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チャンネルAJER更新しました。
『三橋貴明のギリシャ紀行(後編)①』三橋貴明 AJER2012.10.23(1)
http://youtu.be/7824Ar8qJkQ
『三橋貴明のギリシャ紀行(後編)②』三橋貴明 AJER2012.10.23(2)
http://youtu.be/B1Brp4qsEqo
後編がアップされました!
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【11月29日(木)国家ビジョン研究会シンポジウム(司会:三橋貴明)】
http://www.kokka-vision.jp/
日時:11月29日(木)13時~17時 会場:衆議院第一議員会館◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
昨日は帯広市で開催されたサイン会、講演会に募集人員を超える皆様にお越し頂き、ありがとうございました(何と180名も!)。平日18時からの開催ということで、実はドキドキしていた(来て頂けるかな~、と)のですが、会場が溢れるばかりにお越し頂き、本当に嬉しかったです。(中川ゆう子先生、ご挨拶賜りありがとうございました!)
ご存じの通り、わたくしは政治的に中立でも何でもございませんので、「近いうち」の前にまた帯広や音更に行きたいと思っています。
経済塾生の方々とも触れ合うことができ、大変楽しかったです。今後の地方公演の際は、毎回「あれ」をやりたいと思います。(直方市のときには思いついていませんでした。すみません)
さて、昨日は「新古典派経済学」の批判をしましたが、この「机上の経済学」に基づき設計されたのが、共通通貨ユーロのシステムです。
(1) 中央銀行の完全なる独立
(2) 関税の禁止
(3) 為替レートの固定
(4) 財政赤字の制限(対GDP比3%、累積60%)
といった「ルール」に基づき、各国が競争を繰り広げる。
結果的に、各国間の生産性の差で「勝者」と「敗者」が生まれてくるわけですが、そんなものは「自己責任」。ギリシャやスペインが生産性が高いドイツからひたすら輸出攻勢を受け続けたのは、ギリシャ国民jやスペイン国民の努力不足。彼らが怠け、供給能力拡大のための投資をしないから、悪いんだ。
南欧諸国が貿易赤字、経常収支の赤字をひたすら拡大し、対外純負債を積み上げ、最終的に破綻したのは、「自由な市場」で勝利することができなかった南欧諸国側の問題。関税や為替レート下落といった「盾」なしで、ドイツの輸出攻勢という剣を受け続けなければならなくなったとしても、それも彼らの責任。何しろ、彼らは自国の意志でユーロに加盟したのではないか。
などと、ドイツの政治家たち(ショイブレ財相とか)は考えているように思えますが、そもそもそのドイツにしても、19世紀にイギリスの輸出攻勢を避けるべく、関税を活用しまくった「保護主義」により、世界的な製造大国、輸出大国に成長したんじゃないか! などと、嫌味の一つも言いたくなってしまいます。
それはともかく、上記の各種のユーロの「ルール」は、経済が比較的堅調に成長する時期でなければ成り立たないことが分かるでしょう。バブルが崩壊し、失業率が10%、20%と上がっていくと、当然ながら政府は財政赤字を拡大せざるを得ません(実際にしています)。対GDP比3%といった「ルール」など、守れるはずがないのです。
とはいえ、ユーロのルールでは(建前上は)、
「失業率がどうなろうとも、財政支出は拡大するな。財政赤字が拡大したら、社会保障や公共事業を切り捨てろ。貧困が増える? 問題ない。国民が貧困化していけば、そのうちに国民所得が「競争力を回復するほど」に下がる。そうすれば、輸出を拡大し、経常収支を黒字化することができるじゃないか。それに、そもそもこの世に「非自発的失業」など存在しない。失業者は能力さえあれば、必ずどこかに就職できる。就職できない労働者は、能力や教育が足りないわけだから、職業訓練を施せばいい」
こんな感じです。
昨日のエントリーでも気が付いたと思いますが、新古典派経済学の「教義」は突き詰めていくと、本当にグロテスクなのです。
『ユーロ圏:9月失業率11.6%、統計開始来の最悪-インフレ鈍化
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MCR57F6TTDSU01.html
ユーロ圏の9月の失業率は前月から上昇し、統計開始以来の最悪を更新した。債務危機と財政引き締め強化で域内景気 の落ち込みを深刻化させている。
欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)の31日の発表によると、9月の失業率は11.6%。8月の11.5%を上回り、1995年の統計開始以来の最高となった。
同日発表された10月のユーロ圏消費者物価指数 (速報値)は前年同月比2.5%上昇となった。9月は2.6%上昇だった。
ソブリン債危機で少なくとも域内の5カ国がリセッション(景気後退)にあり、域内の企業はコスト削減を余儀なくされている。欧州中央銀行(ECB)は先月、今年の域内経済縮小幅の予想を拡大させ、ドラギ総裁はさらに、景気見通しへのリスクは「下向き」との認識を示した。
IHSグローバル・インサイトの欧州チーフエコノミスト、ハワード・アーチャー氏は統計発表前、「ユーロ圏経済が10-12月(第4四半期)もマイナス成長となる可能性は極めて高いとみられる」とし、「ユーロ圏の基調的インフレが依然として警戒を要する状態には程遠いことから、ECBが最終的に政策金利を0.75%から0.5%に引き下げると考えている」と語った。
10月のインフレ率はブルームバーグがまとめたエコノミスト予想に一致した。 』
【2012年9月時点 欧州主要国及び日本、アメリカの失業率(単位:%)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_39.html#Unemp12Sep
ユーロ圏の失業率は北部諸国(ドイツ、オランダなど)を除き、相変わらずの悪化を続けています。スペインの失業率は25.8%。ギリシャは7月時点の数字で25.1%です。
これでも、両国の失業者は「自発的な失業者」だったり、「職種のミスマッチ」とやらだったりするのですか? 新古典派の経済学者さんたち。
現在のユーロ圏の雇用環境の悪化が止まらないのは、単純にバブル崩壊後に「需要不足」が始まっているためです。政策金利はゼロに近く、さらに長期金利も2%を切っている国が少なくない(ドイツなど)にも関わらず、企業は投資をしない。なぜでしょう。
無論、投資をしても儲からないためです。
この世の中には、金利がゼロであろうとも「企業が金を借りて投資をしない」「家計は消費をせずにひたすら貯蓄する」環境というものがあるんですよ、新古典派経済学者さんたち。
ブルームバーグの記事には「ECBが最終的に政策金利を0.75%から0.5%に引き下げると考えている」とありますが、それほど効果があるとは思いません。なぜなら、現在のユーロ圏の企業が投資をしないのは、金利が高いからではなく、需要がないためです。
そして、需要を創ることが可能な唯一の存在(政府)が「ユーロのルール」により手足を縛られてしまっているわけです。すなわち、スペインやギリシャの雇用環境の悪化については、現行の仕組みのままでは「打つ手がない」という話になります。
本当にとんでもない仕組みを作ったものです。ユーロは結局のところ「第二の基軸通貨!」などではなく、新古典派経済学をベースにした単なる「呪縛」だったのです。
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Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
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