三橋貴明事務所。 お仕事のご依頼はこちらから 

Twitter始めました。

人気ブログランキングに参加しています。
新世紀のビッグブラザーへ blog
人気ブログランキングへ

--------------


三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

11月29日発売予定 【今、世界経済で何が起こっているのか? 】 予約開始!


 本日20:00から放映されるチャンネル桜「日本よ、今...「闘論!倒論!討論!2010」 」に出演しています。

『路の会』スペシャル・どうする!?日本の独立
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1559
パネリスト:
 北村良和(愛知教育大学名誉教授)
 新保祐司(文芸評論家・都留文科大学教授)
 田中英道(東北大学名誉教授・国際教養大学特任教授)
 西尾幹二(評論家)
 樋泉克夫(愛知県立大学教授)
 三橋貴明(経済評論家・作家)
 山口洋一(元駐ミャンマー大使・NPOアジア母子福祉協会理事長・日本戦略研究フォーラム政策提言委員)
司会:水島総

 「日本の独立」がテーマでしたので、「数値データ」「経済」「グラフ」など、いつも使用しているツールを「使って」、散々、日本の独立について語っています(笑)。それにしても、西尾先生の情報通ぶりには驚きました(ご無礼を m(_ _)m)。何となく、2ちゃんねらーっぽい空気を感じたのですが、まさかね・・・。


 さて、本ブログでシリーズ化していました「アイルランド危機」が、最終局面を通り越して、緊急融資直前に至っています。


アイルランドは早期に融資利用も、EU・IMFと合意後-国防相
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aMeqWQ2XG8_s
 アイルランドのキリーン国防相は、同国が欧州連合(EU)および国際通貨基金(IMF)との間で支援について合意した場合、早期に融資の一部が実行される可能性があると述べた。
 アイルランドのRTEラジオの番組で、同国に与えられた選択肢は一つしかないと語り、合意の「可能性は非常に高い」と述べた。 』


 このキリーン国防相の発言なんて、完全な「織り込み」でございます。金融市場に予め緊急支援を織り込ませた上で、アイルランド政府がIMF及びEUに融資要請をするわけです。


 本ブログを継続的にお読み頂いている方であれば、ご承知かとは存じますが、ギリシャとアイルランドの破綻(=IMFへの緊急支援要請)のプロセスは、まったく違います。とはいえ、根っこのところに歪んだシステムである「共通通貨ユーロ」が横たわっている部分は同じなのですが。
 
【改訂版 欧州諸国 財政収支対GDP比率(2000年-2009年)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_31.html#Kaitei


 以下のエントリーは、上記のグラフを眺めながらお読みください。
 
 ギリシャは、そもそもユーロ加盟前から恒常的な経常収支赤字国で、国内が貯蓄不足でした。結果、ギリシャ政府は海外からの資金調達(海外への国債発行)に依存せざるをえなかったわけですが、問題なのは、同国で公務員数が多すぎ(労働人口の約四分の一)、さらに公務員組合を含めた労組の力が大きすぎ、政府は一切、緊縮財政路線を採れなかったということです。


 結果、民間の二倍水準に達した公務員給与の削減はできず、現役給与の九割超というバカバカしい年金にも手がつけられず、国内では供給不足及び通貨安を原因としたインフレが進んでいました。(だいたい10%弱くらい) 要するに、ギリシャ人は国内の供給能力(これこそが「国民経済」!)と比べて分不相応な消費や投資に走り、物価高と貿易赤字、通貨安、それに対外負債を中心とした財政赤字を引き起こしていたわけです。


 ところが、ユーロに加盟することで、ギリシャ人は、
通貨安や物価高を気にすることなく、分不相応な消費や投資、そして貿易赤字(=対外負債)を楽しめる」
 状況になったのです。


 ユーロ加盟後、ギリシャのインフレ率はほぼ三分の一になりました。まさしくユーロ様様ですな。
 とはいえ、元々延々と経常収支の赤字(=国内の貯蓄不足)を続けている国で、かつユーロ加盟で「甘やかされ」、益々政府は公務員給与や年金に手をつけられなくなったため、ギリシャの財政状況は悪化していました。というわけで、アイルランドなどとは異なり、ギリシャの財政赤字は常にマーストリヒト条約ライン(対GDP比で3%)を上回る状況が続いたのです。


 もっとも、投資先に悩むユーロの先進諸国(仏独など)も、為替リスクなしで投資できる国(ギリシャ)があることは、実に都合が良かったわけですね。サブプライム・バブルが崩壊するまでは。


 バブル崩壊後、ギリシャの財政は一気に悪化し、09年の財政赤字の対GDP比率は15%を上回りました。


 まさしく自業自得で破綻に突っ走ったギリシャと比べ、アイルランドは「やや不幸」です(まあ、自業自得には変わりはありません)。
 90年代は経常収支の黒字を続けていた「輸出国」アイルランドですが、ユーロ加盟後にいきなり経常収支赤字を続けるようになりました。


