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三橋貴明の新刊、続々登場!

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チャンネルAJER更新しました。

『2極化する世界(前編)①』三橋貴明  AJER2012.1.10(3)
『2極化する世界(前編)②』三橋貴明  AJER2012.1.10(4)

今年から月二回の更新になります。

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 李白社から新刊「大恐慌情報の虚(ウソ)と実(マコト)」早くも増刷が決まりました
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 再び、講演と対談と収録の毎日が始まります(30日まで)。一月は新春講演が重なるため、毎年と言えば毎年なのですが。


 さて、昨日の「政府と企業と国民と(前編) 」の続きです。できれば昨日のエントリーに目を通してから、本日分を読み進めて頂ければ幸いです。


 昨日は「医療産業とアメリカ政府」の話を取り上げましたが、本来、政府とは国民の主権を預かった政治家の集まりです。そのため、政治家が「国民本位」な政治をしていれば、いわゆるショック・ドクトリン系の政策や新自由主義的政策はやりづらい「はず」なのです。


 実は、新自由主義にとって最も手ごわい難敵は、民主主義だったりします。今回のTPPがいい例ですが、情報が国民に伝わるに連れ、「民主主義」に基づく反対運動が盛り上がりました。各地の国民が地元の政治家に声を出すというのは、これはもう、民主主義の主権者として当然の行動です。


「お前らは俺たちの代表だろ。だったら、『俺たちのために』動け」
 上記のように書くと、一見、理不尽で我がままのように思えますが、主権者たる国民が理不尽でも、我がままでもなければ、「国民に都合が悪い」政策が実行される可能性が高まってしまいます。だからと言って、各主権者の要望を全て聞いていたら、政策の整合性などとれっこありませんので、そこが政治の難しいところです。


 わたくしが散々に、
成長こそが、全ての解です
 と繰り返しているのは、現在の日本にとって名目GDPの成長こそが国民の「多く」の所得を伸ばし、失業率を下げ、財政を健全化し、社会保障を維持し、自然災害や外敵から国民を守るほとんど唯一の道だと考えているためです(将来もそうだとは限りませんが)。とはいえ、日本の名目GDPが堅調に成長していったとしても、そこから取り残される国民はいるわけです。


 取り残された国民のためにセーフティネットを整備するのは当然ですが、いずれにしても政策とは「不公平」なのです。そもそも政策とは限りあるリソースを「どこに投じるか」という問題なので、リソースが振り向けられなかったところは不公平感を必ず抱くでしょうし、実際に不公平です。それでも、
「その政策をやることで、いずれは国民全員の所得が上昇し、みんな潤うはずですから
 と、国民とコミュニケーションをとり、当初はリソース配分から取り残される国民を説得するのも、政治家の一つというわけです。


 話がそれましたが、そもそも政府と企業と国民は、不可分の関係にありました(昔は)。国民は企業で働き、政治家を選定し、政府は国民の要望に従い企業活動のルールを定め(いわゆる規制)、公的サービスを提供し、企業は国民経済のために付加価値を稼ぎ出し、雇用を生み出すという相互依存関係だったわけです(大雑把に書くと)。ところが、グローバル化の進展で資本移動の自由化が進み、上記の相互依存関係が成り立たなくなっているというのが、現代世界の問題なのだと思います。
 
 相互依存関係が無くなると、企業が国民のためではなく投資家や経営者のために動く「確率が高まり」ます。すなわち、社会制度システムを「国民のため」ではなく、「自社のため」に変えようとしてしまうのです。そして、社会システムを変えることができるのは、法律を制定する政治家しかいませんので、企業と政府の結びつきは強まらざるを得ません。


 結果的に何が起きるかと言えば、実はこれが一番問題だと思っているのですが、「国民の需要を満たすための力の低下」すなわち、競争力が低下するという問題が発生します。社会制度システムとは需要の一部ですが、それを「自社に合わせて変えさせる」ことを繰り返していては、そうではない企業(社会制度システムに自社の供給を合わせようとする)と比べて、競争力は落ちざるを得ないわけです。


