三橋貴明事務所。 お仕事のご依頼はこちらから 

Twitter始めました。

人気ブログランキングに参加しています。
新世紀のビッグブラザーへ blog
人気ブログランキングへ

--------------


三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

11月29日発売予定 【今、世界経済で何が起こっているのか? 】 予約開始!


 またまた、昨日のUU数(ユニークユーザ数)、4万5千人に近づきましたっ! 旗日明けということもあるのでしょうが、ご訪問ありがとうございます。


 IMF及びEUに緊急支援を要請したアイルランドの交渉が、大詰めを迎えつつあります。何の交渉かといえば、もちろん「緊縮財政のコミットメント」になります。


アイルランド4カ年計画:歳出20%削減や増税盛り込む
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aMSEHBJsY7ww
 アイルランド政府は、向こう4年間で歳出を約20%減らし、増税を実施する方針を明らかにした。欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による救済をめぐる交渉は大詰めを迎えている。
 アイルランドは福祉予算を28億ユーロ(約3120億円)削減し、19億ユーロ相当の所得税増税を実施する。これらを含めた措置により、財政赤字を2014年末までに国内総生産(GDP)の3%に圧縮する計画だ。今年の財政赤字は同12%、銀行救済コストを含めたベースでは32%と見込まれている。
 カウエン首相はEUとIMFからの支援について詳細を詰めつつある。支援の規模は850億ユーロ(約9兆5000億円)前後と見込まれている。
 ブロクサム・ストックブローカーズ(ダブリン)のチーフエコノミスト、アラン・マッケード氏は「この計画は遂行しなければならない。少なくとも、今後進もうとしているロードマップ(工程表)のようなものを示す必要がある」と指摘した。
 政府は24日に発表した報告書で、「払える層に最も多く払ってもらうが、聖域は設けない」とし、「これらの措置を先送りすれば、将来それを負う人々に重い負担を残すことになる」と説明した。 (後略)』


 予め「大前提」を頭に入れておいて欲しいのですが、問題になっているアイルランドの負債(政府、民間)は対外負債です。
 対外負債の返済不能に陥った場合、記事中にもあり、朝日新聞が大好きな、
「これらの措置を先送りすれば、将来それを負う人々に重い負担を残すことになる」
 が正しいことになります。


 何しろ、現在のアイルランド国民が対外負債の返済を先送りすると、「将来のアイルランド国民」が外国人に返済しなければならないのです。


 とはいえ、日本の場合は違います。

 将来、例えばインフレ率高騰もしくは経済のバブル化が進み、政府が国債を償還しようとしたとき(この場合は全く適切なソリューション)、返済してもらうのは日本の金融機関なのです。返済してもらった日本の金融機関は、そのお金を国内の民間投資に回すでしょう。
 インフレ率高騰、もしくはバブル化が進んでいる場合、金融機関の投資先には事欠かないでしょうから、別に国債何ぞで低利回りな運用をする必要はないわけです。また、インフレ率が高まっている、すなわち「需要>供給」の状況で、政府までもが支出(=需要)を増やすと、状況が悪化します。インフレ期には、政府は「小さな政府」を目指し、余った税収で「国家のバランスシート」を縮小させる(国債の償還)のが正しいわけです。


 延々と経常収支の黒字(=貯蓄過剰)が続き、世界最大の対外純資産国(要は金持ち)の日本の場合、国債発行残高は、単なる需要と物価と金利の調整弁に過ぎません。しかし、アイルランドは違います。


 ちなみに、混乱している方が多いので整理しておきますが、対外負債(外貨建て)には「政府の対外負債」と「民間の対外負債」があります。どちらの対外負債でも、デフォルト(債務不履行)になると大問題です。IMF様がやってきます。 

 なぜ「民間の対外負債のデフォルト(韓国、アイスランドがそうでした)」でIMFなのかといえば、民間がデフォルトするほど「政府に対応能力がない」ということになってしまうためです。


 単純化して話しますと、国内銀行が対外負債(外貨建て)のデフォルトに陥りそうになった場合、例えば政府が国債で外貨を調達し、支援することなどができるわけです。あるいは通貨が暴落し、外貨建て債務の実質的な負担が巨額化しようとした際には、政府が外貨準備で自国通貨を下支えすれば問題ないのです。
 とはいえ、政府の対応能力やGDPに比して対外負債があまりにも巨額になると(韓国、アイスランド、アイルランドがそうでした)、結局のところ「国家」としてどうにもならない状況に追い込まれてしまいます。


