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チャンネルAJER 更新いたしました。今回のテーマは「日本の公共事業の現実」です。現在の日本にとって、極めて重要なテーマだと思います。
本番組の内容を是非、頭に入れて頂き、「公共事業はいらないよ~」などと適当なことをいう人に「説明」して頂ければと存じます。
『日本の公共事業の現実①』三橋貴明  AJER2012.7.10(3)
『日本の公共事業の現実②』三橋貴明  AJER2012.7.10(4)

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8月30日(木)18時30分-大阪「三橋貴明が語る!政治・経済の真実『メディアの大罪』 」講演会開催

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 小学館「コレキヨの恋文 」、ようやくAmazon在庫が戻りました。ご迷惑をお掛けいたしました。
 
【日本よ】通貨を刷って借りて使うべし![桜H24/7/13]
http://www.youtube.com/watch?v=feANrwOiY-4
【明るい経済教室】国富のまとめ、将来世代への責任[桜H24/7/13]
http://www.youtube.com/watch?v=xomfyhVaoL0
【欧州よ】やっぱり通貨を刷って借りて使うべし![桜H24/7/13]
http://www.youtube.com/watch?v=arp4bKuNm5o


 先日のチャンネル桜「報道ワイドウィークエンド」の映像がYoutubeにアップされました。タイトルでは「通貨を刷って借りて使うべし」となっていますが、正しくは「通貨を発行して借りて使うべし」でございます。
 理由は、別に日本銀行は通貨を「刷る」ことをしなくても、日本円を発行できるためです。


【日本銀行のバランスシート(2011年9月末速報値)単位:億円】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_37.html#BOJBS


 日本銀行は、自行のバランスシートに「負債」計上される現金及び「日銀預け金」の残高を増やすだけで、日本円の通貨を発行できます。別に、現金を印刷して国債を買い取り、通貨を発行しても構わないのですが、コストと時間がかかります。その上、現金はかさばります。


 日本銀行は国内の各銀行(及び政府)が自行に持つ当座預金の口座の残高を「増やす」ことで、日本円の通貨を発行できるのです。口座にお金を「振り込む」のではなく、「増やす」だけですのでご注意ください。(詳しくは「日本は「国債破綻」しない! 」をお読みください)


 日銀が国債を買い取り、日銀預け金(日銀当座預金の残高)を増やす形で通貨を発行すると、資産(国債)と負債(日銀預け金)が同額増えます。借方(左側)と貸方(右側)が同額増えるだけなので、純資産額は変わりません。しかも、日銀に負債計上された日銀預け金や現金は、一応「負債」ではありますが、返済する相手がいません。無論、利払いの相手もいません


 というわけで、日本銀行はたった一つの代償と引き換えに、純資産を変動させず、かつ実質的な負債(返済、利払いが必要な負債)を増やさない形で、日本円の通貨を発行できるわけです。たった一つの代償とは、もちろんインフレ率の上昇です。


 とはいえ、現在の日本はデフレに悩んでいるわけで、
「そんなことをすると、インフレになる!」
 などと言われても、本当に困ってしまうわけです。何しろ、こちらは「インフレにするべし」と言っているわけでございます。


 要するに、政府及び日本銀行は、実質的な返済負担や利払い負担を増やさない形で、インフレ率上昇のみを代償に「日本円」を発行し、借り(国債発行)、使うことができる存在なのです。特に、バブル崩壊後にデフレに陥った国の政府は、「通貨を発行し、借りて、使え」を実行に移し、デフレギャップ(=需要不足)を埋めなければならないわけです。


 具体的な話は上記のチャンネル桜の番組でも説明している通り、自民党の国土強靭化でも公明党の防災ニューディールでも構いませんので、六十年償還の建設国債を発行し、それを日本銀行に買い取らせ、雇用や所得が生み出されるように使えばいいのです。日本銀行の国債買取は、直接ではなくても、銀行経由でも構いません。(直接買入は国会決議が必要なので、面倒くさい)


 日本政府(及び日本銀行)が、実質的な返済負担や利払い負担を増やさない形で資金を調達し、国内のデフレギャップを埋めていく。すると、民間企業の投資が増え、銀行からの借入が増え、マネーストックが十分に拡大し、ようやく日本はデフレから脱却することができます。日本がデフレから脱却すれば、名目GDPが成長をし始め、政府の税収が増えます。そうなると、もはや赤字国債を発行する必要はなくなり、財政が再建できるというわけです。


 何か、問題でしょうか?


