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チャンネルAJER 更新いたしました。今回のテーマは「日本の公共事業の現実」です。現在の日本にとって、極めて重要なテーマだと思います。
本番組の内容を是非、頭に入れて頂き、「公共事業はいらないよ~」などと適当なことをいう人に「説明」して頂ければと存じます。
『日本の公共事業の現実①』三橋貴明  AJER2012.7.10(3)
『日本の公共事業の現実②』三橋貴明  AJER2012.7.10(4)

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8月30日(木)18時30分-大阪「三橋貴明が語る!政治・経済の真実『メディアの大罪』 」講演会開催

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 東京大学の 鈴木宣弘教授が、TPPに関して素晴らしい論文を公開していらっしゃいますので、ご紹介。


【TPP参加に向けての国民無視の暴走を止める 平成24年7月11日 東京大学 鈴木宣弘】
http://notpp.jp/21020711_NobuhiroSuzuki.pdf


『 はじめに-いま動かないと取り返しがつかない
 政局も流動的な中で、消費税、原発の問題がクローズアップされ、TPP(環太平洋連携協定)問題は動いていないかのように表面的に見えたのは間違いです。実務レベルでは、水面下で、米国の要求する「入場料」ないし「頭金」支払いの交渉は着々と進んでいます
 そして、ついに、TPPへの参加について、日本の決意表明を8月にも行う方針が決まったかのような報道が一部の新聞に出てきました。自動車については、ゼロ関税の日本市場に対して「最低輸入義務の台数を決めろ」というような米国の「言いがかり」の要求に必死の裏交渉で応えた成果が、米国が「とりあえず、このぐらいで許してやるか」という水準に近づいているのでしょう。
 実は、最も警戒すべきは、8月や9月でなくとも、いつ何時にも日本の正式参加が決まってしまう危険があるということです。日本はすでに2011年11月に参加の意思表示をしているのだから、日本が再度「決意表明」しなくても、米国が「頭金」を払ったと認めたら、日本の決意は示されたということで、明日にでも、米国が「日本の正式参加を認める」とアナウンスして、すべてが決してしまうかもしれないのです。米国が「決意を示せ」と言っているのは、何らかの機会に「入りたい」と日本が再度明言するという意味では必ずしもなく、自動車などの懸案事項に対して、しっかりと米国の要求に応える覚悟が示されるかどうかという意味です。 (中略)
 でも私が内閣府の同じモデルで学生さんに(三橋注:TPPの経済効果を)計算しなおしてもらったらほぼゼロに近い数字でした。ほぼ利益がないはずなのになぜプラスが出てくるかというと、皆さん、数字が合わないときはどうされますか、鉛筆をなめればいいということですね。モデルの場合は簡単でして、仮定を変えればいいのです。TPP で競争が促進されれば生産性が向上してコストが半分になるとか、こういう風に仮定を置けば利益が出てきます。こういうことが実際に行われているわけです。こういう分野を専門にしている私が言うんだから間違いないけれども、逆に私の専門分野はいい加減なものなのだと思われるかもしれませんからこれ以上は述べません。
 そもそもこういう数字がもう一つ問題なのは、せまい意味での銭金だけで、農業がそこにあることの意味とかが全然入っていないわけです。一番わかりやすいのは、いま、田圃が崩壊しているところで何が起こっているか、洪水ですよ。洪水が頻発しています。日本中の田圃がTPP で崩壊すれば少なくともダムを造るのに3.7 兆円かかるというのが農水省の試算です。だったらこれはコストじゃないですか。これを引いたらもうプラスは消えちゃうわけですよ。だからTPP をしてはだめだという結論になるわけですね。総合評価というのはまさにこうやって出てくるものなのに、経済学でもこういう風に計算するのが現在の常識なのに、わざとこういう計算においては60 年前の経済学に戻してしまう、いうことを意図的にやっているわけです。(中略) 』


 鈴木教授はTPPの経済効果について、「総合評価 内閣府試算から多面的機能喪失分を引いた総合評価」として10年間-1.3~-0.5兆円と評価されています。が、日本のGDPのマイナスはこんなものではすみません。なぜなら、そもそも内閣府の試算が一般均衡モデルを使っており、「デフレ深刻化」が前提になっていないためです。すなわち、TPPに入っても「インフレもデフレも進まない」というモデルで計算されているのです。


 TPPに入り、物価が下がり、失業者が増え、国内需要が減り、デフレギャップが拡大し、デフレが深刻化し、円高が進行する。現在の日本ならば、当然の話としてパラメータに入れなければならないデフレ深刻化を省き、奇跡的に「TPPに入ってもデフレは深刻化しない。円高も進まない」という前提で、内閣府は「10年間」2.4兆円、鈴木教授は-1.3~-0.5兆円という試算結果を提示しているわけですね。


 それはともかく、鈴木教授が書いておられるように、「日本の決意表明を8月にも行う方針が決まったかのような報道」が、一部の新聞に掲載されました。一部の新聞というより、産経新聞です。


『2012年7月10日 産経新聞「政府、8月中にTPP参加決定 メキシコ、カナダとの同時参加目指す
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120710/plc12071001370002-n1.htm  』


 上記の産経の記事は各種のオンラインメディアに転載され、「すわっ! 8月か!」と騒ぎになりました。さらに、産経新聞は翌日の社説で、


『2012年7月11日 産経新聞 社説「TPP交渉 参加表明する機は熟した」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120711/plc12071103200005-n1.htm  』


