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 昨日は、Ameba側「96 ■ちょっとアイデアです(会社員様)」以後、レベルの高いソリューションについて活発に議論して頂き、まことにありがとうございます。冗談でも何でもなく、次回作の参考にさせて頂きますので、引き続きよろしくお願い致します。
 会社員様の「年金国債」、沢蟹様の「国債銀行」、徳島県民様の「公共事業銀行」など、大変参考になりました。折角ですので、この種の検証が異様に巧い「あの人」に見てもらい、結果をブログ等でご報告させて頂きます。(「あの人」とは、もちろん「ドラえも~ん!」の人です)

 会社員様のコメントを見て、一瞬、何かにイメージが似ていると思ったのですが、思い出しました。「デフレ下における武士と経営者 
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10394750179.html  」で取り上げた、「元文の改鋳」ですね。(元文の改鋳:日本史上、最も効果が高かったと評価されるリフレーション政策)

1月12日
「これ以上、検閲を容認しない」 グーグル、中国からの全面撤退も視野
http://sankei.jp.msn.com/world/america/100113/amr1001131038006-n1.htm
 米インターネットサービス最大手グーグルは12日、昨年末に中国を発信源とする大規模なサイバー攻撃を受けていたことを同社ブログで明らかにするとともに、中国からの全面撤退も視野に対応を進めるとの姿勢を示した。グーグルは、サイバー攻撃の主体については具体的に名指ししていないものの、「われわれはこれ以上、検閲を容認し続けることはしないと決断した」と述べ、今後中国政府との交渉に入るとしている。(後略)』

1月19日
米国:マサチューセッツ州上院補選 民主、歴史的敗北 オバマ政権に「無党派の反乱」
http://mainichi.jp/select/world/news/20100120dde007030004000c.html
 民主党の金城湯池と言われた米東部マサチューセッツ州で、有権者はオバマ政権の政策に「ノー」を突きつけた。19日に投開票された同州選出の上院補欠選挙で共和党のスコット・ブラウン候補(50)が医療保険制度改革反対を訴えて勝利した。08年の大統領選でオバマ大統領勝利に貢献した無党派層が共和党に流れたことが最大の要因だ。(後略)』

1月21日 オバマ大統領、ボルカー氏を傍らに銀行への規制案を発表(詳しくは昨日のエントリー参照)
1月22日 FSB(金融安定理事会)が、オバマ大統領の規制案にお墨付きを与える
1月28日 バーナンキ議長が史上最小の票差で再承認される。

1月29日
アメリカ政府、台湾に対し総額64億ドル相当の武器を輸出する方針を決め議会に正式通告
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00170907.html
 アメリカ政府は29日、台湾に対して総額64億ドル、およそ5,800億円相当の武器を輸出する方針を決め、議会に正式に通告した。これに対して、中国はすぐに強い抗議の声明を発表した。
 アメリカ国務省のクローリー次官補は「発表は、オバマ政権が台湾に必要な防衛のための武器提供に関与する姿勢を明らかにしたものです」と述べた。(後略)』

2月2日
米・オバマ大統領、ダライ・ラマと会談へ
http://news24.jp/articles/2010/02/03/10152849.html
 アメリカ・ホワイトハウスの報道官は2日、オバマ大統領がチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世と会談する方針であることを明らかにした。(後略)』

 こうして並べてみると、グーグルの中国撤退問題が、アメリカの戦略変更に則ったものかどうかは微妙です。但し、その後のグーグル側の強気の対応については、当然ながらアメリカの戦略変更が大きく影響したのではないでしょうか。


 今回のアメリカ戦略変更は、明らかに1月19日の民主党候補マサチューセッツ州上院補選敗北に端を発しています。何しろ、マサチューセッツ州といえば、あの故エドワード・ケネディ上院議員が四十年以上も議席を守り続けた、民主党の牙城(と言うか、民主党の王国)なのです。現在の日本で言えば、民主党候補が岩手の衆院補選や参院補選で負けるようなものです。
 選挙結果を受け、わずか中一日で大々的な戦略転換を発表したオバマ大統領のアジリティ(俊敏性)は、率直に賞賛するべきだと思います。(もちろん、事前に敗北を想定して、色々と準備していたのだとは思いますが)
 現在のアメリカ国民が求めているものは、雇用環境の改善と「末端」の銀行システムの健全化です。一昨日の「前編」のエントリーでオバマ大統領の一般教書演説の一部を取り上げましたが、
「米国中の中小企業オーナーにとって、企業の環境は厳しいままだ」
 なのです。ついでに、アメリカの一般家計(すなわち、世界最大の「需要」)に対する与信も厳しくなり、国家のバランスシート上で「家計の負債」が減少している状況が変わっていません。
 これでは、アメリカ国内の景気改善は望めませんし、国民の不満は大統領と民主党に向かわざるを得ないわけです。
 このアメリカ国内の景気回復を邪魔していたのが、ウォール街及び中国でした。