【アイルランドの経常収支対GDP比率の推移】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_31.html#Ireland


 ギリシャ同様に、ユーロに加盟したことで為替レートを気にせず輸入が可能となり、結局、自国の供給能力を高めるのではなく、海外諸国への貿易赤字(=対外負債)を積み重ねる道を選んでしまったわけです。
 アイルランドの財政収支対GDP比率は、03年から07年にかけプラス化しています。すなわちこの時期のアイルランドは「財政黒字」だったわけです。


 この時期のアイルランドの財政黒字は、もちろん「不動産バブル」しかも「海外マネー依存の不動産バブル」に起因しています。バブルとは、資産価格の高騰というよりも、「債の急激な拡大」とです。民間が負債を急速に膨らませ、不動産などを購入し、資産価格を押し上げているわけです(結果、更なる資産価格上昇を目指し、負債に基づくマネーが流れ込む)。


 民間が負債を増やしまくっている以上、政府は国債を発行する必要などありません。景気も良く、税収も増えるため、政府の財政は黒字化するのです。(お~いっ、財務省の人~。読んでますか~っ??)


 とはいえ、あくまで不動産バブルは、不動産バブル。  
 欧州で最も早く(07年)不動産バブルが崩壊し始めたアイルランドでは、銀行が不良債権問題で危機に陥りました。そこで、政府は資金注入や債務保証に乗り出すのですが、何しろアイルランドにバブルを引き起こしていたのは「海外マネー」です。アイルランドの身の丈、すなわち経済規模と比べて極端に大きな政府資金が必要となり、政府の財政赤字は一気に悪化しました。


 特に、アイルランドの場合、金融市場の圧力で「緊縮財政」を強行し、それがGDP成長率のマイナス幅を拡大し、財政赤字対GDP比率が悪化すると言うバカバカしい目(しかし、ある意味で当然)にも会っています。


 現在のアイルランドでは、「多くの国民が一生のうちに債務を返済できない」という、日本人ならゾッとする(アイルランド人でもゾッとするでしょうが)状況に陥っています。「対外負債」に依存した経済拡大を続けた結果、負債残高が身の丈をはるかに超える水準にまで高まってしまっているわけです。
 
 ギリシャにしても、アイルランドにしても、経済を立て直すにはユーロから離脱し、一度、デフォルト(そしてIMF管理)しなければなりません。(加えて、ギリシャは公務員給与カットや年金削減など、抜本的な構造を変えなければなりませんが)


 ユーロを離脱しない場合、両国は「為替ボーナスを受けられない」状況で、「自国では発行できない通貨ユーロ」を国民から搾り取り、対外負債返済に充て続けなければなりません。「国民からユーロを搾り取る」ことを続ける限り、経済成長路線に戻ることは困難です。


 八方塞になりつつある両国、ギリシャとアイルランドという二つの国家は、ユーロという社会実験の犠牲者なのでしょうか。それとも、国家の主権者たる国民が自らユーロ加盟という道を選択した以上、「自業自得」なのでしょうか。


 そもそも「国家」とは何なのでしょうか。

 

本ブログで「世界が見えてくる」とご評価頂いた方は、
このリンクをクリックを。
新世紀のビッグブラザーへ blog
人気ブログランキングへ


※人気ブログランキング「政治部門」首位独走中です!応援ありがとうございます!

※本ブログへのリンクは↓以下のバナーをご利用ください。

新世紀のビッグブラザーへ blog
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
◇ポルパパのブログ
投資と車と日々の起業家日記
管理人:ポルパパさん

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
◇おじさんの談話室
経済通のおじさんと、女子高生真理ちゃんが織り成す、経済を解りやすく掘り下げた基礎講座!


日本経済復活の会
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
積極財政による日本経済復活を目指して活動をしているボランティアグループです。


10/10/304万2246票-参院選に自民党から立候補-無謀な戦いの全記録 】 発売開始です!

10/06/21 「経済ニュースが10倍よくわかる「新」日本経済入門
(アスコム)発売開始!
10/06/18 
いつまでも経済がわからない日本人 「借金大国」というウソに騙されるな」
(徳間書店)発売開始
10/06/10 
「日本の未来、ほんとうは明るい!」
(WACC)発売開始!
10/06/08 
「日本のグランドデザイン」 (講談社)発売開始!


Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
連載中
「三橋貴明の<ウラ読み>経済レポート」 
本メルマガではセミナー、勉強会のご案内など、メルマガならではの情報発信をしていきます!

 
新世紀のビッグブラザーへ ホームページはこちらです。
 新世紀のビッグブラザーへblog一覧はこちらです。