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 さて、欧州経済といえば、イギリスがピンチです。(いや、今や世界のどこもかしこもピンチなわけですが)

英中銀は資産買い取りを拡大か、マイナス成長継続で-エコノミスト
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=avRzjytJURN4
 英国が戦後最悪のリセッション(景気後退)から脱却できなかったことを受け、イングランド銀行(英中央銀行)は来月、資産購入計画の拡大を余儀なくされると、エコノミストの間ではみられている。
 キング総裁率いる同中銀は7カ月前に資産買い取りプログラムを開始。現在の規模は総額1750億ポンド(約26兆3300億円)となっている。英政府統計局(ONS)が23日発表した2009年7-9月(第3四半期)の国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)は前期比0.4%減と、予想に反しマイナスとなった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト33人の調査では、だれもマイナス成長を予想していなかった。
 英金融大手HSBCホールディングスのチーフエコノミスト、スティーブン・キング氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「これだけ大量の資金を市場に注入しながらもGDPがなおマイナス成長となるのは、信頼感や回復期待に悪影響を与える」と指摘。「イングランド銀行は量的緩和を拡大すべきかどうか非常に真剣に検討するだろう。経済情勢に配慮しているとの姿勢を示すため何らかの措置を取る必要があるだろう」と述べた。 』

英国 財政赤字対GDP比率(%) 推移
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_24.html#UKZaisei

 上記は、英国の財政赤字対GDP比率を、1999年以降についてグラフ化したものです。「財政赤字」のグラフなので、マイナス値が「財政黒字」になります。
 「高校生でもわかる日本経済のすごさ」でも取り上げましたが、英国は二十世紀末のITバブル期に財政黒字になっていました(あと、アメリカとカナダも。)。その後は、「ユーロには入れないけど、まあ平均」程度の財政赤字を続けていたのですが、今年は一気に(極端に)財政状況が悪化することになります。
 2008年の財政赤字が対GDP比で3.6%で、今年が13.8%(予定)ですから、本当に極端です。
 英国政府が財政赤字を増やしたのは、もちろん公的資金注入により金融システムを守り、同時に景気対策を行うためです。とは言え、さすがにここまで一気に政府の財政規模が拡大すると、国債発行では到底間に合いませんので、イングランド銀行(英国の中央銀行)は、国債買取プログラムを(日米のように)開始し、総額1750億ポンド(約26兆円)の買取枠を設定しています。
 国債買取とは、イングランド銀行が通貨を発行し、そのお金で市中の英国債を買い取っていくわけです。結果、イングランド銀行のバランスシートは拡大していくことになります。
 どのくらい拡大したかといえば、↓この通り。

中央銀行のバランスシート規模 2007年1月以降
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_24.html#ChuoBS

 何と、イングランド銀行のバランスシートは、リーマンショック前の2.7倍程度にまで拡大しているのです。(一時は3.5倍を上回っていました)
 恐ろしいのは、ここまでジャブジャブにマネーを市場に供給しても、なお、GDPがマイナス成長を続けているという点です。政府が銀行経由で金を流し込み、無論、事実上のゼロ金利、かつ景気対策も行っているにも関わらず、「民需」は期待通りの反応をしていないということです。
 10月14日に、欧州委員会(一応、英国も所属しています)が、経済危機対策のための各国の巨額財政出動について、英国、スペイン、アイルランド、ギリシア、ラトビアについて「重大な懸念」が生じていると警告しました。欧州委員会は、これらの五カ国について、
「経済危機が財政状況や中期的な成長に継続的に影響を及ぼす可能性は重大な懸念だ。債務の急激な拡大の回避がすでに中期的な政策課題となっている」
 と、何となく「他人事」っぽい見方を示しました。
 確かに、英国政府の財政悪化ペースは凄まじく、中央銀行のバランスシート拡大も極端です。
 問題は、ここまで英国政府が懸命に景気悪化を防ごうとしているにも関わらず、現実には第3四半期のGDPが前期比マイナス0.4%になってしまったという事実になります。英国のマイナス成長はこれで6四半期連続で、1955年に統計を始めて以来の最長記録を更新してしまいました。
 
 英国は、ご存知の通り「貿易赤字国」です。すなわち、国内の供給能力が余りまくっている日本とは、大元から経済構造が異なるのです。
 今後の英国政府は更なる財政出動に、同時にイングランド銀行は国債買取枠拡大に走らざるを得ないでしょう。これまで以上にポンドが市場に供給され、ポンドは中期的に下落していくと思われます。
 通貨価値の下落、通貨供給の拡大が続く以上、英国はいずれかの時期に、危険な水準のインフレーションに見舞われる可能性が高いと思います。
 英国の問題は、「こうすれば何とかなる」という出口が全く見えないことです。英国の金融立国モデルを賞賛し、日本を貶めていた国内の似非経済評論家の方々には、ぜひとも感想を伺ってみたいものです。

今後の英国経済の行方に、(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル 感を抑えられない方は、

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