三橋貴明診断士事務所  を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから 
Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」連載中


「ジパング再来 大恐慌に一人勝ちする日本」( 講談社)発売中!
「中国経済・隠された危機」( PHP研究所)発売中!
「高校生でもわかる日本経済のすごさ」 (彩図社)発売中!



「三橋貴明の<ウラ読み>経済レポート  
ご登録者数が早くも(出版社様の)目標数値を突破! ありがとうございます。
なお、本メルマガではセミナー、勉強会のご案内など、メルマガならではの情報発信をしていきます!


「マスゴミ崩壊~さらばレガシーメディア~」  絶賛発売中!


----------------


セグメンテーション:市場細分化のこと。全ての人、あるいは全てのニーズに応える製品を提供するのではなく、市場の絞込みを行い、効率化を図るマーケティング手法。

 おかげさまで「高校生でもわかる日本経済のすごさ」の売れ行きが好調で、再重版が決定致しました m(_ _)m 
 以前とは異なり、初版も重版も数量が多くなっておりますので、かなり吃驚です。POS情報などを見ると、「ええっ」と思うほど書店サイドの売れ行きがいいのです。
 タイトルの勝利なのでしょうか(何度も書きましたが、タイトルは出版社様が決めるもので、わたくしが決めるものではありません)。
 あるいは、セグメンテーションの勝利なのでしょうか。
 「本作品」から、三橋ブログをご訪問し始めて下さった方がいらっしゃいましたら、コメント欄に、同書を手に取った切っ掛けなどを書き込んで頂くと嬉しく思います。

 先日、プロモーション関連のプロの方から、面白い事実を教えて頂きました。プロモーション、あるいはマス・コミュニケーション系の調査を行うと、ユーザから最も嫌われる「スタイル」が、常に同じになるそうです。
 どんなスタイルかといえば、ずばり「上から目線」とのことです。
 それを聞いた瞬間、パッパッパッと、数名の顔(メディアに頻度高く登場する人たち)が浮かんでしまいました。ついでに、
「ああ、やっぱりあの種のやり方が嫌いなのは、自分だけじゃないんだ。。。」
 と、ホッとしたものです。
 とは言え、わたくしの「数字・データを元に、メカニカルに主張する」というスタイルは、放っておくと「上から目線」式になりがちなので、今後はより一層、注意しなければならないなあ、とも思いました。
 基本的に、
ブログのコメントは法律違反や公序良俗違反でない限り、決して消しません。ガイドラインも一切、設けません
 と、宣言している以上、お願いするしかないわけですが、できましたらわたくしを「三橋先生」などと呼ぶのはお控え頂くと嬉しく思います。これは謙遜とかそういう話ではなく、完全にわたくしの打算的なお願いです。「先生」呼ばわりされ、上から目線にならないように気をつけるというのは、なかなかに難しいものです。
 と申しますか、それ以前にわたくしはそもそも先生でも何でもなく、一中小企業診断士、一2ちゃんねらでございます。
 
 さて、その「上から目線」の代表株と言えば、もちろんマスメディア(特に、新聞、テレビ)ですが、アメリカでかなり象徴的な出来事が起きました。(厳密に書くと、起きつつあります。)

部数首位、WSJが奪取か=USAトゥデーの急減で-米
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_date2&k=2009101500208
 米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は14日、9月時点の発行部数が前年同月比0.6%増の202万4269部だったと発表した。複数の米メディアによると、全米トップの220万部体制を長年維持してきた全国紙USAトゥデーは、不況のあおりで188万部に急減したとみられ、WSJが首位を奪った可能性がある。
 ただ、WSJは、新聞購読者数と同紙の有料ウェブサイトの閲覧契約者数を合算している。このため、実際の発行部数でUSAトゥデーを上回ったかどうかは不明。』

 アメリカで長らく発行部数首位を維持していたUSトゥデーを、WSJが抜き去ろうとしているという記事です。
 WSJの部数が伸びたのではなく、USトゥデーが落ち込んだ結果というのが、現在の世界的な新聞離れを象徴していると思います。
 ちなみに、WSJは「マスゴミ崩壊~さらばレガシーメディア~」でも取り上げましたように、世界で唯一(多分)、インターネットの課金モデルで成功している新聞社です。WSJは元々は、ご存知アメリカを代表する経済新聞になります。
 同じ記事が日経の方にも載っていまして、そこでは「紙媒体」では、USトゥデーが首位を維持しているだろうと書いてありました。とは言え、新聞というビジネスモデルが「報道」「情報」を供給することが基本である以上、インターネット(課金分)は部数に含まないというのは、少し無理があるように思えます。
 どうせ紙媒体で配達されても、まともに全ページ読んでいる読者なんて少数派なのです。(某新聞社の中の人は、平均で紙面の三分の二は、読者に全く読まれていない、と言っていました。)
 WSJの成功要因は何かと問われれば、やはりセグメンテーションだと思います。何しろ、WSJに掲載されている情報は、不要な人には全く不要なわけです。
わたしは経済のことが知りたいんだ! 他はどうでもいい!
 と主張する人「のみ」を標的市場に定め、その市場のニーズを満たすために、WSJは発行されているわけです。「何となく、世の中のことが全般的に知りたいなあ」というニーズを持つ人は、端から標的から外してしまっているわけですね。
 
 これも「マスゴミ崩壊~さらばレガシーメディア~」で取り上げたことですが、「製品」の分野では、大量生産から「多品種少量生産」へのパラダイムシフトが発生しました。現実には「報道」や「情報」の分野でも、(市場的には)同じ変化が起きているにも関わらず、メディア側がそれに気がつかないか、あるいは気がつかないフリをしていることが、今日のレガシーメディアの苦境を招いている一因なのです。
 すなわち、すでに存在しないか、あるいは縮小傾向が明確な「全方位的な報道ニーズ」の市場から、離れられないわけですね。特に、部数が多ければ多いほど、セグメンテーションを行えない(企業規模を維持するコストの問題で)ジレンマに苦しんでいるように思えます。
 
 セグメンテーションとは、結構奥が深く、「マーケット・リーダーのアンチ」を標的市場にした結果、成功した企業などもあったりします。
 インターネットを構成する際の必須機器である「ルーター」など、ネットワーク機器の分野では、シスコ・システムズという圧倒的なマーケット・リーダーが存在します(市場シェアは、確か七割超)。ところが、不思議なことに、シスコほど圧倒的なリーダー企業であっても(いや、むしろだからこそ)、アンチ・シスコ派が存在するのです。そして、その市場(アンチ・シスコ)を標的市場に定め、成功した企業も具体的に存在します。(ちなみに、ジュニパーネットワークス)

 日本のマスメディアも、「全方位型」マーケティングを捨て去り、市場セグメンテーションを行った上で、標的市場にのみリソースを投入すれば、今後も生き残っていけると思うのですが(と言うか、他に生き残りの手段はないようにも思えます。)。
 そういう意味で、日本の新聞業界の中で最も「生き残りがしやすい」企業は、やはり日経新聞と産経新聞だと思います。特に産経は、部数が少ないという点が、かえって有利に働くかも知れません。いや、皮肉じゃなく、本気で言っています。

今回のテーマについて「面白い」「なるほど」と思われた方は、
↓このリンクをクリックを。

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ


 新世紀のビッグブラザーへ ホームページ はこちらです。
 
新世紀のビッグブラザーへ blog一覧 はこちらです。
 
関連blogへのリンク一覧 はこちらです。

 兄弟ブログYahoo!版へ