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『ワシントンコンセンサス(後編)③』
三橋貴明 AJER2012.3.20(3)
『ワシントンコンセンサス(後編)④』
三橋貴明 AJER2012.3.20(4)
チャンネルAJER更新しました!今回はワシントンコンセンサスという「怖い話」
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4月12日に、一般参加可能な講演会、「三師会特別講演会」 が開催されます。
【日時】平成24年4月12日(木)午後6時30分開場7時開演 【場所】サンパール荒川・大ホール 詳細は以下を。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/20120309-1.pdf
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室谷先生との対談本「韓国人がタブーにする韓国経済の真実 」がまたもや増刷になりました(第5刷です)。何というか、わたくしの本にしては珍しくロングセラーでございます。
さて、消費税の議論が煮詰まりつつあります。
が、根本的な疑問が一つあるのです。野田政権が奇跡的に国民新党を納得させ、消費税増税法案について閣議決定を行い、これまた奇跡的に衆議院を通せたとして、参議院はどうするのでしょうか。過半数のない参議院で、民主党が消費税増税法案を通すことはできませんし、衆院の三分の二も持っていません。
だからこそ、読売新聞などは自民党との「大連立! 大連立!」と煽りまくっているわけでしょうが、現時点で自民党が連立に応じる意味はありませんし、意義もありません。
それ以前に、予算や特例公債法はどうなっているのでしょうか。特例公債法を通さないと、8月以降の予算執行ができなくなりますが、それでいいのでしょうか。
何というか、最近の国会は「やるべきでないこと」に延々と時間をかけ、「やるべきこと」を全くしていない(あるいは、報道されていないだけなのでしょうか)ようで、存在の意味が分かりません。少なくとも、参議院を通過させる見込みが立っていない以上、消費税増税論議など時間の無駄以外の何物でもないように思えるのですが。不思議です。
とりあえず、上記の疑問は置いておいて、消費税。
『亀裂は深まるばかり 民主党「消費税」まとまらず
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220322011.html
消費税増税法案を巡って民主党内は大荒れです。執行部は増税の条件となる「景気条項」に経済状況の好転を加えましたが、反対派は「数値目標がない」とはねつけました。「再増税条項」では5年後をめどとしましたが、反対派は「完全削除」を要求するなど、ぶつかり合うこと6時間。亀裂は深まるばかりです。
反対派がここまで抵抗するのは、消費税増税法案の採決の時が勝負とみているからです。まず、閣議決定前に徹底抗戦して、執行部が無理やり押し切ったと印象づける狙いがあります。そして、政界再編もにらんで、法案の採決で反対する口実にしたいという思惑もあります。これに対して、執行部はさらに修正案を提示し、取りまとめにこぎつけようと必死です。最終的には年末と同じように野田総理大臣自らが登場して、反対派が反発している「さらなる増税」の条項を外し、理解を求めるという見方も出てきています。閣議決定は来週に先送りとなることが決定的となっていますが、執行部はまもなく議員会館で作戦会議を開き、どこまで譲歩できるのか最終的な調整を行うことにしています。』
消費税増税法案に関する「景気条項」に関し、まさしく「具体論」と「抽象論」の争いになってきました。なかなか、分かりやすくてよろしいのではないでしょうか。
執行部側は、反対派が求める景気条項について、「経済状況の好転」と、実に抽象的な言葉を加えることで譲歩を図りましたが、反対派が「数値目標を入れろ」と猛反発しています。無論、反対派の「具体的な数値」を求める姿勢の方が、真っ当です。
何しろ、経済状況の好転では、例えば「実質GDP1%成長」でもOKになってしまいます。その時、インフレ率がマイナス2%だった場合、名目GDPはマイナス1%となり、消費税増税は間違いなく税収を減らすことになります。
結局、橋本政権の時と同様に「消費税を増税した結果、税収が減った」という、極めてバカバカしい結果を招きかねないわけです。
そういう意味で、わたくしは自民党時代に通した「税制改正法付則104条」についても、以前から問題だと考えていました。理由は、文面が、
『②税制の抜本的な改革は、社会保障制度の安定した財源を確保するため、経済状況の好転後に段階的に行われるべきこと』
と、極めて曖昧で抽象的な表現になっているためです。
何でしょうね。ずばり「名目GDP5%成長」といった数値目標を入れると、政治的におさまりがつかなくなるといった理由があるのでしょうか。個人的には、今後の日本の問題を解決するには、全てを数字で考える必要があると考えています。そうしなければ、客観的な評価ができませんし、問題の共有も不可能です。
「友愛社会を作りましょう!」
といった抽象的な目標では、誰も共有できません。そもそも、定義すら不明なのですから。
今回の民主党の消費税反対派は、「数値目標で景気条項を」と主張しており、その点はかつての自民党よりも「前進」していると思います。自民党も、消費税増税議論をするならば、「科学的に」「統計的に」具体的な数値を公表するべきです。
ちなみに、わたくしが尊敬申し上げる自民党の議員のおひとりは、
「消費税を上げる際の景気条項は、名目GDP8%成長と定めるべし!」