 というわけで、以下の記事です。


日本の「軽」規格廃止を…TPPで米自動車3社
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120114-OYT1T00672.htm
 米通商代表部(USTR)は13日、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に日本が参加することに対する意見公募を締め切った。
 米自動車大手3社(ビッグスリー)で組織する米自動車政策会議(AAPC)は、日本の自動車市場の閉鎖性を理由に「現時点では反対」と表明し、参入障壁となっている軽自動車規格については、「廃止すべきだ」と主張した。
 今年秋の大統領選を控え、大きな雇用を生んでいるビッグスリーの政治に対する影響力は大きい。月内にも始まるとみられる日米の事前協議で自動車分野は大きな焦点で、交渉は難航が予想される。
 AAPCは、日本独自の軽自動車規格について、「市場の30%を占めているが、もはや合理的な政策ではない」と批判した。日本の技術基準や、認証制度などの規制も参入の障害になっており、透明性が必要としている。1990年代後半からの日本政府の円安誘導政策も、米国車に不利になっていると指摘した。』


 ドイツ車がこれだけ氾濫している日本の自動車市場を「閉鎖的」とは、これいかに。しかも、大型車しか作っていないアメリカ自動車メーカにとって、軽自動車規格が参入障壁とは恐れ入ります。


 要するに、
「軽自動車が日本で流行しているから、大型中心のアメリカ車が売れないんだ。軽自動車規格は参入障壁だ!」
 と言いたいのかも知れませんが、日本で軽自動車が増えているのは、単にそれが国民のニーズをとらえているためです。こんなに狭い入り乱れた道路網を持つ国で、軽自動車が流行しないはずがないでしょうに。


 アメリカ車が日本で売れていないのは、単に日本国民のニーズを満たしていないためです。そもそも、アメリカは乗用車に関税をかけていますが(2.5%)、日本はゼロなのです。日本の政治家は、むしろ、
「アメリカは乗用車に2.5%の関税をかけている。こちらはゼロだ! 閉鎖的なアメリカ自動車市場を開放しろ!」
 というべきなのです。


 さらに、技術基準や認証制度に至っても、欧州のメーカは普通にクリアしている問題です。さらにさらに、これだけ円高が進行している最中に、「90年代後半からの日本政府の円安誘導政策」に至っては、お笑い種以外に表現のしようがありません。


 要するに、アメリカのビッグスリーが日本を攻略できる製品を開発できないからこそ、
アメリカ政府を通じ、日本政府を動かし、自社のために社会システムを変えさせる
 という、70年代以降のアメリカ企業の悪い癖を、未だにそのままやっているという事になります。


 あえて断言しますが、ビッグスリーが凋落し、GMとクライスラーが一度破綻したのは、↑こんなことばかりやっていたためです。企業の本分は「市場のニーズを満たす」ことであるにも関わらず、「政府を使い、市場ニーズを自社に合わせさせる」ことばかりやっていては、企業の競争力が落ちて当然だと思います。


 最近は日本の一部の企業も、「政府を使い、市場ニーズを自社に合わせさせる」に傾注する傾向があり、大変、危惧しています。代表的なのは、この方。


『「こんなやつに話させるな!」 自民党大会で経団連会長にヤジ
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120122/stt12012220180008-n1.htm
 22日の自民党大会で、来賓として登壇した経団連の米倉弘昌会長に対して場内から激しいヤジが飛び、騒然となる一幕があった。
 米倉氏はあいさつで、持論の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や経済連携協定(EPA)の意義について語り、「自民党としても、ぜひともTPPの推進にご尽力いただきたい」と呼びかけた。これに反TPP派の議員数人が激怒。「駄目だ!」「こんなやつに話をさせるな!」とヤジを浴びせかけた。(後略)』


 米倉氏が会長を務める住友化学工業は、アメリカのTPP推進企業モンサントの提携企業です。とはいえ、日本の社会制度が現状のままでは、モンサントと組んだこともそれほど自社の利益には結びつかないかも知れませんもんねえ・・・


 現在の世界は、パラダイムシフトの時期を迎えています。今後の世界がどのようなものになるのかは現時点では分かりませんが、世界中の全ての企業が「政府を使い、市場ニーズを自社に合わせさせる」ことに熱中するような世界は、個人的には願い下げです。理由は、市場ニーズを満たすための努力を忘れた企業はビッグスリーのように凋落する可能性が高く、最終的には「国民の需要を満たす」能力そのものを失いかねないと危惧しているためでございます。


本日のエントリーで「政治」「経済」「企業」「民主主義」について改めて考えて頂けた方は

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