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中川元財務・金融担当大臣のご逝去を悼み、哀悼の意を表します。
IMFストロスカーン専務理事から「人類史上最大の融資貢献」と評されたIMF融資など、中川氏の功績が正しく評価される日ができるだけ早く訪れるよう、日々の努力を重ねていきたいと思います。

9月米雇用26万人減、予想以上の悪化-失業率9.8%に上昇
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=asTA9A6BYW_Q
 米労働省が2日に発表した9月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比で26万3000人減少。雇用者数の純減幅はブルームバーグ・ニュース集計のエコノミスト予想中央値(17万5000人減)を上回った。前月は20万1000人減と速報の21万6000人減から修正された。
 家計調査に基づく9月の失業率は9.8%と、1983年以来の高水準に上昇。(後略) 』

 失業率とは何度も書いたように「遅行指数」です。下手をすると景気回復から一年程度経たなければ、回復しないケースさえあります。
 それにしても、失業率が悪化を続け、商業用不動産のバブル崩壊が本格化し、銀行が週に、二、三行のペースで破綻し、家計の負債残高が減少し、GDPの七割を超える経済の大国柱である個人消費が回復しない中、アメリカの要人やウォール街から「景気回復」「出口戦略」などの発言が相次いでいるのは、非常に気になります。
 先日のチャンネル桜の番組でも言いましたが、大元の「需要が消えた」という問題は、全く解決の目処がついていないわけです。それどころか地方金融を担っていた銀行が痛めつけられている状況で、かつ失業率が悪化しているわけですから、最終需要は明らかに縮小方向にあります。
 
 現在のアメリカが「地方」と「ウォール街」で別の国のようになっているというのは、様々なルートから聞いた話です。別の国というのは経済的な話だけではなく、心理的な面も含んでいます。
 地方に住んでいる人たちが、地域経済が悪化する中で失業者となり、日々の生活に困窮する中、東海岸からは妙に浮ついた声ばかりが聞こえてくるわけですから、なかなかデンジャラスです。
 特に、オバマ政権(と言うか民主党)はウォール街(と労組)の支持を受けて発足したわけです。たとえ国内経済が悪化を続けていても、「回復!」「回復!」と煽り、投資の利回りやキャピタルゲインを高める必要がある人びとが存在したとしたら、彼らは間違いなくウォール街にいるわけです。
 
 特に、これまでは冷静に危機を警告することで定評があった、ルービニ教授までもがこの種のことを言い出しているのですから、正直、怖いです。

ルービニ教授:リセッションの「トンネルの出口に光」見える
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aSDMJB_MXGV4
 米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は2日、各国政府・中央銀行による行動が世界的なリセッション(景気後退)の「底打ち」につながったとし、「トンネルの出口に光が見える」状況にあるとの見解を示した。
 ルービニ教授はイスタンブールで、米国では「リセッションの終わりが近い可能性を示す兆しが出ている」と言明。「U字型」の回復を予想しているが、「2番底を伴うリセッション」となる「リスク」も残っていると述べた。
 さらに同教授は、米国の「景気回復は非常に勢いを欠いたものになる」と予測。「成長率は潜在成長率を下回る」とし、雇用市場の状況は「ひどい」と述べた。 』

 もしかしたらルービニ教授の言いたいことは後半で、前半部は針小棒大な報道をされたのかも知れません(何となく、これが正解のような気がしますが。)。もしそうだとしたら、ルービニ教授(大抵、悲観論者)さえもが「光が見える」と発言したことを大きく報道し、株式市場などに刺激を与えたい人々がいるということになります。
 そして、崩壊する地方経済を尻目に、真実、高利回りやキャピタルゲインを求める人たちが政権や報道機関を動かし、出口戦略(要は利上げ)を既成事実化しようとしているとしたら、これは大変恐ろしい話です。アメリカ経済にとっても、世界経済にとっても。
 昨日、
「国債発行残高が法律上の上限に達し、財政赤字拡大が不可能になることを想定しているからこそ、現在のアメリカで景気に対する強気の発言が相次いでいるのでは?」
 という推測を書きましたが、
ゼロ金利、デフレ環境下では食えないビジネスに従事している人々が、ウォール街や有識者を動かし、現在のアメリカで景気に対する強気の発言が相次いでいるのでは?」
 という推測も成り立つわけです。

 別に今さら書くまでもありませんが、バブル崩壊後の日本政府は、少し景気が回復すると、途端に緊縮財政に走ることを繰り返す「ストップゴー政策」により、日本の名目GDP成長率の長期低迷を招きました。(今回、三度目の「ストップ」をしようとしているわけですが)
 それに対し、アメリカの方は日本とは全く別の理由、すなわち「法律上の問題」もしくは「ウォール街の影響」により、ストップゴー政策を始めるのではないかと懸念しているわけです。

「二つのアメリカ」という言葉に、ますます納得してしまった方は、
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