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http://mizumajyoukou.jp/?Word%2F2009-10-27
一昨日に続いて、イギリスの話です。
【イギリスの危機 http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10372089402.html
】
前回、欧州委員会が以下の国々の財政赤字拡大について、警告を発したことをご紹介いたしました。
イギリス スペイン アイルランド ギリシア ラトビア
いくら何でも、ラトビアとイギリスを同一線上に並べるのはどうかと思いましたので、上記の五カ国の長期金利(新規発行十年物国債金利)を比較してみました。
【英国、スペイン、アイルランド、ギリシア、ラトビア 長期金利推移】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_24.html#EU
2008年9月のリーマンショック以降、急激に長期金利が上がっているのは、唯一、ラトビアだけです。英国やスペインなどは、逆に下がってします。
ちょっと気になったので、英国の金利のみ、長期でグラフ化してみました。
【英国の国債金利(新規発行十年物)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_24.html#UK
99年以降、一度も4%を下回ったことがない英国債(十年物)の金利が、リーマンショック以降に急低下しています。現在は、3%から4%の間で推移しているようです。
この事実は、大変、興味深いです。
イギリス政府が財政赤字を対GDP比で13%超にまで膨らませ、国債を発行しまくっているにも関わらず、長期金利が上昇するどころか、むしろ低迷しているのです。
お気づきの方はお気づきでしょうけれども、日本に遅れることおよそ十五年。イギリスもまた、クラウディングアウトが成立しない世界に突入しようとしているわけです。要するに、バランスシート不況です。
前回から続けて読んで頂くと分かりやすいのですが、「バブル崩壊」「GDP成長率の低迷」「政府の支出拡大」「量的緩和」「長期金利の低迷」と、まんま日本が経験した道を、現在のイギリスは辿っているように見受けられるのです。
ちなみに、イギリスは世界で三番目に家計が国内に金融資産を蓄積している国です。(アメリカ、日本に次ぎます)結果、政府発行国債の65%が国内投資家により買われています。国債購入者の種別についても、イギリスは日本に近いのです。
今回のバブル崩壊で、イギリスの家計ももちろん大きな傷を負いました。
『英家計資産:08年に13%減、住宅と金融資産の価値目減り-テレグラフ
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=aiQv4YAxnDQg
英紙サンデー・テレグラフ(オンライン版)は24日、英国立経済社会研究所(NIESR)の統計を引用し、英国の家計資産が2008年に13%減少したと報じた。リセッション(景気後退)による資産価値の目減りを理由に挙げている。
同紙によれば、08年末時点の家計資産は5兆8000億ポンド(約870兆円)と、07年末から8440億ポンド減少した。住宅価格と金融資産の下落が響いた。家計資産は09年に若干持ち直した後、10年には、再び2510億ポンド減少する可能性があるという。
NIESRのエコノミスト、サイモン・カービー氏は、08年の資産減少額が家計の年間所得にほぼ匹敵すると指摘したと、同紙は伝えている。 』
08年一年だけで、年間所得に匹敵する家計の資産が消滅したわけです。これはもちろん大きなインパクトでしょうけれども、イギリスの場合は(他国、例えばラトビアとは異なり)今後の国債消化については、それほど難しくないのではないかと思います。
日本同様、バブル崩壊のインパクトは、ストック(資産、負債)の面よりも、むしろフロー(GDP)の方が大きくなるのではないでしょうか。資産消滅、負債拡大に伴う、民間の支出の減少、すなわちGDPの長期低迷です。
GDPの長期低迷とは、要するに資金需要不足です。今後のイギリスの長期金利は、財政悪化により上昇するよりも、むしろ資金需要不足により低迷するように思えます。
そういう意味で、「財政赤字対GDP比率」を見て、イギリスをラトビアと同一視している欧州委員会は、やはり乱暴だと思うわけです。欧州で危機に陥っている国々の中で、イギリスの状況こそが最も過去(90年代)の日本に近いわけです。そうである以上、イギリス政府がどれだけ財政支出を拡大し、財政赤字を対GDP比で膨らませていっても、長期金利は上昇しないでしょう。
とは言え、量的緩和に長期金利低迷が加わるわけなので、今後の英国ポンドの為替レートは下落傾向に進むと思います。貿易赤字国(イギリス)で為替レートが落ち続けると、さすがに別の問題(コストアップ型のインフレーション)が引き起こされそうです。
当然ながら、経済面の環境変化は、政治面にも影響を及ぼさずにはいられません。
実は、すでに09年4月の段階で、ブラウン首相率いる労働党の支持率は、「財政赤字拡大」の影響により、著しく低下してしまっているのです。(27%)。逆に「小さな政府」を標榜する野党保守党の支持率は鰻上りになっておりまして、労働党を20ポイント近く引き離す、45%に達しています。(4月24日のYouGov/Daily Telegraph世論調査)
最近、イギリスの政治を見習うとか何とかいう理由で、同国を訪問していた人がいましたが、むしろイギリスの政治の方が、日本と酷似した状況になりつつあります。このままでは、2010年の総選挙において、英保守党が「政府の無駄遣い削減」を叫ぶだけで、圧勝しそうな勢いなのです。
国民が「財政赤字拡大」を単純に嫌う傾向は、何も日本に限った話ではないわけですね。
ところで、不況が長引いているイギリスでは、最近「移民排斥」を叫ぶ極右政党である、英国民党が勢力を拡大しつつあります。
10月22日。英国民党のグリフィン党首が、BBC放送の討論番組に出演しました。その直後に英紙デーリー・テレグラフが世論調査を実施したところ、何と対象者の二割以上が民党への投票を「真剣に考える」と回答したのです。
イギリスで極右勢力が支持を集めるのは、何も今回が初めてというわけではありません。
例えば、1930年代のイギリスでは、イタリアのファシスト党に影響を受けた「イギリスファシスト連合」が、大きく支持を広げました。1930年代とは、もちろん1929年に始まった世界大恐慌の影響で、イギリス経済がどん底に沈んでいた時期なのです。
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