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 ちょっと怖いくらいに爽やかに東京の空が澄み渡っておりますが、皆さま、明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い致します。
 今年は2月に映画(何?)があり、二期(何の?)も始まりますので、気合を入れて頑張っていきたいと思います(なぜ?)。
 
 年が明けたとはいえ、三橋の仕事が減ったわけでも何でもなく、元旦早々キーボードをカタカタと打ち鳴らす日々が始まります。
 上にも書きましたが、1月7日(木)には最初のイベント、紀伊国屋新宿本店でのサイン会
http://www.kinokuniya.co.jp/01f/event/event.htm#shinjukuhonten_01 )が控えております。皆様、年初のお忙しい中、大変恐縮ですが、お立ち寄り頂ければ幸いに存じます。
 実際には、三橋は1月4日(月)からフル稼働状態になっており、1月5日(火)には対談のお仕事(雑誌は正論)が控えております。対談相手は、最近、コメント欄に登場することが多くなった、あの人です。
 正論といえば、『正論2010年02月号 』
http://www.amazon.co.jp/dp/B0030EL1KG/
 のP292に、三橋貴明初の「書評」が載っています。何の書評かといえば、櫻井よしこさんの「権力の道化」(PHP研究所)です。
 この書評ですが、分量は大したことがないのですが、本当に書くのが大変でした。その理由は・・・・・内緒です。

 2010年が始まりましたが、日本もアメリカも中国も、ある種の「転換期」を迎えており、国内国外共に大変な変動があることは確実だと思います。日本は今さらですが、アメリカはどうやら量的緩和の終了や、金融引締めの方に舵を切りつつあり、97年の橋本政権に少しずつ近づいている感じです。企業や家計の負債が減少している中、いわゆる「出口戦略」を採るのが果たして適切なのかどうか、かなり怖いものがあります。
 中国の方は、極端な設備過剰が進行する中、政府の財政出動のみで経済を下支えする状況が続いています。チャンネル桜の番組で、宮崎さんが散々に警告していましたが、果たして「上海ショック」を回避できるのかどうか、全く予断が許せない状況が続いています。

 とは言え、世界の主要国の中で最もラディカルな「大変動」が起こりそうと(個人的に)思っているのは、ずばりユーロ(国じゃないけど)です。

欧州委:16カ国中半数が債務持続不能となる恐れも-WSJ紙
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aoKVD4NEgswc
 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は29日、欧州委員会が16カ国中半数で公的債務が持続不能となるリスクがあると述べたと伝えた。』

 12月19日のブログ「何を書き込みしても流れが変わらないんですが http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10414585912.html  」で取り上げましたが、現在、欧州の一部の国(と言いますか、実際には半分くらいの国)の財政赤字対GDP比率が、すごいことになっています。

欧州諸国の財政赤字対GDP比率の推移
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_25.html#Euro

 ユーロ諸国の中で最も状況が悪化しているのはギリシャですが、12月8日にフィッチが、12月16日にS&Pが、そして12月22日にムーディーズが、立て続けにギリシャのソブリン債を格下げしました。
 ギリシャは別に国債の94%を国内で消化している変な国でも何でもなく、政府の負債の過半が「外国からユーロ建て」で借りているものです。そしてマーストリヒト条約を批准し、金融政策の多くをECB(欧州中央銀行)に委譲している以上、国債の価格下落(=金利上昇)時に、ギリシャは日米英三カ国がやっているように中央銀行による買取という手法は使えないのです。
 さらにユーロの状況が厳しいと思われるのは、極度の景気悪化に直面し、財政赤字を拡大しまくっているのは、何もギリシャに限らないという点です。
 例えば09年の財政赤字対GDP比率が11.2%に達すると予想されているスペインは、失業率が18.9%なのです。逆の言い方をすると、スペインは財政赤字を極端に増やし、景気対策を打っているにも関わらず、失業率が二割近いわけです。こんな状況で、「ユーロの財政規律」を守るために緊縮財政路線を採るなど、果たして可能なのでしょうか。
 以下は、戸締役様のブログ経由でequus様からご紹介頂いたユーロ圏の財政状況です。

