制を緩和しろ!」「自由貿易を拡大しろ!」と、サプライサイドの能力強化を求めます。規制緩和や自由貿易拡大で日本国内の競争が激化すれば、間違いなく我が国の物価は下落します。需要が増えていない環境で、供給能力だけを高めるわけですから、当然です。


 と言いますか、そもそも何度も繰り返している通り、潜在GDPを引き上げるという施策は「インフレ対策」なのです。図の左側のインフレギャップが発生している国であれば、どうぞどうぞ、規制緩和でも民営化でも、あるいは自由貿易拡大でも何でも構いませんから、サプライサイド政策を打ち続け、物価抑制に努めて下さいませ。とはいえ、我が国はインフレですか?


 要するに、潜在成長率論者たちは、頭の中が未だに「インフレ」なのです。デフレ期に生産性を高める施策を打つと、企業は労働者の数を増やさずに、あるいは「減らしながら」供給を高めることができます(そもそも、生産性向上とはそういう定義です)。デフレの日本で国家全体の「生産性」が高まると、競争に敗れた企業は倒産し、あるいはリストラクチャリングの推進により、失業者が増えます。失業者は消費を減らすため、ますます需要が伸びなくなり、デフレギャップは拡大してしまいます。


 無論、インフレ期であろうとも、国家全体の生産性が高まれば、廃業する企業、働く場を失う労働者が増えていきます。とはいえ、インフレ期にはまだしも「雇用のパイ」全体が増えているわけで、再就職の可能性はデフレ期に比べれば高くなります。(セイの法則があるい程度成立している世界、というわけですね)


 それがデフレ期の場合、失業した元労働者たちは新たな雇用の場を見つけられず、長期失業者となります。人間は長期間失業し、所得を得られない状況が続くと、飢え死にしてしまいます。結果、彼らは政府の社会保障に頼るしかなくなり、生活保護受給者が増えていくという結果になります


生活保護受給、過去最多の213万人 8月時点
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2100U_R21C12A1CR0000/
 全国で生活保護を受給している人は8月時点で213万1011人となったことが21日、厚生労働省の集計で分かった。前月と比べて6342人増えた。受給者世帯数も同5230増の155万5003世帯で、いずれも過去最多を更新した。雇用情勢が厳しいことなどから、同省は今後も増加傾向が続くとみている。
 受給者は高齢者世帯のほか、失業などを理由とした働ける世代の増加が目立っている。厚労省は生活保護費の適正化に向け、支給水準の引き下げや自立促進策、経済的に余裕のある親族に扶養義務を厳格に適用することなどを検討している。』


 無論、不正受給の問題が無いわけではありませんが、我が国の生活保護受給者が統計発表ごとに「過去最多」を更新しているのは、別に日本国民が怠けているためではありません。仕事が無いためです。そして、デフレ期の規制緩和や自由貿易拡大といった、竹中氏たちが大好きな構造改革を推進すると、失業者はますます増加していくのです。


 今回の安倍政権では、ガチガチの構造改革主義者たちが何らかの役職に就くケースが散見されました。さすがに、彼らは「金融政策と財政政策のパッケージ」という正しいデフレ対策については、なかなか反対しづらいでしょう(何しろ、財務大臣が麻生太郎元総理大臣です。)


 とはいえ、だからこそ「最後のあがき」ということで、彼らは「成長戦略」に名を借りた構造改革を推進してくるでしょう。この流れを止めなければなりません。


 2012年は「デフレを促進する者たち」に対し、確かに「一撃」を加えることができた一年でした。とはいえ、わたくし達はまだ勝ってはいないのです。構造改革論者たちとの厳しい戦いが、2013年は繰り広げられることになるでしょう。何しろ、彼らは20年以上も日本の政策を左右してきたわけで、勢力は強大です。


 それでも、やらなければならないのです。誰のためでもなく、自分たち日本国民と、将来の日本国民のために


 明日から始まる2013年も、皆さんと共に戦っていきたいと思います。一年間、お世話になりました。来年も頑張りましょう!

2012年12月31日 三橋貴明

 

来年も「デフレを促進する者たち」を相手に、共に戦って頂ける方は、

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