【主要通貨の対ドル推移 2010年1月】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_27.html#vsUSD

 もう一度この図を再掲しますが、グラフの真ん中の横棒(青色)は、別に「ゼロ」を意味しているわけではなく、人民元の対ドルレートです。中国共産党政府は、2008年6月にそれまでの「管理フロート制」を改め、ドルペッグ制に戻しました。すなわち、人民元の対ドルレートは08年6月以降、全く変わっていないのです。(参考 http://stooq.com/q/?s=usdcny&c=3y&t=l&a=lg&b=1  )
 しかし、米中両国の基準金利には、2%以上の開きがあります。為替レートが一定なのに、金利差が2%以上ある。おお・・・・、これほどドルキャリーのお金を投資しやすい国はないでしょう。ウォール街は「アメリカ国民のために供給されたマネー(流動性)」を中国に持っていくだけで、為替差損のリスク無しで一定の金利差を稼げるわけです。
 結果、「仮説と現実 http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10446948500.html  」でも取り上げたように、FRBがマネタリーベースを増やしても、マネーストックがその半分しか増えないという、それまでのアメリカを知る人には考えられない状況が発生しています。
 中国にどの程度の規模のドルキャリーが流れ込んだか、統計を採るのは結構難しいと思いますが、米調査会社EPFR Globalは、
「09年年初から11月18日までに、新興市場には568億ドル(約4兆9200億円)もの資金が流入した。すでに07年の500億ドル(約4兆3300億円)を超え、史上最高額を更新した。投資対象国としては中国が最多
 というレポートを11月末時点で上げています。(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091129-00000015-rcdc-cn  )

 さらに、ドルキャリーの問題以外にも、アメリカ国民は中国に迷惑を掛けられています。もちろん、安すぎる人民元を活用した中国が輸出攻勢をかけ、「アメリカ国民のための需要、雇用」が奪われ続けている現実です。
 昨年来、わたくしは各所で「保護主義」について書いていますが、あれは別に「金融面」ばかりではなく「実需面」についても含んでいます。なぜならば、少なくとも現在の日米両国にとっては、金融面で規制をかけ、実需面で「賢い保護主義(例:エコカー減税)」を実施することが、両国の国益にかなっているためです。
 一月以降の戦略転換を見る限り、アメリカは確実に金融面の保護主義に第一歩を踏み出しました。さらに、実需面の保護主義についても「匂わせる」発言が聞こえ始めました。対中で厳しい政策を採り始めましたが、これはアメリカが中国に対し、
俺たちのために刷られた金を使って金儲けするな。俺たちの需要や雇用を奪うな。むしろ、お前の需要を寄越せ
 と、圧力を掛け始めているわけです。当然、近々、人民元の切り上げ要請が出てくると思います。
 国益に沿って、平気で戦略を転換する。前から何度も書いていますが、これだけは、日本は心底からアメリカを見習わなければならないと思っています。

 現在の日本は、「国益」など考えたこともない人たちが政権についていますが、アメリカが明確に自国の国益優先(あそこは元々そうですが)に基づき、保護主義化を始めたら、果たして自称「ぐろ~ばりすと」な人たちは、どうするのでしょうか? 今後書いていく予定ですが、今回のアメリカの戦略転換は、日本にとっても有益で、日本とアメリカはWin Winの関係に成り得るのです。
 しかし、オバマ大統領は一般教書演説で日本ついて無視しました。
 一昨日の対談で、青山繁晴氏が印象的なことを仰っていました。
「アメリカは今回の戦略転換において、日本という国家に対しては大変期待している。しかし、日本の鳩山政権については、全く期待していない
 
 言葉が軽すぎ、責任を一切取らない人物が首相の座につき、自浄能力が全く働かない政党が政権を取っている日本に対しては、期待しない。しかし、その背後にいる日本国民や、日本という国家に対しては、期待をしている。
 わたくしが逆(アメリカ側)の立場であれば、当たり前すぎるほど当たり前に思えるのですが、いかがでしょうか。 

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