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チャンネルAJER 更新いたしました。今回のテーマは「日本の公共事業の現実」です。

『日本の公共事業の現実①』三橋貴明  AJER2012.7.10(3)
『日本の公共事業の現実②』三橋貴明  AJER2012.7.10(4)

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8月26日(日)15時-山陽小野田市シンポジウム「企業誘致フォーラム」 開催

8月30日(木)18時30分-大阪「三橋貴明が語る!政治・経済の真実『メディアの大罪』 」講演会開催

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 三橋の無料メルマガが執筆交代制の日刊メルマガ「三橋貴明の「新」日本経済新聞  にリニューアルされましたが、如何でしょうか。昨日(月)がわたくし、本日(火)が藤井先生、明日(水)が上念司氏、明後日(木)が東田剛氏、金曜日がさかき蓮様、もしくは三橋経済塾管理人になります。何か、本日の藤井先生のネタと昨日のわたくしのネタが微妙に被っているように思えますが、偶然です。別に、打ち合わせしたわけではないのでございます。


 さて、ユーロです。ドイツの長期金利が1.17%、スペインが7.49%。スペインの危機が深刻化してきています。


 スペインの危機がさらに深まると、同国からユーロがドイツに流れ、外貨及びドイツ国債に流れ込む構図です。結果、ドル円が対ユーロで上昇し、ドイツの長期金利が下がるわけです。ドイツはこのままだと、
「長期金利が1%を切った三番目の国」
 となることになるでしょう。(ご存じでしょうが、一番目は日本、二番目はスイス)


ユーロが対円で一時12年ぶり安値、スペイン懸念で=NY市場
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE86M06X20120723
 23日のニューヨーク外国為替市場ではユーロが一時対ドルで2年ぶり、対円ではほぼ12年ぶりの安値をつけたスペインが全面的な支援要請に近づいているとの懸念がユーロを圧迫した。
 スペイン10年債利回りは一時7.596%と1999年のユーロ導入以降で最高水準となった。これを受けてユーロは1.2067ドルまで売られ、2010年6月以来の安値をつけた。(後略)』


 スペインがなぜ「国内の銀行への支援」ではなく、「全面的な支援要請」に近づいているかといえば、地方自治体が財政危機に陥ってしまっているためです。スペインは実は、ナショナリズム(国民意識)を越えた共通通貨ユーロという社会実験に参加しながら、国内で「地方自治の強化」という社会実験も同時に行っていたのでした。(厳密には地方自治強化が先)
 要するに、東アジア共通通貨と道州制を同時にやった日本のようなものです。


スペイン:地方分権は過ちだった、今年200億ユーロ削減へ-高官
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M2DGP16S972M01.html
 スペイン地方政策省のアントニオ・ベテタ次官は12日、国内17州に自治権を与えたのは過ちだったとの見解を示した。
 ベテタ次官はマドリードで、「1978年の地方自治制度で発生した最も過剰なものは17州それぞれに小国家を複製したことだ」と発言。
 さらに、マドリード州知事が今週提唱した再集権化に取り組む機関について、コストを削減できないほか、各州から権限を取り上げるのは問題外だとも述べた。
 ベテタ次官はまた、地方自治体が今年の歳出を200億ユーロ削減することを明らかにした。1カ月以内に成立する見込みの予算法で、予算目標を達成できない地方財政への関与が可能となると説明した。 』


「20XX年の地方自治制度で発生した最も過剰なものは○の道州それぞれに小国家を複製したことだ」
 などと、将来の日本政府の高官がぼやくんでしょうか。


 スペインでは地方分権が進み、各州の財政が独立に近い状況(要は道州制)になっていたのですが、結局、各州が中央政府に支援要請せざるを得ない状況に追い込まれています。バレンシア州が中央政府に支援を要請する方針を固めたのに続き、カタルーニャ州もギブアップ直前です。その他にも、カスティーリャ・ラ・マンチャ州、ムルシア州、カナリア諸島、バレアレス諸島もギブアップするのでは、というところにまで追い詰められているのです。


 スペインの各地方政府がなぜ財政危機に陥っているかと言えば、もちろん「地方債」の償還が出来ない状況になっているためです。とはいえ、スペイン中央政府に支援を求めたところで、どうにもならないでしょう。何しろ、中央政府自体が国内の銀行を救うのにアップアップな状況で、しかも通貨発行権がないのです。


 ユーロを見ていてつくづくと思うのは、「金融政策」と「財政政策」は不可分ということです。財政政策のみを自由にでき、金融政策の権限がない政府(中央政府、地方政府に限らず)は、景気が良い時は国内もしくは地域内の税収で財政を賄えます。ところが、資本主義には「バブル崩壊」「デフレーション」という逃れがたき現象が数十年、数百年スパンで必ず発生します。


 デフレで名目GDPが拡大しない状況では、税収は必ず減ります。名目GDPが増えないとは、要するに不景気という話で、雇用環境は悪化します。政府は税収が減る中、財政政策で雇用を改善しなければならず、財政赤字が膨らみます


 この時、独自通貨国であれば、「通貨発行」「国債発行」「財政出動」という正しいデフレ対策で危機を乗り越えることが出来ます(「やらない」という問題はありますが)。ところが、通貨発行権がない中央政府、及び地方政府は、この正しいデフレ対策が出来ません。


 地方財政はアメリカや日本でも悪化していますが、政治的リスク及びインフレリスクを無視すれば、「中央銀行が地方債を買ってしまう」という荒業で問題を解決することができないことはありません。が、現在のスペインは不可能なのです。


 スペインの状況を見ていると、「金融政策」と「財政政策」を分離した形の道州制が、将来的な国家のリスクになりかねないことが克明に理解できます。道州制推進論者は、
「ならば、道州政府に通貨発行権を与えればいいではないか
 などとラディカルな反発をするかも知れませんが、それこそ「革命」です。さらにそこに「外国人地方参政権」が加わった日には・・・・。間違いなく、日本国家は解体されることになります。


 結局、現在のユーロも、スペインの地方自治制度も、多文化共生主義も、さらに日本の道州制も、「国家」というものを否定しようというイデオロギーが根底にあるとしか思えないわけです。しかし、現実の国民はあくまで「国民」であって、地球市民とやらではないのです。


 結局、国民はあくまで「国民」としてしか生きられないことが、ユーロやスペインを見ていると理解できませんでしょうか。


本日のエントリーで「国家」について考えて下さった方はこのリンクをクリックを!

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