法人税減税を考える

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『新古典派経済学の正体(前編)①』三橋貴明 AJER2012.11.20(3)

http://youtu.be/QZuYIh3S234

『新古典派経済学の正体(前編)②』三橋貴明 AJER2012.11.20(4)

http://youtu.be/mU3kutVIQjY
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【11月29日(木)国家ビジョン研究会シンポジウム(司会:三橋貴明)】
http://www.kokka-vision.jp/
 日時:11月29日(木)13時~17時 会場:衆議院第一議員会館
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藤井聡京都大学教授 平成24年度総選挙に向けてのFacebook発信記録
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 三橋は昨日、愛知県岡崎市で講演をやっていたわけですが、帰りに異様に冷え込んできました(無論、日帰り)。東京に戻ると寒さはさらに厳しくなっていたわけでございますが、以下の記事が流れており、驚いわたわけでございます。


東電、11年4月以降初の融通受電 東北など4社から
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD260J8_W2A121C1TJ0000/
 東京電力は26日、東北電力や中部電力など4社から最大100万キロワットの電力融通を受けたと発表した。昨年3月、東日本大震災の直後から3月28日までは融通を受けたが、昨年4月以降では初めてとなる。気温が予想を下回り、暖房向け需要が膨らんだことが主因。火力発電所の点検やトラブルで供給力がもともと低下していたため、一気に需給が逼迫した。(後略)』


 色々とギリギリなのだと思います、我らが日本国は、今。


 さて、昨日のTVタックルでは「財政政策と金融政策のパッケージ」(他)について色々と討論(というか怒鳴り合い)をやっていたわけですが、M様とも話したのですが、まさか「金融政策」や「公共投資」が選挙の争点になるとは、以前には想像もしていませんでした。無論、そうなればいいとは考えていたわけですが、何しろ日銀と財務省があんな感じでございますので。


 とはいえ、安倍自民党のおかげで、今や「デフレ対策」「インフレ目標」「日銀法改正」「公共投資拡大」が完全に争点化しています。元々、現在の有権者が最も望む政策は「景気対策」なので、安倍自民党は完璧にニーズを捉えた形になりました。


 しかも、野田総理が、
「日銀に直接引き受けさせることは、戦後の日本のハイパーインフレなどの教訓があって、日銀の独立性が知恵として出てきたのにそういう禁じ手まで使う。二重の意味であってはならない経済政策だ」
 と、別に安倍総裁は「日銀直接引き受け」とは発言していないにも関わらず、「ハイパーインフレ」「禁じ手」といった定義不明なフレーズで批判し、さらに大阪の橋下市長が、
「あろうことか、自民党は公共工事をやりまくると言う。いつの時代の政治ですか。」
 などと、分かりやすく古臭い「公共事業悪玉論」に基づき批判を展開してくれる。おかげさまで「日銀の問題」「公共事業の問題」が完全に争点化致しましたですよ、はい。


 いまどき、データも見ずに公共事業をイデオロギー的に批判するなど、それこそ「いつの時代の政治家ですか」という感じでございますね。


 「あろうことか」といえば、あろうことか経団連の会長であり、アメリカのTPP推進派筆頭モンサントの提携企業である住友化学の会長であらせられる米倉弘昌氏までもが、陳腐な「金融緩和批判」を展開してくれました。ほら、朝日新聞。経団連という利権団体のボスである米倉会長が、既得権益を活用して自民党に「金融緩和まかりならぬ」と政治的圧力をかけているぞ。民主主義の敵だとか何だとかレッテルを貼って、批判をするがいい(しないんだけど)。


経団連会長、自民総裁は「無鉄砲」 金融緩和発言「無謀」と批判
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL260L8_W2A121C1000000/?dg=1
 経団連の米倉弘昌会長は26日午後の定例記者会見で、自民党の安倍晋三総裁が大胆な金融緩和を日銀に求めていることについて「大規模というより無鉄砲。世界各国の禁じ手のような政策をやるのは無謀に過ぎる」と批判した。日銀に建設国債引き受けを強く迫っていることについて「財政ファイナンス(中央銀行の財政赤字穴埋め)と取られる。日本国債の信用問題になりかねない」と指摘した。
 安倍氏発言で円安が起きているとの見方については「そうは思わない」と否定。最近の日銀自身の緩和策が効いたとの認識を示した。株高についても売られすぎの反動とし、安倍氏発言とは無関係との考えを示した。そのうえで規制緩和を中心とする成長戦略の実行を求めた。』
 
 米倉氏の発言「財政ファイナンスととられる。日本国債の信用問題云々」を読む限り、財務省に入れ知恵されて、スピーカーの役目を務めているように思えます。使っているフレーズが、財務省のプロパガンダそのままです。


 しかも、相変わらず「(安倍総裁が)日銀に建設国債引き受けを強く迫っている」と虚偽情報をベースにしており、本当にこの人は日本経済成長のボトルネック(制約条件)だと思います。以下の図は先日も使いましたが、現在はFRBもECBも普通に国債を買い取り、通貨を発行しております。米倉氏の脳内の「世界」には、アメリカとユーロが入っていないようでございますね。(イギリスとかも)


【日本、アメリカ、ユーロ圏のマネタリーベースの推移(07年1月=1)】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_39.html#CPIJP


