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6月17日 三橋貴明著「ジャパン・コンセンサス―国民を豊かにする「最強」の経済政策  」発売記念

三橋貴明の「「デフレを退治し、日本を救う会」 講演会が開催されます。

http://www.a-un.jp/symposium/index.html

※前半は三橋貴明の講演、後半がパネルディスカッションです。

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『日本をギリシャ化する方法①』 三橋貴明 AJER2012.5.22(1) 】
『日本をギリシャ化する方法②』 三橋貴明 AJER2012.5.22(2) 】

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 来週17日(日)18時から開催される三橋貴明の講演「デフレを退治し、日本を救う会 」http://www.a-un.jp/symposium/index.html でございますが、前半はわたくしが「グローバル資本主義の次の資本主義」について講演し、後半はペマ・ギャルポ氏と生島氏と「次の資本主義」をテーマにパネルディスカッションを行いたいと思っております。

 1991年末に冷戦が終わり、08年にリーマンショックが起き、現在は世界中が「次の資本主義」をめぐて混乱している状況です。「次の資本主義」は、少なくともグローバリズムよりは「国民経済」に重点が置かれたものになるべきだと考えているわけです。この手の「資本主義の形」の転換は過去に何度も起きていまして、例えば1930年代のフォーディズムをベースにした資本主義への「市場原理主義」からの転換であり、あるいは1980年代の新自由主義(レーガノミクス、サッチャリズム)の広がりというわけです。
 元々、自民党の山田としお参議院議員がチャンネル桜の番組でご一緒させて頂いた際に、
「日本的な資本主義の形を考えるべきだと思います」
 と仰ったのが、「ジャパン・コンセンサス 」を書く契機になったのでございます。

 さて、韓国で興味深い動きが起きています。
 IMF管理以降の韓国において、「投資」により巨額利益を得た企業の一つに、アメリカのダラスに本拠を置く投資ファンド「ローンスター」があります。ローンスターは、2003年に破綻寸前の状況に陥っていた韓国のKEB(韓国外換銀行)を買収し、暴風雨のようなリストラクチャリングを強行することで、経営を黒字化しました。

 後にローンスターはKEBを売却し、実に4兆6千億ウォン(日本円で約3000億円)という、とてつもない利益を手中にしました。ところが、韓国政府はローンスターの巨額利益に腹を立てたのか、KEBを不当に低下価格で買収した容疑(?)、脱税、外貨密輸入の容疑などで、同社に対して家宅捜査を繰り返したのです。ローンスターの投資家たちは、韓国政府のやり方を「不当捜査」と受け止め、OINK(Only In Korea・豚の鳴き声の意味もある)という造語まで作り、激しく非難しました。本ブログ初期からのユーザーさんであれば、ご記憶のことかと存じます。

 そして、今年の5月22日。ローンスターはベルギーの韓国大使館に対し「協議を要請する」旨の文章を送付しました。ローンスターは文書において、KEBに対する投資資金の回収に関連し、韓国政府が「恣意的で差別的な措置を講じた」と指摘し、矛盾的な課税決定により損害を被ったと主張しているのです。

 なぜ、ローンスターはベルギーの韓国大使館に文書を送ったのか。まず、KEBに投資した主体は、ローンスターのベルギー子会社でした。さらに、韓国は2011年3月時点で、ベルギーとISD条項を含む投資保証協定を締結しています。すなわち、ローンスターは「韓国-ベルギー間」のISD条項を利用し、韓国における損害を取り戻そうとしているわけです。

 ISD提訴の前には、企業-相手国政府間で六か月間の協議が必要になります。ローンスターはベルギーで「協議」を開始することによって、六か月後に韓国政府をISDに提訴することを宣言したのも同然というわけです。

 早速始まったという感じですが、韓国はすでに米韓FTA(ISD含む)を発効させてしまいましたが、ローンスターの件のせいかどうかは分かりませんが、アメリカ側に「ISDの再協議」を要請しています。

