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 本日の【Daily故人献金!ニュース】。

胆沢ダム受注で裏金か 小沢氏側の土地取引との関連捜査
http://www.asahi.com/national/update/0109/TKY201001090387.html
 小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」による土地取引問題で、「胆沢(いさわ)ダム」(岩手県奥州市)の受注に絡みゼネコン側が裏金を作っていた疑いが浮上し、東京地検特捜部が、土地の購入原資と関連性がないか集中捜査していることがわかった。購入と近い時期などに裏金の計1億円を小沢氏側に渡したとの供述も出ており、その解明が焦点となっている。 (後略)』

小沢氏団体の不記載4億 原資は水谷建設裏献金か「石川議員らに渡した」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100110/crm1001100131000-n1.htm
 民主党の小沢一郎幹事長側が水谷建設から計1億円の裏献金を受けたとされる疑惑で、水谷建設の幹部らが、平成16年の5千万円は小沢氏の私設秘書だった民主党の石川知裕衆院議員(36)に手渡し、17年の5千万円は公設第1秘書の大久保隆規被告(48)=公判中=に渡したと東京地検特捜部に供述していることが9日、関係者への取材で分かった。(後略)』

05年にも4億円不記載=同時期にゼネコン「裏献金」-関連を捜査・東京地検
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/nation/jiji-100109X416.html?isp=0002
 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入問題で、土地を買った翌年の2005年春にも、政治資金収支報告書に記載のない4億円が同会の口座に入金されていたことが9日、関係者の話で分かった。同じ時期には、中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)元幹部が、小沢氏側に2度目の5000万円の裏献金をしたと供述している。 (後略)』

 やっぱり胆沢ダム絡みの斡旋収賄罪ですかあ・・・・。
 04年10月の土地購入資金(の一部と見られる5000万円)について、水谷建設側は「石川にホテルで渡した」と供述し、石川は「先生(小沢)に貰った」と主張し、食い違いがありますが、いずれにせよこれでは小沢聴取は避けることができないでしょう。
 【特集 Daily故人献金 小沢編 
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10425076980.html  】で問題を整理した中に、「◇05年 石川の意味不明な資金入出金の疑惑」というのもありましたが、こちらも水谷建設からの裏献金だった可能性が高いわけですね。

アメリカの国家のバランスシート 
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10428722253.html

 上記に出てきた「Instrument Discrepancy」の解説を教えて下さったKent様、みすずちん様、ありがとうございました。日銀の資料(
http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/kako03/ron0312a.htm)にあるように、Instrument Discrepancyは「統計上の不突合」と訳され、具体的には以下を意味するそうです。

「さらに、米国は、図表上に「統計上の不突合」が表れている。米国の資金循環統計では、企業間信用など一部の金融資産・負債について認識時点や評価方法が資産サイドと負債サイドで異なることなどを勘案して両者のバランスを取っていない。この結果、全部門の資金余剰と不足を合計しても、その値はゼロにならないため、「統計上の不突合」として表示されている。(以下、日銀資料より)」

 企業間信用について、資産サイドと負債サイドをバランスさせず、差額を「統計上の不突合」として計上しているようです。
 当たり前ですが、企業間信用の場合も「誰かの売掛金は、誰かの買掛金」になります。あの600兆円近い「統計上の不突合」の多くは、「誰かの買掛金」ということなのでしょう。すなわち「誰かの負債」です。

 本日の話、ヨーロッパの二カ国目の話に入る前に、昨日の「国家の負債の種類」の復習です。

 (1) 政府が国内から借りた負債
 (2) 民間が国内から借りた負債
 (3) 政府が海外から外貨建てで借りた負債
 (4) 民間が海外から外貨建てで借りた負債
 (5) 政府が海外から自国通貨建てで借りた負債
 (6) 民間が海外から自国通貨建てで借りた負債

 昨日のAmeba側のコメントで、てゆば様が鋭いことを仰っていましたが、ユーロ成立以降は上記に二つほど「負債の種類」が加わることになります。

 (7) 政府が海外から共通通貨建てで借りた負債
 (8) 民間が海外から共通通貨建てで借りた負債

 本日の主人公を務める国は、上記の(7)のデフォルトが囁かれている国、そう、ギリシャです。
 ギリシャはご存知の通りユーロ加盟国です。その割に、マーストリヒト条約(財政赤字を対GDP比で3%に収めること)を守っていなかったわけですが、政府の負債に占める外国人債権者の割合も77%と、大変高くなっています。
 政府の負債の七割以上が、外国からの借入(対外負債)。通貨はもちろん、ユーロなわけですが、ギリシャ政府はユーロ通貨の発行権限は持っていません。ユーロ加盟国は金融政策について、ECB(欧州中央銀行)に委譲してしまっています。
 ギリシャ政府の負債が自国通貨建てだった場合、七割が外国からの借入とは言っても、上記の(5)に過ぎません。しかし、ユーロ通貨の発行がギリシャの自由にならない以上、ギリシャ政府がデフォルトする可能性は現実にあるように思えます。
 とは言え、ユーロの場合は昨日説明した「通貨暴落⇒デフォルト」ということは起こり得ないのです。ということは、ギリシャ政府のデフォルトは無いのでしょうか。
 2009年のギリシャの財政赤字対GDP比率は12.7%と見込まれていますが、EU(欧州連合)やECBはギリシャ政府に容赦なく財政赤字の縮小を迫っています。アジア通貨危機の際に、IMFが韓国などに「超緊縮財政」を強要したのと同じ構図ですね。
 昨年末、ドイツのショイブレ財務相は、いかにもドイツらしく、ギリシャを突き放した発言をしています。

