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先日、生出演したSPA!生 第20回の動画 がアーカイブに載りました。

早くも再生回数10000!【大道無門 #197】ゲスト:三橋貴明(経済評論家・作家)


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 アスコム社「民主党政権で日本経済が危ない!本当の理由  http://www.amazon.co.jp/dp/4776205734/  」発売開始です。昨晩(深夜)、出版社から「店頭の出足絶好調です!」というメールを頂戴いたしました。ありがとうございます。
 店頭の出足が好調ということは、タイトルの勝利なのでしょうか?

 来週土曜日(28日)、またまた三橋は街頭に出撃します。
【草莽崛起】 日本解体阻止!!守るぞ日本! 国民大行動 平成21年11月28日(土)】
http://www.ch-sakura.jp/topix/1290.html
 わたくしは12:00-14:00の部に出ますので、何卒よろしくお願い致します。
 また、12月及び1月に、「講演&サイン会」が予定されています。(それぞれ全く別の企画として)こちらの方も随時お知らせしていきますので、何卒応援のほどよろしくお願い致します。

 さて、日本の第3四半期(7-9月期)のGDP成長率が発表されました。大方の予想通り、好調を維持していますが、何しろここまでは事実上、麻生政権です。問題は今四半期からですが、さすがに今年一杯は何とかプラス成長でいけるのではないかと予想しているのですが・・・・。
 
日本のGDP(対前期比年率換算)推移
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_24.html#GDP

 折角なので、日本のGDP成長率(対前期比年率換算)の推移をグラフ化してみました。改めて流れを見ると、アメリカの不動産バブルを発端とする世界同時好況の局面は、安倍政権後期には実際には終わっていたようですね。その後の福田政権時は、何となく余韻で持っていたのが、後半には息切れし、リーマンショックで完全に失速したと。

 GDPに関する各報道を見て、大変気になったことがあります。
 GDP成長率と一口に言っても、実は沢山の種類があります。名目GDP対前期比成長率、実質GDP対前期比成長率、名目GDP成長率(対前期比年率換算)、実質GDP成長率(対前期比年率換算)、名目GDP対前年比成長率、実質GDP対前年比成長率・・・・・などなど。
 すなわち、GDP4.8%成長と言っても、それが何を意味するのか、報道の見出しだけだと、よく分からないのです。と言うよりも、読者を混乱させるような報道になっているわけです。

7~9月期実質GDP、年率4.8%成長 政策が下支え
http://woman.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=20091117ax005n1
 内閣府が16日発表した7~9月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比1.2%増、年率換算では4.8%増となった。2四半期連続のプラス成長で、2年半ぶりの高い伸びを記録した。輸出や個人消費が伸び、設備投資も増加に転じた。ただ国内外の経済対策の効果が大きく、景気持ち直しの持続力には不安が残りそうだ。政府は物価の下落が続く「デフレ」を警戒しており、2009年度第2次補正予算案の具体化を急ぐ。(後略)』

 日経新聞のGDPに関する報道は、きちんと「実質値」「名目値」「前期比」「前期比年率換算」を書いており、4.8%は「対前期比の年率換算の実質GDP成長率だよ」と明記しています。まあ、
「お前らは麻生政権以前は、対前期比の年率換算の数値など報道しなかっただろ・・・」
 という突っ込みはしたくなりますが。
 国内メディアが「対前期比年率換算の数値を大々的に使い始めたのは、リーマンショック後の08年第4四半期からです。どう考えても、麻生バッシングを兼ね、センセーショナルなマイナスの数値を見出しとして掲げるために、わざわざ年率換算の数値を使い始めたのだとしか思えません。
 とは言え、それ以降もきちんと年率換算の数値を使っているので、まだマシですが。(プラス成長になったら、対前期比に戻すと思っていました。


 問題は、海外諸国に関するGDPの報道です。

GDP:ユーロ圏実質0.4%成長 6四半期ぶりプラス--7~9月
http://mainichi.jp/select/world/news/20091114ddm008020044000c.html
 欧州連合(EU)統計局は13日、09年7~9月期のユーロ圏16カ国の域内総生産(GDP)の実質成長率(季節調整済み、速報値)が、前期比0・4%増(4~6月期は0・2%減)だったと発表した。08年1~3月期以来6四半期ぶりにプラス成長に転じた。政府の景気刺激策などを支えに景気が最悪期を脱したことを示した。
 ドイツが0・7%増(前期は0・4%増)と、2四半期連続でプラス成長となったほか、フランスも0・3%増(同0・3%増)とプラス成長を維持。イタリアも0・6%増とプラス成長になった。』

 毎日が掲載したユーロ圏の実質GDP成長率の記事ですが、この数値は「対前期比」です。すなわち、年率換算ではないのです。ちなみに、ロイターも同じように対前期比のみで記事を書き、それがあちこち(niftyとかgooニュースとか)に転載されています。
 わたくしが調べた限り、ユーロ圏のGDP成長率の記事において、日本と比較可能なように年率換算の数値を載せていたのは、唯一、日経新聞のみでした。
 第3四半期の主要先進国の「実質GDP対前期比年率換算」の数値を比較すると、以下の通りになります。

■日本:4.8%
■アメリカ:3.5%
■ドイツ:2.8%
■フランス:1.2%
■イタリア:2.4%
■イギリス:マイナス1.6%
■EU全体:1.6%

 ちなみに、対前期比成長率から年率換算の値を導き出す公式は、
年率換算実質GDP成長率(%)={(1+四半期ベース実質GDP成長率)4乗-1}×100
 となっています。
 EU全体で言えば、{(1+0.004)4乗-1}×100=1.60962%となります。こんなややこしい計算式は、普通の人は知らないでしょう。
 しかし、毎日やロイターの記事に乗っている欧州のGDP情報を、年率換算の数値で大々的に発表されている日本やアメリカと比べたい場合は、上記の通りユーザ側が「計算」しなければならないわけです。
 もちろん、毎日やロイターは「欧州連合統計局が、対前期比でしか発表していないから・・・・」と言い訳するでしょう。しかし、財務省の「国の借金、国民一人辺りの借金」同様に、単に報道発表を転載するだけなら、記者も新聞社も不要なのです。
 要するに、本当に新聞社は「ユーザ・ニーズ」を意識していないと、つくづく思ったわけです。
 一口に経済指標(GDP! 貿易収支! 外貨準備高! 国の借金!などなど)といっても、そこには「統計的な罠」が潜んでいるわけです。そういう部分まで含めて、国民に「正しい情報」を伝えることこそが、マスメディアの本来の役割だと思うのです。
 現実には、日本のメディアは共産独裁政権のものであろうとも、報道発表を垂れ流しにし、しかも、報道する情報の取捨選択を行っています。かつては、その「報道発表」を入手することが、記者クラブに属する記者やテレビ局員でなければ難しかったわけですが、今や新聞報道の前に、一般ユーザがWebで入手できる時代です。
 そう考えたとき、「情報ソースの独占」という面における環境が激変したにも関わらず、以前と同じように報道発表をコピペするだけの新聞各社が苦境に陥るのも、無理もないと思ってしまいます。
 逆に考えると、誰でも入手できる報道発表に、きちんと「付加価値」をつけて報じることができれば、新聞社よりも顧客ニーズをつかめる可能性が高いわけです。この種の「新聞社の問題」を見ると、すぐにわたくしの頭の中に「ニーズ」だとか「ビジネスチャンス」という単語が浮かんできてしまうのでございます。

 さて、それでは本日の午後はチャンネル桜に赴き、廣宮さん(だけじゃないけど)と民主党の経済政策について話してきます。


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