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Yahoo!版 
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/30823095.html#30834756  
Ameba版 
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10346507015.html

 さて、昨日の続きですが、バブル崩壊後の日本経済の軌跡を改めて見てみましょう。

【日本の名目GDP,実質GDP成長率(暦年前年比) 推移 1990年-2008】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_23.html#GDPRate

 内閣府のリンク先には、GDPの「増加率」の数値が入ったExcelもありますが、四捨五入されてしまっているため、わたくしの方で実額から計算しました。
 こうしてみると、バブル崩壊のインパクトを改めて感じることができます。
 名目GDPが、8%弱から一気に(と言っても、三年掛けて)0ラインに近づいたわけです。しかも95年、96年には、実質GDP成長率が名目GDP成長率を上回っています。要するに、デフレです。
 とは言え、93年から四年間、名目GDPは曲がりなりにも成長率を高めていき、97年にはついに(瞬間的に)日本経済はデフレ脱却を果たしたのでした。

 ここで登場した、御存知、橋本政権が、「消費税増税」と「政府支出削減」という緊縮財政を始めた結果、翌98年には日本経済は奈落の底に叩き落されてしまいました。
 そして、参院選で敗北した橋本首相が退陣し、小渕政権が始まります。小渕政権が緊縮財政路線を改めた結果、日本経済は再び回復路線を歩み始めます。
 ところが、小渕、森政権の後を継いだ小泉政権が、「国債三十兆円枠」なる緊縮財政路線を再開した結果、またまた日本の名目GDPはマイナス成長に逆戻りしてしまいました。
 本来であれば、この時点で緊縮財政路線への反省が生じても良さそうなものですが、運良く(小泉政権にとって)、この時期からアメリカの不動産バブルと、アメリカ国民の負債拡大(要は借金)に基づく消費が興隆していきました。結果、輸出拡大により日本経済は一息つき、緊縮財政路線の弊害が覆い隠された感じになってしまったのです。

アメリカ家計(及びNPO)金融負債残高・住宅ローン残高推移
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_23.html#USKAKEI

 その何よりの証拠に、「プライマリーバランス黒字化」なる目標が骨太の方針に残り続け、マスメディアや経済評論家たちは、未だに「財政健全化」や「緊縮財政」を前提に物事を考える性癖から抜けきれないでいます。
 廣宮氏のブログのよく出てくる式に、以下があります。

GDP = ①消費 + ②投資 + ③政府支出 + ④純輸出

 実は、日本の④純輸出は、輸出が興隆していた小泉政権下においても、名目値でGDPの2%を上回ったことはありません(2001年以降、最も純輸出対GDP比率が大きかったのは2004年の1.93%)。その上、2008年には0.14%と、ほとんど誤差レベルにまで落ち込んでしまいましたので、とりあえず気にしなくていいでしょう。
 要するに、日本のGDPを拡大するには①消費を増やすか、②投資を増やすか、③政府支出を増やすしかないわけです。
 この関係を露骨に表しているグラフが、何度も登場している以下になります。

国内銀行 貸出金・実質預金・預金超過額 (単位:十億円)
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_23.html#Kashidashi01

 バブル崩壊以降、日本の銀行における実質預金額はひたすら増加を続けています。すなわち、家計が①消費よりも貯蓄(と言うか、預金)を好む傾向は、相変わらず変わっていないのです。
 この状況で、1997年以降、企業などへの貸出金残高が急激に収縮を始めています。
 企業が銀行からの借入(銀行にとっては貸出)をするのはなぜかと言えば、もちろん②投資をするためです。銀行の貸出金減少は、企業投資が伸び悩んでいる事実を明瞭に示しているわけです。
 すなわち①、②が伸び悩み、ストック上で預金ばかりが増えていく環境下にある以上、③の政府支出で何とかするしかGDPを成長させる手段はないわけです。実際、国内銀行の預金超過額のうち、八割は国債で運用されている、すなわち政府が借りて③政府支出に回しているのです。
 
 この状況で、橋本政権や小泉政権は緊縮財政、つまり③を切り詰める方向に舵を切ったわけです。そりゃあ、GDPがマイナスに突っ込んで当たり前でしょう。と言うか、マイナスにならない方がおかしいでしょう。

 歴史家に「IF(もし)」は許されませんが、わたくしは歴史家ではないので、あえて書きます。
「もし、橋本政権が緊縮財政に走らなければ・・・」
「もし、小渕首相があの時点で亡くなられず、政府支出の拡大が続けば・・・
「もし、小泉政権が緊縮財政に走らなければ・・・」
「もし、2002年以降にアメリカの不動産バブルが発生せず、輸出拡大により緊縮財政の弊害が覆い隠されることがなければ・・・

 日本の緊縮財政派は、様々な偶然の積み重なりにより生きながらえてきているわけです。
 
 面白いというか、不思議というか、バブル崩壊以降の日本では、緊縮財政を強行した首相はマスメディアに愛され、政府支出拡大を志向した首相はマスメディアに叩かれます前者はもちろん橋本元首相と、小泉元首相で、後者の代表は小渕元首相と、麻生前首相です。
 麻生前首相については、今さら書くまでもありませんが、小渕元首相のときも、マスメディアの叩きっぷりは凄かったです。(「冷めたピザ」なんてレッテルが流行りましたよね。)
 「国民生活」を考えた場合、どう考えても評価は逆であってしかるべきだと思うのですが、これは一体、なぜなのでしょうか。

 さらに明日に続きます。 


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