 と、わたくしはここ数年、一部の方々は十年以上もの期間、同じことを主張し続けているわけですが、なぜか国内には上記の解決策を否定(しかも、理由がよく分からない)したがる政治家や評論家が少なくありません。彼らの一部は、日本のデフレ深刻化は問題として認めつつ、
「ならば、中央銀行の金融緩和をもっとやるべき!」
 と、「通貨を発行して、借りて、使え!」の「通貨を発行して」の部分のみを声高に叫び続けてきました。現実の日本では、日銀が通貨を発行するのみでは、民間の投資意欲を呼び戻せず、しかも現在は銀行側が日銀への国債売却を拒否している有様です(民間の借り手がいないため、銀行は日本円の通貨ではなく「国債」を保有したがる)。


 それでも、「いや、金融緩和のみでデフレ脱却できる!」と言い続ける人が多いわけですが、理由は恐らくアメリカの経済学の主流派が上記の主張をしていたためでしょう。(していた、であって、しているわけではありません)。日本の経済学者の多くは、アメリカばかりを見ており、国内の数値データを見ようとしません。


 要するに、アメリカの経済学者が「財政出動」すなわち政府の支出拡大を嫌悪していたという話ですが、根底にはもちろん「新自由主義経済学」があります。無論、バブルが崩壊してデフレに陥っているのでなければ、新自由主義も大いに結構です。新自由主義には格差拡大等の弊害もありますが、それを「自己責任」として受け止めるかどうかは、国民の価値観の問題です。 


 ところが、国民経済の需要が縮小し、企業の投資意欲が激減するデフレ期には、新自由主義経済学は役に立たなくなります。「官から民へ」大いに結構ですが、肝心の民間がゼロ金利でも投資をしようとしない経済環境下では、一体どうするの? という話です。


 07年までは、バブル崩壊とデフレに苦しんでいたのは日本のみだったわけです。結果、日本は世界で唯一デフレに陥っている国でありながら、アメリカ発の新自由主義チックな「消費税増税」「法人税・富裕層減税」「中央銀行の独立性強化」「公共事業削減」「公務員削減」「規制緩和」「民営化」「財・サービスの貿易自由化」「非関税障壁撤廃」等々の政策、すなわち「インフレ対策」を打ち続け、ドツボに嵌っております


 そして、07年にアメリカの不動産バブルが崩壊し、ユーロの各バブルも崩壊し、これまでの経済学が役に立たない(時期的に)ことが明らかになりつつあります。結果、アメリカの経済学者たちまでもが「財政出動が必要だ」と主張し始めるようになりました(正しいと思います)。


クルーグマン氏:先進諸国は政府支出拡大が必要-ユーロは大変な過ち
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M70X7F6TTDT301.html
 ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏(米プリンストン大学教授)は、経済の緊急事態に直面する現在、先進諸国は政府支出を拡大する必要があると訴えた。
 クルーグマン氏は11日のCNBCテレビの番組で、「景気が好調な時に債務を返済すべきだ」と発言。「今は経済の緊急事態だ」と述べ、政府支出の拡大以外に「代わりとなる良策は存在しない」と強調した。
 また、欧州債務危機について、過剰債務が問題なのではなく、連邦国家を持たないまま単一通貨を発足させた結果であるとの見方を示し、「実際には債務水準ではなく、単一通貨という大変な過ちが生み出した制約の問題だ」と語った。 』


『[FT]日米欧で緊縮を後回しにすべき理由 By Martin Wolf
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1104K_R10C12A7000000/
(前略) 例えばBISは「バランスシート不況では、財政乗数が通常の景気後退時よりも低いかもしれない。特にバランスシート不況では、過剰債務を負った経済主体――最近で典型的なのは家計――は追加の所得のより多くを裁量支出の増加ではなく、債務の削減に回す可能性が高い」と述べている。
 確かにあり得る話だ。結論は、重要国で容易に賄える財政赤字は、今以上に大きくする必要があるということだ。各国はデレバレッジングを促すとともに需要を維持しなければならないからだ。デレバレッジングを加速させるもう1つの方法は、大量倒産すなわち恐慌だ。BISはそれを望むのか?(後略)』 


 要するに、バブル崩壊後のデフレ下、すなわち民間が負債(と投資)を増やさず、それどころかデレバレッジ(負債返済)を進める環境下で、政府が需要創出のために支出せず、一体、誰がやるのか? 誰も支出しないのでは、恐慌になる。という話でございます。まさに、クルーグマン教授の言う通り、
「今は経済の緊急事態だ。政府支出の拡大以外に代わりとなる良策は存在しない」
 という話でございます。


 クルーグマン教授やマーティン・ウォルフ氏(FTのエコノミスト)など、著名なエコノミスト、経済学者たちが、次々に「政府支出拡大が必要だ」と言い始めています。(くどいですが、正しいと思います)


 さて、国内で「アメリカ」ばかりを見ている経済学者の皆様、エコノミストの皆様はどうされるのでしょうか。嫌味ではなく、
「環境が変わったから、解決策も変わった」
 と言って、態度豹変するべきだと思うわけです。わたくしは、それが日本国の経済のためだと思いますので、皆様が「豹変」された際には評価させて頂くつもりです。環境が変わったにも関わらず、同じ解決策を主張し続けるのでは、ただのイデオロギーです。


「環境に応じて対策を変えるべき!」にご同意下さる方は、このリンクをクリックを!

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