EUがギリシャ支援なら「間違った結束」示すことに=独財務相
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-13160920091230
 ドイツのショイブレ財務相は、欧州連合(EU)加盟国がギリシャに対し金融支援を行えば「間違った結束」を示すことになるとの見解を明らかにした。
 31日付の独ベルゼン・ツァイトゥング紙に掲載されるインタビューの一部が30日公表された。
 同財務相は「仮にわれわれがギリシャに対し金融支援を実施するなら、それは間違った結束だ」と語った。』

 ご存知、ドイツこそ「インフレ嫌い」のECBの中心的地位を占めているわけなので、ギリシャの状況を最も苦々しく思っているに違いありません。なぜドイツがインフレ嫌いなのかと言うと、これはやはりWW1後のハイパーインフレーション(これは正真正銘のハイパーインフレ)がトラウマになっているからです。
 ドイツの財務相がつれない態度を示した一週間後、EUとECBの「監査団」がギリシャに入りました。

ギリシャは救済必要としていない-EU使節団の訪問控え財務相が表明
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=ax9Ch_vVJT2E
 ギリシャのパパコンスタンティヌ財務相は6日、同国の救済が必要になるとの観測を打ち消した。ギリシャは欧州連合(EU)加盟国で最大規模に上る財政赤字の縮小が急務となっており、EUの使節団は同日、ギリシャの税・歳出計画を精査するために同国を訪れる。
 パパコンスタンティヌ財務相はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「救済されるつもりはない。財政赤字縮小と公的債務の抑制に向け必要な措置をギリシャが講じていることは、明らかなはずだ」と語った。
 欧州中央銀行(ECB)のシュタルク理事はこれより先に、イタリア紙イル・ソレ24オレとのインタビューで、ギリシャの財政状態が悪化した場合に他のEU加盟国は救済しないと発言し、ギリシャのデフォルト(債務不履行)について市場の懸念を高めた。
 パパコンスタンティヌ財務相は、EU諸国がギリシャを救済しないことを「明言する必要などない」とし、「ギリシャは自らの手で必要な措置を取る。それに代わる計画はない。国外からのいかなる支援も必要としない」と強調。さらに、他の欧州諸国政府との間でギリシャ救済案策定に向けた協議は「全く」行われていないと述べた。 (後略)』

 ショイブレ独財務相のみならず、ECBのシュタルク理事までもが、
ギリシャの財政状態が悪化した場合に他のEU加盟国は救済しない
 などと、つれない発言をしているわけです。ギリシャ側のパパコンスタンティヌ財務相は、やたら強気な発言を繰り返していますが、現実的にギリシャが財政赤字を縮小するのは甚だしく困難だと思います。
 
 そもそも今回のギリシャ新政権が昨年秋に政権奪取に成功した切っ掛けは、08年末のギリシャ暴動にあります。
 2008年12月6日。アテネの学生街で15歳の少年が警察官に射殺された事件を切っ掛けに、ギリシャ全土で暴動が発生しました。アテネなどは数千人の若者が暴徒化し、機動隊に火炎瓶を投げつけ、銀行襲撃や自動車への放火など、抗議活動の枠を超えた騒乱が巻き起こったのです。
 そんな不穏な情勢下に、リーマン・ショック発の世界的な経済危機が重なったわけです。
 暴動の余波が残る2009年秋の総選挙では、「財政出動による景気対策の拡大」を公約に掲げた野党、パパンドレウ党首が率いる全ギリシャ社会主義運動党が勝利しました。そのパパンドレウ政権が、今度はEUの「指示」で緊縮財政に舵を切らなければならないわけです。冗談抜きで、再び暴動が起きかねません。
 個人的には、ギリシャ新政府は財政支出拡大を求める国民と、超緊縮財政を求めるEUとの間で板ばさみになり、政権が長くもたないか、もしくはユーロ離脱を真剣に検討し始めると思います。「政府の対外負債」問題を無視すれば、現在のギリシャが苦境から脱するには、ユーロ離脱が最も手っ取り早いわけです。
 いずれにせよ、ギリシャが外国人投資家の信用を失い、「(7) 政府が海外から共通通貨建てで借りた負債」のデフォルトという尋常ではない事態が現実化する可能性があるのではないかと。
 
 今回のギリシャ問題も、昨日のアイスランドと同じです。ユーロのルールでは、単に「マーストリヒト条約に従い、財政赤字はGDPの3%に収めなさい」と定められていただけで、恐慌経済下で財政支出拡大をしなければ、国や政権が持たない場合など、ルール化されていなかったわけです。すなわち、全く「想定外」だったわけですね。
 現在のユーロ圏がまずいのは、ギリシャ問題が何らかの決着を見ても、後に続く国が(スペインやら、アイルランドやら、ポルトガルやら)ゴロゴロしているという点です。ギリシャがユーロを離脱した場合、少なくともスペインは後に続くことを検討すると思います(何しろ失業率が20%!)。
 逆に、超緊縮財政を採り、ギリシャ国民が激怒した結果、パパンドレウ政権が倒れると、スペインやアイルランドが同じ路線を採る可能性はゼロに近づきます。
 いずれのパターンであっても、ユーロが現在のシステムを続けられるのかどうか、個人的にはかなり難しいと思います。

 結局のところ、ユーロにしてもアイスランド式国家モデルにしても、「世界同時好況が永遠に続く」という無茶な前提の元に成り立っていたわけです。今や「前提」は大きく崩壊し、あちらこちらで火の手が上がり始めていますが、この混乱を乗り越えた後の世界は、決して07年前と同じものにはなりえないと思うのです。

本日のエントリーでも、「世界経済」や「グローバル」について考えさせられたという方は、
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