 さて、米倉氏は記事の最後に「規制緩和を中心とする成長戦略の実行」を求めています。さらに、米倉氏といえば頻繁に経済成長のための「法人税減税」を頻繁に要請しています。米倉氏に代表される新古典派(もどき)の人々は、規制緩和にせよ、法人税減税にせよ、共にインフレ対策であるということを未だに理解しようとしません。


【インフレギャップとデフレギャップ 】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_37.html#IDGAP


 規制緩和とは、競争を制限している様々ルール(法律)や障壁を撤廃し、企業の新規参入を拡大しましようという政策になります。「タクシーの総量規制撤廃」「高速バスの安全基準緩和」「長距離トラックビジネスの『トラック保有』の義務撤廃」などが代表的な規制緩和(法律改変)です。

 

 この種の法律を改変し、特定分野への新規参入を増やすことで競争を激化させ、業界全体の供給能力を高め、「物価・サービス価格を下げる」ことが出来るわけです。


 無論、国境という「障壁」を撤廃し、外国企業も日本で自由に競争に参入できるようにするTPPも規制緩和の一種です。
 競争を激化させ、供給能力を高め、価格を下げる規制緩和は、図の左側の「インフレギャップ」を解消するためには、まことに素晴らしき政策になります。不足している供給能力(潜在GDP)が競争激化により増大し、インフレギャップが埋まり、物価が下がります。とはいえ、デフレの国がそんなことをして状況を悪化させてどうするんだ、という話を何回もして来ました。


 法人税減税も同じで、デフレ期の国には適した施策ではありません。法人税減税とは、実のところ、
「法人税を引き下げ、外国企業に日本に投資をさせ、成長を目指す」
 ことを目的に実施される政策ではないのです。そもそも、現在の日本のようにデフレで需要が拡大せず、国内企業すら投資をしないような国に直接投資をする物好きな外資系企業はありません。たとえ法人税を切り下げたところで、我が国のデフレが続く限り対内直接投資は増えません。理由は「儲からない」ためです。


 かつてのアイルランドのように、国民所得が低く、かつ国民が英語を話せるという環境条件を持つ国であれば、法人税引き下げで外資系企業が流入してくるでしょう。とはいえ、現在の日本は「ケルトの虎」と呼ばれたアイルランドとは、何ら環境条件が一致していません。国民は英語を喋れず、所得は相対的に高く、かつ国内市場はデフレで縮小していっています。こんな国に少々法人税が安いからといって外資系企業が投資をするとは思えませんし、したところで儲からないわけでございます。


 さらに、日本は別に「企業がない」ことでは困っていません。むしろ、企業数は十分にあるにも関わらず、需要がないために経済が沈滞しているのです。我が国の問題は「需要」であり「供給能力」ではありません。


 法人税減税は、長期的には、
「減税することで企業の投資意欲をくすぐり、供給能力を拡大し、インフレギャップを埋める
 ことを目的に実施されるサプライサイド政策です。すなわち、インフレ対策なのです。


 無論、法人税減税により設備投資という「需要」が拡大し、短期的にはデフレギャップが埋まる効果を得られます。とはいえ、投資をしても儲からないデフレの国が法人税を引き下げ、果たして企業が設備投資を拡大してくれるでしょうか。これ幸いとばかりに、増えた純利益を預金されてしまうだけの話ではないですか。企業が法人税減税で増大した利益を預金してしまうと、我が国の需要は全く拡大しません。


 あるいは、法人税を引き下げ、
「浮いたお金で外国に直接投資をされる(日本の雇用が生まれない)」
「浮いたお金で、外国人を含めた株主に配当金が支払われる
 という結果にならないと、誰が保証できるのでしょうか。


 法人税を引き下げると、その分だけ日本政府及び日本国民の負担が増えます。日本国民の負担増に基づき、法人税を引き下げる以上、果実は「日本国内」で実らなければなりません。というわけで、デフレの国が企業に対する減税措置を講じるならば、「国内投資減税」でなければなりません。国内に企業が投資をし、人材を雇用して初めて法人税を減税するというスタイルでなければならないのです。


 自民党の政権公約に、
「日本の立地競争力の復活(海外流出防止)に向け、円高・デフレ対策とあわせてイノベーション基盤の強化や法人税の大胆な引き下げを行います。」
 とあります。


 日本の立地競争力の復活を目指すならば、なおさら法人税減税は「国内への投資減税」でなければ目的を達成することができません。単に法人税を引き下げるだけでは、企業が、

「おお!法人税が下がり、利益が増えた。このお金で外国に工場を建設しよう!」

 としてしまう可能性があり、それを防ぐ術はないのです。


【日本の民間企業設備と対外直接投資の推移(単位:億円) 】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_40.html#Invest


 現実のデータとして、日本の国内の設備投資は橋本政権以降、延々と横ばいもしくはマイナスですが、対外直接投資は激増しています。法人税を引き下げ、拡大した利益が「対外直接投資」に行かないとは、誰も断言できないのです。

 というわけで、今回は「法人税減税」という政策について、特にピックアップして取り上げてみました。



 いずれにせよ、現在の日本政府が実施すべき経済政策は「全て」がデフレ対策でなければなりません。同じ法人税減税であっても、「インフレ対策なのか」それとも「デフレ対策なのか」をきちんと考えて政策化しなければならないわけでございます。



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