 と、まさに日本をドイツ・イタリアとの三国同盟に参加させようとした過去の新聞そのままのノリで、TPP参加を煽りました。何しろ、TPP交渉参加の理由が、
「21世紀の自由貿易の枠組み作りに関与できないダメージは計り知れない。すでに機は熟している」
 ときたわけですから、まさしく「バスに乗り遅れるな!」理論です。しかも、産経新聞の主筆の頭の中では、世界は「アメリカ」のようで、現時点で9か国が検討しているTPPについて「21世紀の自由貿易の枠組み」と表現しています。冗談抜きで、頭に何かとりついているんじゃないの? と言いたくなるわけです。


 と言いますか、TPPは物品の関税だけならともかく、各国の社会制度システムを(できるだけ)統一し、ビジネスをやりやすくしようという、国際的規制緩和の究極版です。TPP加盟国以外の国にとっては、非常に敷居が高くなりますので、むしろブロック化なのです。決して「21世紀の自由貿易の枠組み」ではありません。


「自由貿易の推進!」
 というお題目で、「アメリカ(というか、アメリカの多国籍企業)的ブロック化」を進めようという施策というわけでございます。


 以前、赤旗がスクープした「TPPのための米国企業連合」ですが、アメリカは堂々と連合のフルメンバーを公開しています。


【U . S . B U S I N E S S C O A L I T I O N F O R T P P 】
http://www.nftc.org/default/Publications/Trade_Policy/TPP%20Coalition%20Letter%20to%20Sperling.pdf


 まさにアメリカの多国籍企業(自動車企業は除く)が総出演という感じで、メンバーを見ただけでお腹いっぱいになります。とはいえ、この種の情報をあっけらか~んと公開しているわけですから、アメリカのやり方はある意味でフェアだと思います。情報をオープンにして、日本に、
「さあ、どうですか?」
 と提案し、日本側が例により「バスに乗り遅れるな!」と参加し、社会制度が次々に変更され、国の形が変わり、挙句の果てにデフレ深刻化で失業率が高まり、国民所得が減ったとしても、アメリカ側は、
「だって、こちらは全ての情報をオープンにしていたよ。今さら文句言うなよ
 と言えるわけでございます。


 さて、産経の記事が出た後、幾つかの新聞からTPPに関する報道がなされました。


『2012年7月12日 時事通信「TPP判断、期限は設けず=野田首相」
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012071200826
 野田佳彦首相は12日午後の衆院予算委員会で、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加を判断する期限について「いつまでに決めるという決め打ちはしていない。相手国との協議、国内における議論の熟度もある。そういうものを踏まえて判断する」と述べた。新党きづなの斎藤恭紀氏の質問に答えた。
 斎藤氏は「消費増税は政権交代すれば廃案に追い込めるが、TPPは一度参加したら抜けられない。参加表明前に衆院を解散してほしい」と要求。首相は「民主党内の議論をよく踏まえて対応する。政府が意思決定しても最終的には国会の判断を仰ぐことになっている」と語った。』


『2012年7月12日 読売新聞「TPP交渉参加、期限設けず判断…野田首相」
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120712-OYT1T01134.htm
 野田首相は12日の衆院予算委員会で、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加を表明する期限について「いつまでに、という決め打ちはしていない。相手国との協議や国内議論の熟度を踏まえ判断する」と述べ、期限を設けず判断する考えを示した。(後略)』


 産経新聞の記事では、
「8月中に参加を正式決定し、米国など関係9カ国に通告する方針を固めた。」
 と、明らかに交渉参加が「決定」したかの如き報道になっているわけですが、野田総理は直後の衆院予算会で「いつまでに決めるという決め打ちはしていない。」と発言したのです。何なのでしょうか。


 要するに、産経の記事は経済産業省のTPP推進派官僚が、
8月に総理が交渉参加を表明するらしいわよ~
 とリークし、それを産経が真に受けて記事にした上、社説まで書いてしまったというのが真相ではないかと思います。


 現在の日本が、まさに言論戦・情報戦の最中にあることが分かります。無論、情報戦が展開されているのはTPPだけではありません。


 日本国民の多くは、未だに新聞やテレビから情報を得た上で、投票時の判断基準にしているでしょう。その新聞やテレビが「虚偽」の情報を流してしまうと、日本国の民主主義は破壊されます


『2012年7月13日 朝日新聞「尖閣上陸、都に認めぬ方針 野田政権、直接購入目指す
 尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化を表明している野田政権は12日、東京都が上陸許可を申請しても認めない方針を固めた。購入する意向を示している石原慎太郎都知事は事前調査のための上陸を検討中だが、政権は地権者からの直接購入を目指しており、都の事前調査は不要と判断した。 (後略)
http://www.asahi.com/politics/update/0713/TKY201207130111.html


 13日に朝日新聞が上記の記事を出したと思ったら、


『2012年7月13日 産経新聞「都の尖閣上陸「不許可」報道を否定 藤村官房長官「事実ない」」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120713/plc12071311360011-n1.htm
 藤村修官房長官は13日午前の記者会見で、東京都による沖縄・尖閣諸島の購入計画をめぐり、都が上陸許可を申請しても政権として認めない方針を固めたとする朝日新聞の報道について「方針を固めた事実は全くない。そういう議論をしたことも、検討したこともない」と否定した。(後略)』


 と、官房長官に即座に否定される。


 日本国民は、一体何を信じて投票したらいいのでしょうか。今や、日本のマスコミは「民主主義の破壊者」になりつつあるというのが真実なのです。


 「民主主義」を守るために、どうしたらいいのか。現在の日本には、国民にこの重い問いが突きつけられている段階なのです。


「マスコミは民主主義の破壊行為をやめろ!」にご賛同下さる方は、このリンクをクリックを!

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