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http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/30823095.html#30834756  
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http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-10346507015.html

 ようやく財務省の話に入りたいのですが、本日はあくまで「前編」なので、財務省は全く登場しません。
 あ、おかげさまで、無料メルマガ「三橋貴明の<ウラ読み>経済レポート」の読者様の数が、まぐまぐの殿堂入り条件を満たす登録者数を突破いたしました。ありがとうございます。とは言え、もう一つの「運営二年間」の条件の方は、まだまだ二年近く満たすことができませんので、殿堂入りはならないのですが。

 廣宮氏のブログをご覧になっている方は御存知でしょうが、先日(9/18)、日本経済新聞が借金返済型不況(命名 alt様。バランスシート不況のこと)に関する素晴らしい記事を掲載いたしました。但し、対象は日本ではなく、アメリカ経済なのですが。

米家計の純資産が増加、1年9カ月ぶり 4~6月
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090918AT2M1801418092009.html
 米連邦準備理事会(FRB)が17日発表した2009年4~6月期の資金循環統計によると、米家計の同期末の純資産残高(季節調整前)は約53兆1399億ドル(約4843兆円)となり、前期末に比べて約2兆ドル増えた。前期末比でプラスに転じたのは07年9月末以来、1年9カ月ぶり。株価上昇などで金融資産が増えたことが背景。ただ、米家計は負債圧縮などバランスシート(貸借対照表)調整を進めており、純資産の増加が消費拡大に直結する可能性は低い。
 家計の純資産残高は、資産残高から負債残高を差し引いたもの。資産には株式など金融資産のほか、不動産などの有形資産なども含まれる。
 資産残高は約67兆2079億ドルで、前期末に比べ約2兆ドル増加した。このうち約1兆8000億ドル分は、金融資産の増加。預金は減っており、株高が資産価値を押し上げたとみられる。一方、負債は約14兆680億ドルで小幅減にとどまった。』

 オンライン版だけでは、今ひとつ日経が何を言いたいのか分かりませんが、紙面版にはきちんと続きがあります。
 以下、紙面版の抜粋です。

■アメリカの家計の負債残高(09年6月末)が、対前期比年率換算で1.7%減少した。内訳は、住宅ローンが1.4%減、消費者信用(カードや自動車ローンなど)が6.5%減
■同企業の負債残高(09年6月末)が、対前期比年率換算で1.8%減少した。
連邦政府や地方自治体の負債は膨らんでいる。

 日経がソースにしているFRBの資金循環統計(Federal Reserve Statistics Release
http://www.federalreserve.gov/releases/z1/Current/ )を元に、最もポイントとなりそうなアメリカ家計の「金融負債残高」及び「住宅ローン残高」について、グラフ化してみました。(ちなみに、日経の記事では「家計の」と書いていますが、FRBの統計上は「家計及びNPO(民間非営利団体)」となっています。意外に適当ですね、日経・・・。)

アメリカ家計(及びNPO)金融負債残高・住宅ローン残高推移
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_23.html#USKAKEI

 アメリカの家計のバランスシート上では、金融負債残高も住宅ローン残高もすでにピークアウトし、減少傾向にあります。
 こうしてみると、2007年までの米国家計の金融負債増加ペースは凄まじく、この負債増に成長を依存していた世界経済(当時)の脆弱さが浮き彫りになります。何しろ、米国の家計は毎年1兆ドル超のペースで、金融負債を増やし続けていたわけです。
 分かりやすく書くと、アメリカの家計が毎年、100兆円を越えるペースで借金を増やし、新たに産まれたキャッシュをフロー(GDP上の個人消費)にぶち込んでくれていたわけですね。そりゃあ、世界同時好況も達成されるでしょうし、バブルが弾けた後、世界同時不況にもなるでしょう。
 アメリカの家計の金融資産は、08年上半期からリーマン・ショックの頃にピークアウトし、後は「どこまで減るのか」という勝負になってきました。まさに、日経の記事にあるとおり、バランスシートの調整が進んでいるわけです。
 アメリカの場合は、家計の金融負債減に、企業の分が加わります。特に、引き伸ばしに引き伸ばしを重ね、何とか崩壊を先延ばしにしてきたCMBS(商業不動産担保証券)問題が、さすがに限界に達しそうな状況です。

米銀は最大1000行が破たんも、次の火種は商業用不動産-KBW
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aQnWqdfEUu8E
 証券会社KBWのジョン・ダフィー最高経営責任者(CEO)は17日、向こう2年で500-1000行の米銀が破たんするだろうとの見方を示した。 (中略)
 ダフィーCEOは銀行業界が次に直面する問題は商業用不動産だと指摘。「商用業不動産が次の大問題になると思う。野球に例えるなら今はまだ2回だ」と話した。 』

 それにしても、日本経済新聞は、ことアメリカ経済の話になれば、
「経済活動が低水準で推移する中、民間部門がバランスシート調整を継続する一方、政府部門が負債を膨らませて需要を補う構図が鮮明になっている。(日本経済新聞 2009年9月18日夕刊「米家計、純資産が増加」より)」
 と、正しく「借金返済型不況(バランスシート不況)」ゆえに「政府が負債を増加させ、需要を補っている」と解説できるのに、日本経済の話になった途端に、
財政再建! 緊縮財政!
 とやり始めるのは、果たしてなぜなのでしょうか。明日に続く。


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