と仰っています。よろしいのではないでしょうか。全く反対致しません、わたくしは。というか、むしろ積極的に賛成致しますよ。
さて、抽象的と言えば、この話。先日のチャンネル桜でも取り上げた、日中韓FTA。
【【歪んだ自由】新聞が賛美するTPPと日中韓投資協定[桜H24/3/23] 】
http://www.youtube.com/watch?v=v8jnWDhpZxk
『日中韓投資協定が実質合意 3カ国FTA交渉へ前進
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120322/fnc12032212280008-n1.htm
中国商務省は22日、日中韓投資協定の締結に向けた協議を19-21日に北京で開き、実質的な合意に達したと発表した。3カ国は国内手続きを進め、できるだけ早期に調印する。
実質合意により貿易、投資の自由化を目指す日中韓の自由貿易協定(FTA)の土台が大きく整備されたといえる。FTA交渉入りに向けた動きに弾みがつきそうだ。
日中関係筋によると、投資協定では投資家と締約国間の紛争処理手続きを拡充。知的財産権の保護などが盛り込まれている。
外国企業を国内と同等に扱う「内国民待遇」の条項が盛り込まれ、投資規制を強めてはならないことを義務付けたが、今以上の投資自由化は努力規定にとどまった。
中国は外国企業に対する投資規制が多く、日韓は大幅な自由化を求めたが、中国が難色を示したもよう。日中韓は、FTA交渉でも投資自由化を協議する見込み。』
桜でも使った紙面版の産経新聞には、日中韓投資協定の骨子というのが載っていまして、
・相互の知的財産権の保護
・国内外の企業を同等に扱う「内国民待遇」
・投資規制の強化を禁止
・過度な技術移転の要求を禁止
・投資家と締約国間の紛争処理手続きの拡充
と、本ブログユーザーさんであれば「ゾッとする」条件がずらりと並んでいます。
そもそも、中国は為替操作国です。中国共産党が人民元の為替レートを政治的に決めているような状況で、関税という「盾」をなくそうとする時点で異常極まりないと思うわけですが、そこに「投資」までもが加わるとなると、さらに危ない話になります。
ちなみに、日本と中国はすでに1989年段階で日中投資協定を結んでいますが、これは単に「日本企業が中国に投資できるようにしましょう」という話で、中国側は様々な条件を付けています。例えば、一部の産業について中国側が51%の株式を握らない限り、投資を認めないなどの外資規制が残っています。ちなみに、現時点で、中国は外資規制をFTAの対象外としています(意味ないじゃん!という話です)。
それ以前に、
「相互の知的財産権の保護と言っても、共産党政府が守ると口では言っても、中国人民が守らないだろ・・・」
「内国民待遇と言っても、中国側は投資前の企業には認めないと言っている以上、意味がないだろ。そもそも、『違うルール』で動いている中国企業を、日本で内国民待遇するのか?」
「投資規制の強化を禁止ということは、『水源や防衛上の拠点に対する外国企業の投資を禁じる』といった法律を作ることもできなくなるのか?」
「過度な技術移転の要求の禁止というが、『過度』な技術移転か否かを誰が判断するのか? 中国共産党政府が決めるのか?」
などなど、様々な疑問が浮かんでこざるを得ません。
最後の骨子はISDのことでしょうが、中国と投資協定を拡大するのであれば、ISDは必須だと思います。保険として。とはいえ、中国共産党政府がISDの判断に素直に従うとは到底思えませんが。
いずれにせよ、上記日中韓FTA関連については、様々な疑問というか「不審」が浮かんでこざるを得ません。しかも、気持ちが悪いことに上記の日中韓投資協定は、日本の外務省のホームページにほとんど情報が載っていないのです。
外務省のホームページに掲載されているのは、
『1.3月21日(水曜日),中国の北京で開催された日中韓投資協定に係る予備会合において,実質的に同協定の交渉が妥結しました。
2.本交渉の妥結は,日中韓FTAの議論に弾みを与えるものであり,日中韓三か国は,日中韓投資協定の早期の署名を目指し,作業を進めることで一致しました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/24/3/0322_01.html
』
これだけです。
だからこそ、産経新聞のソースが「中国商務省」になっているのでしょう。
TPPでも分かりますが、最近の外務省は、ちっとも「国益」というものを意識しているように思えませんので、不信感を持たざるを得ません。結果的に、外務省は国益を普通に意識している「外国」に譲歩を重ねさせられ、日本の国益を損ねていっています。
結局のところ、戦後の冷戦期に日本国民が「国益」を考えなくなっていった結果、政治家や官僚までもがそれに倣うようになったというのが、現在の日本の姿なのだと思います。官僚や政治家を変えるには、まずは国民が変わらなければなりません。
ちなみに、「コレキヨの恋文
」の主人公の一人である霧島さくら子は、当初は「国益」「国民経済」「国家」について、ほとんど真面目に考えたことはありませんでした。その彼女が、ある事情から日本の内閣総理大臣になり、さらに高橋是清に出会い、「国民経済」や「日本国家の意味」について学んでいく。
本作品は、霧島さくら子の成長物語でもあるのです。
というわけで、「環境に応じて、政策を変える」を実行に移した、稀代の実践主義者である高橋是清を主人公(の一人)とした「コレキヨの恋文
」。いよいよ明日、小学館から発売になります。
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