三橋貴明事務所。 お仕事のご依頼はこちらから 

Twitter始めました。

三橋貴明後援会 はこちら

メディアパトロールジャパン ついにオープン! 


--------------


 三橋貴明後援会熊本支部の企画で、来週の日曜日(3月14日ホワイトデー!)に熊本に伺います。
 詳細なスケジュールは徐々に明らかにしていきますので、熊本近辺の方々、何卒よろしくお願い致します。


 本日のスケジュール

◇午前:コーディネータ氏のところでトレーニング(演説、発声、姿勢など)
◇午後1時-3時:秋葉原事務所で作業(遊びに来てくださいね!)
◇午後6時-:名古屋で講演 


3月22日 新宿ブックファーストにてトークイベントがあります。整理券配布中
http://www.book1st.net/event_fair/event/page1.html


 日本の輸入の話を続けるといっても、別にマクロ面の話でも中国の話でもなく、農業の話です。

 現在、物凄く売れている浅川芳裕氏の「日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率」(講談社)の話でございます。
http://www.amazon.co.jp/dp/4062726386/


 お気づきになられた方が多いとは思いますが、三橋はブログであまり他の方々の本を紹介しないようにしております。正直、わたくしのブログで本を紹介してほしいという話はかなり来るのですが、今のところ自分が心打たれた本以外はご紹介しないように心掛けています。
 最近ご紹介した本は、大石久和氏の「国土学再考」、増田悦佐氏の「内向きの世界帝国 日本の時代がやってくる」などになります。これらの本はわたくし自身がその内容に感嘆し、皆さんに「是非、読んでほしい!」と思ったからこそ、取り上げさせて頂いたわけでございます。


 今回の浅川芳裕氏「日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率」も、わたくしが自信を持って皆さんにお奨めすることが可能な一冊になっています。

 本書は簡単に書くと、日本で蔓延している「自給率信仰」のウソと、自給率向上の無意味さを、数値ベース、ブレイクダウン(細分化)、相対化(他国と比較する)などの、本ブログではお馴染みの手法によって暴きたてた本なのです。わたくしが常日頃、やかましく批判しているのは財務省ですが、本書では農林水産省になります。
 財務省は「国民一人当たり借金」というフレーズで、世論をミスリードしていますが、農水省はご存知「カロリーベースの自給率」です。


 その話に入る前に、

「日本の食糧は世界最悪の海外依存。輸入がなくなれば、日本人は飢え死にする!」
 系のウソを修正しておきましょう。


【2007年 主要国の農産物輸入、国民一人当たり輸入額、食糧輸入対GDP比率】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_27.html#Nousan


 何で「主要国」が米独英日仏になっているのかといえば、単純にこの五カ国が世界の農産物輸入のベスト5だからです。
 昨日の日本の「食糧及びその他の直接消費財」は、「その他の直接消費財」が含まれていましたが、こちらは純粋に食料輸入のみです(で、数字が少し小さくなっている)。


 携帯の方のために数字を並べると(左から、輸入額(億ドル)、国民一人当たり輸入額(ドル)、食糧輸入対GDP比率(%))、


1位:アメリカ 747 247 0.54%
2位:ドイツ 703 855 2.12%
3位:イギリス 535 886 1.91%
4位:日本 460 360 1.05%
5位:フランス 445 721 1.72%


 日本が食料輸入「大国」ねえ・・・・。まあ、総額で四位につけているわけですから、別に否定する気はないですが、対GDP比で精々1%程度しか輸入をしていないわけですよ。
 何気に、我々のイメージでは「農業大国」となっているフランスよりも、日本は(対GDP比で)食糧を輸入していないわけです。何事も相対化(数字で比較する)をしなければ、真実は分からないと、しみじみと思います。


 さて、問題の「カロリーベースの自給率」ですが、これは「日本の農業は弱い。しかも、日本の食糧は極度に輸入依存。このまま何もしないと、日本人は飢え死にしかねない」というイメージを広めるために、農林水産省の元官僚が「産み出した」指標です。(この辺、先日、浅川氏にお会いした際に教えてもらったことの受け売りですが)


