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ストップゴー政策:経済政策において景気拡張姿勢と景気抑制姿勢を交互に繰り替えす政策のこと。(ウィキペディア)

 アメリカ経済の話が続きます。

第3四半期の米GDP速報:3.5%増、5四半期ぶり成長
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=ay1INtYTF29o
 米商務省が29日発表した第3四半期(7-9月)の実質国内総生産(GDP、季節調整済み、年率)速報値は前期比年率3.5%増加した。5四半期ぶりのプラスだった。景気刺激策による個人消費や住宅建設の拡大が寄与した。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は3.2%増だった。 (後略)』

 第3四半期のアメリカのGDPは、対前期比年率換算3.5%成長になりました。このポジティブ・サプライズにより、ドルと米国株が急騰しています。
 今回のアメリカのGDPプラス成長のポイントは、以下になります。

■米政府の自動車買い替え奨励策が効を奏し、自動車販売を含む耐久消費財が、対前期比年率22%増と、2001年以来の最大の伸びになった。(個人消費全体は+3.5%)
■米政府の初回住宅購入者向け税還付(8000ドル)が効を奏し、住宅投資が23%増と、四年ぶりのプラスになった。
民間設備投資は、マイナス2.5%

 要するに、政府から家計への所得移転により、個人消費と住宅投資が促進されたわけです。民間設備投資がマイナスなので、民需回復などとは口が裂けても言えない状況でしょう。
 米大統領経済諮問委員会のローマー委員長は、総額7870億ドルの景気対策が、第3四半期の成長率を約3-4ポイント押し上げたとの試算を示しています。すなわち、政府の景気対策がなければ、今回のGDPもマイナス成長に終わった可能性があるわけです。
 特に大きな影響を与えたのは、8月に「終了」してしまった政府による低燃費車への買い替え支援です。(要は、エコカー減税) この政策の影響を受けた自動車(及び部品)だけで、アメリカのGDP全体を1.01ポイント押し上げたそうです。物凄い効果ですね。
 
 怖いのは、最近のアメリカ政府が「出口戦略」を模索する動きを強めていることです。
 先述した自動車買い替え奨励策(低燃費車への買い替え策)の終了もそうですが、かなり驚いたのはFRBの量的緩和政策の転換になります。

FRBの米国債購入プログラム終了-住宅安定や利回り上昇抑制に寄与
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aDVvZBfUnBFs
 米連邦準備制度理事会(FRB)は29日、3000億ドル(約27兆円)規模の米国債購入プログラムを終了した。7カ月にわたる米国債買い入れが住宅市場の安定化に貢献し、借り入れコストの上昇抑制につながったとの兆候がみられることが背景にある。(後略) 』

 ブルームバーグの記事(の後半)では、何が言いたいのか、いまひとつ分かりませんが、要はFRBによる米国債買い取りが「長期金利上昇を抑えた」ということなのでしょう。
 現在のアメリカ経済は、自動車買い替え奨励策が終了したこともあり、「民間住宅投資」に成長の多くを依存しています。そのため、自動車買い替え奨励策は終了しても、住宅減税の方は継続される見込みになっています。
 その状況で、なぜ長期金利上昇を招く国債購入プログラム終了なのでしょうか。いや、もちろん当初の計画として、元々10月末に終了する予定だったと言われればそうなのですが、まさか本当に終了してしまうとは思っていませんでした。

 ご存知の通り、バブル崩壊以降の日本は、景気が少し回復すると、途端に財政赤字拡大への批判の声が高まり、政府支出を絞り込んだ結果、不況に逆戻りするパターンを繰り返してきました。この「ストップゴー政策」により、日本の名目GDP成長率の低迷は長引いてしまいましたが、何となくアメリカも同じ罠に陥りそうな気配がして、大変に心配しています。

 以前、中国経済物を連載し、現在も八木秀次氏との対談が掲載されているVoice+に、山本一郎氏がマスメディア物を書いていらっしゃいます。

WEB連載 情報産業に明日はあるか
http://voiceplus-php.jp/web_serialization/information_business/index.html

 情報産業とはIT産業のことではなく、新聞、出版のことのようです。第3回では、是非テレビを取り上げて欲しいと思います。
 特に第2回の新聞に関する寄稿が素晴らしいのですが、新聞が抱える最大の難問である「コスト構造」について詳しく触れていらっしゃいます。
 要は、現在は紙媒体で出している記事を、単にWebに載せるという考え方では、今の新聞各社のコスト構造では、全く競争に耐えられないということです。現在の新聞社の規模は、あくまで紙媒体を配達し、一家庭から3000円なり4000円なりの料金を徴収するというビジネスモデルを前提に成立しているわけです。そんな「恐竜」的なコスト構造の新聞社が、まさしく桁違いに安いコスト構造を持つWebの世界で、まともに競争していくことなどできるわけがありません。
 結局、新聞社の「付加価値の源泉」とは、何なのか、という問題に行き着くわけです。
 付加価値の源泉がチャネル(配達)では、インターネットと真っ向から競合することになり、コスト競争で蹴散らされてしまうでしょう(まさしく、瞬殺されます)。そうではなく、「取材」こそが付加価値の源泉と主張するのであれば、逆にチャネルは紙媒体の配達だろうが、インターネットのWeb配信だろうが、何でもいいことになります。
 「取材」が付加価値の源泉とは、要するに通信社です。現在でも、読売や朝日が通信社的ビジネスを展開し、共同通信と競合していますが、この動きは今後も強まっていくと思います。
 しかし、佐々木俊尚さんが言っていましたが、現在の新聞に掲載されている記事の七割は「発表モノ」です。要するに、官公庁などの報道発表を載せているだけなのです。
 報道発表モノは、Webに掲載されれば誰でも読めてしまいますので、それを配信することが「付加価値です」などと言っても、無理がありすぎです。そう考えると、新聞社が「取材」を付加価値として捉えた場合でも、単純計算で七割のリソースは不要ということになってしまいます。
 いずれにしても、茨の道でございますな。頑張ってください(超他人事)。

まるでかつての日本を思わせるアメリカ政府のストップゴー政策に、不吉な予感を覚えた方は、
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