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 本日放送(多分)の桜プロジェクトに、ゲスト出演します。 http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1520
 テーマはもちろん「民主党政権で日本経済が危ない!本当の理由」になります。(やっとamazon在庫復活!)

「持続的な物価下落は、マクロ的需給バランスが緩和していること、言い換えると需要の弱さの結果として生じる現象
「設備投資や個人消費といった最終需要が自律的に拡大する環境を整えることが不可欠で、家計の将来の安心感や企業の成長期待を確保することが最も大事な課題」
需要自体が不足している時には、流動性を供給するだけでは物価は上がってこない

 日銀が12月1日、臨時の金融政策決定会合を開き、10兆円の資金供給を行うことを決定しました。
 この日銀の資金供給について、黒い人をはじめ、あちこちで「しょぼい・・・」という声を耳にします。まあ、確かにしょぼいのですが、ちょっとその背景について考えてみたいと思います。
 ちなみに、冒頭の三つの「  」は、政府のデフレ宣言を受けた、日銀の白川総裁の発言です。白川総裁は、日銀の独立性などに関する問題についてはかなり強硬派で、正直「勘弁してくれ・・・」と思うことも多々ありますが、少なくとも現状認識力に関しては素晴らしいものがあります(物凄い勉強家だそうです。)。
 現在の日本の状況は、全くもって白川総裁の発言の通りで、「需要」自体が不足しており、そんな状況で流動性をいくら供給したところで、デフレ脱却などできるわけがありません
 そもそも、量的緩和などの金融政策「のみ」でのデフレ脱却は、小泉政権のときにトライしているわけです。結局、国内需要が伸び悩む中で量的緩和をしても、デフレ脱却は無理だったということは「事例」が証明してくれています。

【バブル崩壊後の日本のGDPデフレータ、国内需要デフレータ推移】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_25.html#Deflator

 さらに困ったことに、需要不足の日本がジャブジャブにお金を金融市場に流した結果、そのお金が「海外」に流れ出してしまいました(07年の円安絶頂期まで)。今回の世界的な危機の大本の原因である様々なバブルは、日銀のゼロ金利政策や量的緩和が「一因(あくまで、一因、です)」になっているのです。
 グローバルにマネーが動く環境下では、政府(と言うか中央銀行)が金融市場に頑張って流動性を供給しても、それが「国内」に向かうとは限りません。現実に、アメリカのFRBがジャブジャブにマネーを供給した結果、ドルキャリートレード(安いドルを借りて、金利の高い海外に投資)が活発化し、国内には向かっていないわけです。ウォール街は嬉しいでしょうが、これでは一般のアメリカ国民に恩恵は行き渡りません。
 また、例えば中国などは、共産党政府が民間銀行に「資金を融通せよ」と指示・命令し、強引に流動性を供給していますが、その過半が株式・不動産に向かっていることはご存知の通り。
 結局、最終需要がない状況で流動性を拡大しても、アメリカ(や、かつての日本)のように海外にお金が流れていくか、あるいは中国のように資産バブルが発生するだけなのです。

追加緩和策に揺れ動く債券市場、夜間取引で「失望売り」
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-12719020091201
 日銀の追加緩和策を巡り債券市場が揺れ動いた。日中の取引で国債買い切り増額や利下げの思惑が急浮上、国債先物が1年8カ月ぶりの高水準に急騰した後、東証夜間取引では、実際に出てきた政策に対する「失望売り」がかさみ、日中上昇分の半分以上を吐き出した。
 「市場が想定した緩和策には程遠い」。日銀は1日開催の臨時の金融政策決定会合で新しい資金供給手段の導入により、やや長めの金利のさらなる低下を促すことを通じて金融緩和の一段の強化を図ると発表。新たな資金供給オペでは、0.1%の金利で3カ月間供給するとしたが、市場の反応は冷ややかだった。(後略)』

 ロイターの記事(後略部分)にもあるように、市場は日銀に以下のメニューを期待していました。
国債買い切りの増額
時間軸政策(いわゆるインフレターゲット)の導入
量的緩和政策の導入(10兆円とかいう、しょぼい金額ではなく)
政策金利の引き下げ
 ところが、日銀の打ち出した策が「こじんまり」としたもので、市場の失望売りを招いてしまったわけです。
 とは言え、そもそも日銀総裁が、
「需要自体が不足している時には、流動性を供給するだけでは物価は上がってこない」
 と発言しているわけです。日銀は「自分たちだけが何かしても、どうせムダ」と思っているのではないでしょうか。それでも強行にデフレ対策を要求されたため、渋々「こじんまり」政策を打ち出したというのが真相ではないかと思います。

 今さらですが、日本経済の最大(と言うか、唯一)の問題は、巨大なデフレギャップです。09年1-3月期の対GDP比8.5%よりは縮まったとは言え、7-9月期でさえ対GDP6.7%、金額にして約37兆円のデフレギャップがあるのです。(図参照 Yahoo!は上、Amebaは下)
 民主党は「ムダ削減」あるいは「事業仕分け」などと銘打ち、図の赤い部分(現実のGDP)を「押し下げる」ことばかりをやっています。すなわち、政府自らデフレギャップの「拡大」に懸命になっているわけです。
 デフレギャップの拡大すると、ますます図の青い部分(本来の供給能力)との差が開いてしまい、モノ余りが加速します。すなわち、デフレーションの進行です。
 政府がデフレを悪化させるべく懸命になっている状況で、
「おい! 日銀! 何とかしろ!」
 と言われた以上、日銀の対応がしょぼいものになってしまっても、無理もないと思えるわけです。(とは言え、いい加減に「日銀券ルール」は撤廃して欲しいと思いますが。)

ムダ削減やらでデフレギャップ拡大に邁進する民主党のレベルの低さに、改めて愕然とした方は、↓
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