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http://www.maruzen.co.jp/Blog/Blog/maruzen02/P/8889.aspx

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※先日来、「わたくしたちと危機感を共有する・・・中の人」からの支援要請にお応え頂き、まことにありがとうございました。文部科学省の意見募集は「12月15日」まで継続しておりますので、引き続き皆さまのご支援、何卒よろしくお願い致します。
 詳しくは、以下で。 
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10396287981.html

 本日の「Daily故人献金ニュース!」

母の資金提供「贈与」、認定なら納税4億円超 首相偽装献金
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/091129/crm0911290230000-n1.htm

 母親の資金が贈与と決定した場合、鳩山の「脱税」が確定するわけですが、何故どの新聞も「首相の脱税」と書かないのでしょう。

 今後の日本経済に影響を与えそうな経済学者を三名教えろと言われれば、リチャード・クー氏、廣宮孝信氏、木下栄蔵氏の三名を挙げます。おおっ!見事なまでに三名とも「経済学者」ではないですね。結局のところ、現在の日本や世界で起きていることは、既存の経済学では説明しきれないということなのでしょう。
 ご存知リチャード・クー氏は、バランス・シート不況の「発見者」です。バブル崩壊後には、企業がバランスシートの適正化を図るため、クラウディング・アウトが成立しないことを証明しました(実際、日本はクラウディング・アウトは成立していません。)。
 廣宮孝信氏は、国家のバランスシートという概念を生み出し、「誰かの負債は、誰かの資産」を一目瞭然にすることで、国家経済のストックを鳥瞰化することを可能にしました。(あ、頻繁にわたくしがアップデートしている「国家のバランスシート」の元ネタは、廣宮氏です。)
 国家経済のフロー(GDP)の場合、内閣府の支出側統計をそのまま使うだけで鳥瞰化することが可能でした。ところが、ストックの方は鳥瞰化手法が存在しなかったのです。だからこそ、財務省が国家の一部に過ぎない「政府の負債」を「国の借金」などと呼び、絶対額をヒステリックに叫ぶことで、国民の危機感を煽ることが可能だったわけです。
 現在は、
「それは『国の借金』ではなく、『政府の負債』だろ。なぜ家計や、金融機関法人や、非金融法人企業の存在を無視する」
「本来『国の借金』とは、日本が海外から借りている金のことだから、対外負債を意味するはずだろ」
 などの突っ込みを入れることができます。これも全ては廣宮氏が国家経済のストックについて、一枚にまとめることを思いついてくれたおかげです。


 さて、三人目の木下栄蔵氏ですが、クー氏のいう「バランスシート不況」と「そうでない経済フェーズ」について、きちんと定義づけをした点が極めて素晴らしいのです。「ダーウィンの罠 中編(http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10389574120.html  )」で解説した通り、木下氏はバランスシート不況(恐慌経済)と「そうでない経済フェース(通常経済)」を、以下の通り定義しています。

【通常経済(=アダム・スミスの経済)】
 ■企業:企業は自らの利潤の最大化を求めて企業活動を行う
 ■消費者(家計):消費者は自らの効用の最大化を求めて消費活動を行う

【恐慌経済(=ケインズ経済)】
 ■企業:企業は自社の債務(借金)を最小に
 ■消費者(家計):消費者は自らの債務(借金)を最小にするように行動するか、ケインズ経済を肌で感じ取り、貯蓄に励む

 「ダーウィンの罠」シリーズでは説明しませんでしたが、実は木下氏は「経済学はなぜ間違え続けるのか」の中で、「なぜ企業が自社の債務を最小にするように行動するのか」についても定義づけを行っています。この「なぜ企業が自社の債務~」について理解したとき、はじめて通常経済復帰へのソリューションが明確化されるわけです。
 恐慌経済下において、なぜ企業が自社債務を最小にするような行動を取り、利潤の最大化を求めないのか。木下氏は一行で説明しています。
「投資効率が市場利子率よりも悪くなるため」
 これが昨日の、「問題なのは、低金利なのです。」の正しい説明になります。
 すなわち、恐慌経済下で企業が何らかの投資を行おうとしても、収益率が「市場利子率」を下回ってしまうのです。市場利子率とは何ぞやと言えば、要は調達金利です。
 ある企業が100億円を金利2%で借りて、何らかの投資を行おうとしたとします。このとき、投資利益率が1%では、逆ザヤが発生してしまうわけです。
 こんな無駄な投資を行うくらいなら、企業は負債を返済する方を選ぶでしょう。例えば、同じ100億円を金利3%の負債を返済するのに使った場合、これは100億円を3%で運用したのと同じ意味を持つのです。
 新たに資金を調達、あるいは内部留保によりキャッシュを得たとき、それを投資に回すよりも、負債返済に充当する方が利回りが稼げるのです。こんな環境下で「お金を投資に回してくれ」などと言われても、無理というものです。
 結果、銀行の貸出金は減少↓し、

【国内銀行 貸出金・実質預金・預金超過額 (単位:十億円)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_23.html#Kashidashi01

 銀行の手元の運用先のないお金が国債に向かった結果、日本は国債を発行しても発行しても、金利が上がらないという異様な状況に陥ったわけです。

【1995年武村正義元蔵相「財政危機宣言」以降の日本政府の負債 】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_24.html#Takemura

 これが、バブル崩壊以降の日本経済の「問題の本質」になります。
 日本経済を通常経済に復帰させるには、簡単です。投資効率が市場利子率を上回るようにすればいいわけです。投資効率が市場利子率を上回れば、企業は積極的に投資をするようになり、利潤最大化を求めるようになるでしょう。
 それでは投資効率が市場利子率を上回るようにするには、どうすればいいのか。現実的には、日本政府が継続的な財政出動を行い需要を創出し、日本銀行の金融緩和によりデフレを脱却するしかありません。(この二つは常にセットでなければなりません)
 需要が拡大し、長期金利が上がってくれば、日本政府の金利負担が増えるって? 心配要りません。国債を日銀に買い取ってもらえば、日本政府は金利を支払う必要がなくなります。何しろ、日銀は日本政府の子会社ですから。
 ついでに日銀の保有する国債を「永久国債」化してしまえば、日本政府は償還義務さえなくなっちゃいます。この時点で、両者のバランスシートから負債(日銀にとっては資産)をジュッ!と消してしまえばいいわけです。

 財務省やらマスメディアが27年間も叫んでいた「魔物」を、上記ソリューションと比較してみてください。そのレベルの低さに、絶望感を覚えたくなった人は、わたくしだけではないでしょう。わたくしは日本という国家について絶望したことは一度もありませんが、マスメディアやそこに巣くう「自称」知識人たちのレベルの低さには、さすがに絶望感が沸き起こってくるのを止めることができないのです。

バブル崩壊以降の日本経済の「問題の本質」について、「なるほど!」と思った方は、
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