 というわけで、別に政府がデフォルトしなくても、民間が対外負債(外貨建て)のデフォルトに追い込まれれば、IMF緊急支援に突っ込まざるを得ないのです。まあ、アイルランドの場合は「ユーロ建て」の対外負債ですが。


 上記の話は、世界最大の対外純資産国である日本にとって「最も縁遠い話」ということになります。未だに「日本がIMF管理に~」とか頭の悪いことを言っている人がいますが、あれは何なんでしょう? 確信犯? それとも本当に頭が悪いだけなのでしょうか?



 さて、アイルランドは「対外負債の問題」により、IMFやEUのお世話になることになりました。結果、ガチガチの緊縮財政により、国民からユーロを搾り取り、対外負債の返済に充当させられようとしています。


 問題は二つあります。
 一つ目は、アイルランドがユーロにとどまる限り、かつての韓国などが享受した「為替下落ボーナス」による輸出競争力向上がありえないこと。輸出競争力が回復しなければ、経常収支は赤字のままで、
「国民から搾り取っても、搾り取っても、対外純負債が増えていく」
 という、厳しい状況に陥ります。


 二つ目は、そもそも98年当時とは違い、現在の世界では「外需」が順調に拡大しているわけでも何でもないこと。肝心要のアメリカがあの有様ですから、アイルランドの景気回復は98年の韓国よりは不利です。


 改めて言うまでもありませんが、バブル崩壊後のデフレ環境下で、緊縮財政をして経済成長するはずがありません。ちなみに、アイルランド政府は向こう四年間の経済成長率について平均2.7%と見通していますが、正直、夢物語でしょう。何しろ、緊縮財政の中には付加価値税(消費税みたいなもの)のアップも盛り込まれているのです。


 付加価値税で個人消費を冷やし、バブル崩壊で民間住宅が凍りつき、政府支出を削減し、さらにユーロ加盟国で通貨安ボーナスもないため純輸出も拡大しない。一体、何の支出項目(GDPの)で成長するんだという話になります。
 
 国民の未来のためにも、アイルランドは現時点でユーロを離脱するべきです。
 このままユーロに加盟し続けることこそが、アイルランドにとっては、
「将来それを負う人々に重い負担を残すことになる」
 そのままだと思うのです。



本ブログで「世界が見えてくる」とご評価頂ける方は、

このリンクをクリックを。
新世紀のビッグブラザーへ blog
人気ブログランキングへ


◇本ブログへのリンクは↓以下のバナーをご利用ください。

新世紀のビッグブラザーへ blog

【日本GAP協会 公式解説書 シリーズ1】農場管理を“見える化”し、食の安全を確保するJGAP
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

◇本ブログに頻繁に登場する浅川芳裕先生のご依頼で、JGAPの書籍をご紹介させて頂きます。


三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
◇ポルパパのブログ
投資と車と日々の起業家日記
管理人:ポルパパさん

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
◇おじさんの談話室
経済通のおじさんと、女子高生真理ちゃんが織り成す、経済を解りやすく掘り下げた基礎講座!
 


日本経済復活の会
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
積極財政による日本経済復活を目指して活動をしているボランティアグループです。


10/10/304万2246票-参院選に自民党から立候補-無謀な戦いの全記録 】 発売開始です!

10/06/21 「経済ニュースが10倍よくわかる「新」日本経済入門
(アスコム)発売開始!
10/06/18 
いつまでも経済がわからない日本人 「借金大国」というウソに騙されるな」
(徳間書店)発売開始
10/06/10 
「日本の未来、ほんとうは明るい!」
(WACC)発売開始!
10/06/08 
「日本のグランドデザイン」 (講談社)発売開始!


Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
連載中
「三橋貴明の<ウラ読み>経済レポート」 
本メルマガではセミナー、勉強会のご案内など、メルマガならではの情報発信をしていきます!

 
新世紀のビッグブラザーへ ホームページはこちらです。
 新世紀のビッグブラザーへblog一覧はこちらです。