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ユーロ圏が大変なことになっています。
『欧州債:ギリシャとポルトガル国債利回り、最高更新-デフォルト懸念
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=aKM0vTJveOTA
欧州債市場ではギリシャとアイルランド、ポルトガルの国債利回りがいずれも過去最高を更新した。これらの高債務国が債務再編を回避できないとの観測が高まったことが背景にある。
アイルランド2年債利回りはユーロ導入以後の最高となる12.08%に達した。欧州連合(EU)がこの日、アイルランドの昨年の債務がユーロ圏加盟国で最も膨らんだと発表したことがきっかけ。ギリシャ2年債利回りは月初来でほぼ870ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)近く上げ、この日は24.45%となった。ギリシャが債務再編する際にはヘアカット(債務減免)を免れないとの見方が織り込まれつつある。ドイツ政府の経済諮問委員会(5賢人委員会)のメンバー、ラルス・フェルト氏は、ギリシャの債務再編は避けられないだろうとの見解を示した。(後略) 』
PIGS諸国及びドイツの長期金利の推移を、グラフ化しました。11年4月は、4月26日の数字です。
出典:ユーロスタット
ギリシャの長期金利は15.33%、アイルランドが12.09%、ポルトガルが9.6%。
今回の危機深刻化が厄介なのは、三カ国の長期金利が上昇した理由がそれぞれ異なるという点です。ギリシャ、アイルランド、ポルトガルは、それぞれ別の理由から長期金利が上昇していっているのです。
まずはギリシャですが、同国の債務再編(しつこいですが、デフォルトと言え!デフォルトと!)はどうやら避けられない、という認識が金融市場に広まりつつあります。とはいえ、ECB(欧州中央銀行)がギリシャのデフォルトに否定的(そりゃあ、そうです)ので、この後、どうなるのか、先行きが全く読めません。
ちなみに、日本は政府の負債は確かにでかいのですが、何しろ長期金利が世界最低であるため、政府の利払い対GDP比は主要国で最低水準(約1.3%)です。しかも、その95%超が国内に支払われるため、一部は税金として政府に戻ってきます(普通は)。さらに、残りの支払い金利にしても、国内経済のフロー(GDP)に使われるわけです。(一部、貯蓄にもいっちゃいますが・・・)
ところが、ギリシャの場合は政府の負債が大きいのに加え、金利が急騰していますので、政府の利払い対GDP比rが9%に達しようとしています。日本で言うと、45兆円の利払いが「外国に対し」必要ということになります。
これでは、債務再編したところで、もつとは思えません。
次に、アイルランドですが、記事中にもありますように、欧州委員会が、
「アイルランドの昨年の債務がユーロ圏加盟国で最も膨らんだ」
と発表し、危機感が一気に広まりました。
同国の危機は、何しろ「不動産バブル崩壊」による銀行危機が発端です。しかも、アイルランドの銀行は外国からユーロを借り、国内の不動産プロジェクトに融資をしてきました。バブルが崩壊した以上、アイルランド政府は自国の銀行の対外負債返済を支援しなければならないわけですが、何しろ規模がでかすぎるため、追加的な支援を次々に投じなければなりません。
アイルランドの財政が改善するには、不動産価格が底打ちし、反転しなければなりません。それがどれほど難しいか、わたくしたち日本人はよく知っているわけです。
さらにポルトガルですが、こちらはそもそもEU(欧州連合)の支援自体が危うくなっています。何しろ、散々書きましたが、ポルトガル議会は支援の前提となる緊縮財政を否決してしまい、ソクラテス首相が辞任。現在は6月の総選挙に向けた暫定政権を率いている有様なのです。
ポルトガルへの支援、厳密に言うと「緊縮財政を拒否するポルトガルへの支援」については、特にフィンランドが難色を示しています。そして、EUがポルトガルを支援するには、欧州委員会の全会一致の承認が必要になるのです。すなわち、フィンランドが支援を拒否すると、支援自体が行われなくなってしまうわけですね。
欧州委員会のレーン委員は、ポルトガルの支援について、「フィンランドが参加しない場合、EUは代替策を用意しない」と語りました。
すなわち、フィンランドが支援に参加しない場合は、「次はない」ということです。「次がない」と言われましても、ポルトガルは6月までに数兆円の国債の借り換えをしなければなりません。今のところ全く目処が立っていないどころか、金利が急騰している有様ですから、普通にデフォルトでしょう。
ユーロの危機は出口がないというよりも、いよいよ「奈落の底」目掛けて転げ落ちていく印象を覚えました。個人的には、ギリシャ、アイルランド、ポルトガルの三カ国を離脱させない限り、ユーロ・システム自体が長く存続することはできないと考えています。
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