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 昨日、一時的に人気ブログランキングの「政治部門」において首位を奪還していたようですね。ありがとうございます!

 また、抜き返されてしまいましたが、個人的にはこの種の抜きつ抜かれつな状況が好みだったりします。

 先日のエントリー「アメリカ経済の真の問題 で、アメリカ国債について、
「もしかしたら、リーマンショック後のように2%台に突入するかもしれません。」
 と書いたら、余裕で突入してしまいました。(と言うか、三週間前に既に一度、2%台に突入していたんですね。失礼致しました)


米国債:2年債利回り低下、過去4日で3回目の過去最低
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aIYCEozrw5ek
 米国債市場では2年債利回りが過去最低を付けた。過去最低を更新するのはここ4営業日で3回目。6月の住宅着工件数が昨年10月以来の低水準に落ち込み、景気拡大ペース鈍化の兆候が強まったことが背景にある。
 10年債利回りは一時、約3週間ぶりの水準に低下。前日に発表された米住宅建設業者の景況感を示す7月の米住宅市場指数は、15カ月ぶり低水準となった。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は21日と22日に、米議会で半期金融政策報告を行う。
 ソシエテ・ジェネラルの米国債トレーダー、ショーン・マーフィー氏は、「景気の動きをこれまで左右している要因の中で、不動産市場は重要な部分を占める」と指摘。「バーナンキ議長は均衡の取れた姿勢を取る必要があり、経済は急降下してはいないとの認識を示す可能性が高い」と述べた。

 BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時間午後4時49分現在、10年債利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.95%。一時は2.89%と、7月1日以来の低水準を付けた。
(中略)
 10年債利回りは、4月5日に付けた年初来最高の4.01%から1ポイント余り下げている。世界的な景気減速の兆候の強まりを背景に、安全とされる米国債の需要が高まっていることが背景。
 モルガン・キーガンの債券セールス・トレーディング・調査責任者、ケビン・ギディス氏は、「景気の拡大ペースは非常にゆっくりとしており、多くの下支えを必要としている」と指摘した。
 6月の米住宅着工件数は昨年10月以来の低水準に落ち込んだ。政府が講じた住宅購入者向けの税控除終了に伴う住宅販売の減少が影響した。6月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換算)は前月比5%減の54万9000戸だった。(後略)』


 結局のところ何が問題化と言えば、もちろん住宅です。

 アメリカ人にとって住宅とは「流動資産」ですから、日本と比べると住宅の低迷の影響は大きくなってしまいます。住宅の過剰は当然、住宅価格の低迷をもたらし、消費の低迷に結びつきます。
 そもそも、現在のアメリカの家計は過剰負債を返済する「バランスシート
不況」状態に落ちっていますが、住宅の過剰在庫はこれを促進する働きをしてしまいます。


 これまでにも何度か書きましたが、アメリカ政府は、今年の3月末まで初回住宅購入者に対し8000ドルを税額控除する住宅購入支援策を実施していました。2月や3月などは、この対策を目指した「駆け込み需要」が発生し、住宅市場を下支えしていたのですが、その反動が出てきているわけです。これが単なる反動減に終わるのか。各種の指標を見ている限り、とてもそうは思えず、世界経済に与える影響も大きなものにならざるを得ないでしょう。 現在のアメリカでは、販売用住宅が過剰在庫に陥っており、着工を急ぐ必要は全くない状況に陥っているのです。


 さらに怖いと思うのは、先日もご紹介した「アメリカの家計の金融負債推移」になります。

 

【アメリカの家計の金融負債推移(単位:十億ドル) 2003年-2010年Q1】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_29.html#USdept
 
 駆け込み需要があった2010年第1四半期でさえ、アメリカの家計は住宅ローン残高を減らし続けているわけです。政府の手厚い支援策があったにも関わらず、アメリカの家計の住宅ローン残高は増えていない。と言うよりも、むしろ減っている。もしも政府の住宅購入支援がなかった場合、家計の住宅ローン残高は「この程度」の減少では済まなかったのは明らかです。


 ちなみに、家計以外の経済主体(セクター)をも含めた金融負債の動向を見る際には、以下を用います。


【アメリカのセクター別重要金融負債推移(単位:十億ドル) 2007年-2010年Q1】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_29.html#USDEPT2


 家計だけではなく、金融機関までもが負債残高を圧縮(いわゆるデ・レバレッジ)をしている中、政府がほとんど孤軍奮闘ぶりで負債残高を増やし、景気の下支えをしている状況が見て取れるでしょう。
 要するに、現在のアメリカは90年代初頭の日本と酷似した状況にあるわけです。この状況から「財政再建」や「出口戦略」の名の下に、緊縮財政を強行すると、まさしく橋本政権の二の舞になってしまいます。
 アメリカが日本の経験に学び、早急な財政再建に走ることがないよう、世界経済のためにも祈らざるを得ません。



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