『韓米FTAのISD条項 米国に控訴手続きの再交渉を要求へ・・・米国側は改正に消極的
http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2012060702018
韓国政府が韓米自由貿易協定(FTA)の批准過程で議論になった投資家対国家間の紛争解決条項(ISD)に関連し、今年4月、米政府が発表した両者投資協 定(BIT)の改正案を根拠に、米政府に改正を要求することを決定した。現行単審制のISDに抗訴の手続きを追加し、透明性強化のための両国間協議会を設 置して、周期的に開催する案などが主な内容となっている。政府は下半期にこのような内容で、李明博(イ・ミョンバク)大統領が昨年11月国会で約束した韓 米FTAのISD再交渉推進に入る方針だ。

 

政府当局者は6日、「米政府が今年4月に発表したBIT改正モデルの条項の中で、韓米FTAに適用可能な内容を検討している」とし、「透明 性強化や多者間抗訴手続きの設定などがBIT改正モデルの代表的な内容だが、米国自らが改善した部分であるだけに、我々が要求する上で大きな無理はないだ ろう」と話した。

 

これに先立って米貿易代表部(USTR)と国務省は、4月20日、今後米国が他の国と締結するBITおよびFTAのモデルになる「米 BIT2012モデル(US 2012 Model BIT)」を発表した。04年、ブッシュ政権が作ったモデルをオバマ政権が8年ぶりに見直したもので、透明性の向上や一般人の参加拡大、国営企業に対する 措置強化などの内容が盛り込まれている。このモデルには、△ISD関連当事国間の透明性強化のための協議会の周期的な開催、△新しい規定を作る時に公開お よび説明の義務付け、△現行単審制のISDに抗訴手続きの追加検討などが含まれる。

 

米政府が改正したBITモデルは、韓米FTAなど、既に締結された協定には遡及適用されない。しかし、「米BIT2012モデル」は米国自 らがISDの問題点を探して見直したものであるだけに、これをガイドラインにしてISD再交渉を求めた場合、米国としては受け入れられない名分がないとい うのが韓国政府の考えだ。しかし、米国側が韓米FTAの改正に消極的な姿勢を取っているため、韓国の考えどおり再交渉が行われるかどうかは未知数だ。(後略)』

 


 最大のポイントは、透明性強化等もそうですが、それ以上に「控訴手続き」の追加になると思います。何しろ、現行(米韓FTA)のISDには、控訴手続きの規定がありません。

 例えば、上の例を使えば、ローンスターが六か月後に韓国政府を世界銀行傘下(アメリカの影響力が強い)の投資紛争救済センターに提訴し、「密室裁判」が行われ、韓国政府が敗訴し、ローンスターの被った(と主張する)金額を賠償するべしという判定が出たとき、韓国政府側は唯々諾々と従うしかありません。何しろ、米韓FTAのISD協定では、韓国政府が控訴することができないのです。

 ISDにおける「密室裁判(透明性が確保されていない)」「控訴の手続きがない(裁判は一回勝負)」というのは、さすがにアメリカ側でも問題視されたのか、「米BIT2012モデル」で見直されたわけです。
 とはいえ、残念ながらアメリカの「BIT2012」は今年の4月に発効し、それ以前のISD協定には遡及的に適用されません。(米韓FTA発効は3月)
 
 グローバルに「資本」が世界を駆け巡り、ISDに代表されるように「政府の権限」までをも上回る力を持ってしまうというのが、グローバリズムの一面でした。そもそも、政府の権限を決めて良いのは、民主主義国においては有権者しかいません。ところが、現実のグローバリズムにおいては、投資家が「相手国政府を動かし」、自らの所得(配当金)を最大化するということが罷り通っていました。

 アメリカの「BIT2012」を見る限り、「さすがにまずいよなあ・・・」と考えている人が増えてきているように思えます。「次なる資本主義」を模索しているのは、別に日本に限らないのです。
 それにしても、韓国は運がなかったですね。本当に色々な意味で、この国は「グローバリズムの優等生」だと思います。

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