Euro Zone Grapples With Debt Crisis
http://online.wsj.com/article/SB126210769622909163.html#project%3DEuroZone0912%26articleTabs%3Dinteractive

 ギリシャ、スペインのみならず、アイルランド、オランダ、スロバキア、スロベニア、マルタ、そしてキプロスの財政状況がレッドゾーンに突入していることが分かります。(ローリスクがフィンランドのみとは・・・)
 チャンネル桜の番組でも語りましたが、景気が極端に悪化しているユーロ諸国にとって、最も単純な解決策は「ユーロ離脱」なのです。ユーロを離脱し、ローカル通貨に戻り、通貨を極端に引き下げれば、輸出競争力が一気に回復し、経済成長路線に戻れるわけです。そもそも、ドイツのように強固な経済基盤を持つ国と同一通貨を使っているため、ユーロ高騰で輸出競争力が激減してしまったというのが、今回の極端な景気悪化の一因なのです。そういう意味で、ドルペッグにより危機に陥った1997年のアジア諸国、あるいは01年のアルゼンチンと、問題の根っこは同じというわけですね
 アイルランドは、12月11日にスタンダード・バンクから「アイルランドがユーロを離脱する可能性」を指摘され、財政当局が切れまくっていましたが、現実に「ユーロ離脱」という言葉が囁かれる段階に至ったというわけです。

欧州の銀行、7000億ドルの評価損を追加計上も-ブイターLSE教授
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aftBy8R7H1ww
 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の教授を務めるウィレム・ブイター氏は31日、欧州の銀行が最大7000億ドル(約64兆6730億円)の評価損の追加計上に直面しているとの見方を示した。同氏は来年1月1日付で米シティグループのチーフエコノミストに就任する。
  同氏はブルームバーグラジオとのインタビューで、「欧州の銀行を中心に、健全な財務力と融資と借り入れの通常業務の能力を維持するため、資本を強化する必要がある銀行は多い」と語った。 』

 さらに、欧州の比較的健全(風)な金融立国(ルクセンブルグやベルギーなど)の方も、事実上「隠蔽」していた巨額評価損の表面化という問題に直面しています。小さな金融立国の銀行がまともに評価損を計上すると、一瞬で「GDPを超える評価損計上」という極端な状況になり、政府は巨額の資本注入を迫られることになります(もしくは国有化)。ユーロ各政府の財政状況は、今後は悪化することはあっても、改善することはちょっと考えられないわけです。
 しかも、普通の国々であれば政府と中央銀行の連携により、諸問題の解決に当たるわけですが、ユーロ諸国の場合はそれも不可能です。むしろ、景気が極度に悪化した国々にとっては、ユーロ及びECBというのは、もはや「くびき」でしかない状況に至っているわけです。
 結局のところ、ユーロというシステムは「加盟国全体が健全に経済成長していく」ことが前提になっていたということなのでしょう。2010年は、「欧州合衆国」あるいは「一つのヨーロッパ」という夢が終わった年として記憶されることになると思います。
 
 もちろん、価値観がある程度似通っている欧州でさえこの有様ですから、「東アジア共同体」など、所詮はファンタジーか妄想の世界でしか実現し得ないわけです。
 とは言え、ユーロ圏が崩壊したらしたで、今度は(自称)知識人たちが「アジアは違う」理由を必死に探し始めることになるでしょう。彼らにとって「結論」は常に同一であり、そこに辿り着くロジック(というか屁理屈)を捏ね繰り回すことこそが、(自称)知識人としての仕事なわけでございます。
 
 2010年はこの種の「常に結論が同じ」似非知識階級が、日本で決定的に凋落した年として記憶されるように、全力を尽くしたいと思います。

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