 カロリーベースの自給率の式ですが、以下の通りとなっています。


◇カロリーベースの自給率=一人一日当たり国産供給カロリー ÷ 一人一日当たり供給カロリー


 しかし、↑これはかなり乱暴に省略した式になっており、正しくは以下の通りです。


分子 一人一日当たり国産供給カロリー=(国産のカロリー+輸出分のカロリー) ÷ 人口
分母 一人一日当たり供給カロリー=(国産のカロリー+輸入分のカロリー-輸出分のカロリー) ÷ 人口


 特にひどいのが分母ですが、分母は「一人一日当たり供給カロリー」と言いつつ、我々日本人が一日に摂取したカロリーを「意味していません」。実は、分母の中には流通に回ったものの、廃棄されてしまった食品のカロリーも含まれています。
 その割合は、驚くなかれ26%! 分母の「一人一日当たり供給カロリー」のうち、26%は「捨てられたカロリー」なのです。人々の口に入らなかった食糧を分母に突っ込み、分母を大きくすることで「カロリーベースの自給率」を「嵩下げ」しているわけですね。


 さらに分子の方も滅茶苦茶で、我々は国内で生産された牛乳、豚肉、鶏肉などの畜産酪農品を日常的に口にしていますが、「外国からの輸入飼料」を使って育てられた家畜のカロリーは、国産として見なされません。結果、畜産物の本当の自給率は(カロリーベースで)68%にも関わらず、農水省の計算では17%になってしまうのです。
 外国の飼料で育てられた国産の牛や豚や鳥は、「一人一日当たり国産供給カロリー」には含まれないのです。


 上記の式を見ると分かりますが、農水省方式のカロリーベース自給率を高めるのは、簡単です。輸入を減らしてしまえばいいのです。
 元々、日本は「食料輸入大国!」でも何でもないですが、それをゼロにしてしまえば、「カロリーベースの自給率」は一気に向上します。分母が小さくなり、さらにそこから輸出分が控除されるため、自給率は百パーセントを超えることになるわけです。

 ちなみに、先進国の自給率は軒並み低く、途上国は軒並み高いという特徴があります。これは単に、途上国はグローバルな購買力が小さく、食料輸入において「買い負け」をしてしまう傾向が強いためです。日本が発展途上段階に逆戻りするようなことがあれば、海外から食糧を輸入することができなくなり、農水省が大好きな「カロリーベース自給率」は大きく改善することになります。


 それで、いいんですか? という話です。


 などと偉そうなことを書いておきながら、わたくしも浅川氏の本を読むまでは、「カロリーベース自給率」の異常性に気がつきませんでした。氏の「日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食糧自給率(講談社)」、心の底から推薦させて頂きます。 
http://www.amazon.co.jp/dp/4062726386/


昨日同様、「数値ベースで見る」の大切さを改めてご理解頂けた方は、

このリンクをクリックを。

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ



「テレビ政治」の内幕 (PHP研究所) 三橋貴明・八木秀次対談本 発売中!

さらば、デフレ不況 -日本を救う最良の景気回復論―  著:廣宮孝信 監修:三橋貴明 (彩図社) 間もなく発売


Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」 連載中
「三橋貴明の<ウラ読み>経済レポート」 
本メルマガではセミナー、勉強会のご案内など、メルマガならではの情報発信をしていきます!

「日本経済を凋落させた七人」 発売開始!
超売れっ子2ちゃん出身作家が明かすネットでビジネスに成功する方法  発売開始
 


 新世紀のビッグブラザーへ ホームページはこちらです。
 新世紀のビッグブラザーへblog一覧はこちらです。
 
関連blogへのリンク一覧はこちらです。


<<<関連ブログ>>>


新世紀のビッグブラザーへ blog


城内みのるオフィシャルサイト


新世紀のビッグブラザーへ blog


新世紀のビッグブラザーへ blog